「なぜだ!?売れない文庫フェア」from札幌・くすみ書房
2007 / 05 / 13 ( Sun )
しばらく仕事が忙しくて、映画も観に行けずブログの更新も怠っておりました。
で、ただ今札幌におります。
今日は、札幌市西区琴似にある「くすみ書房」に行きました。
なぜかというと、こちらの書店で行われている「なぜだ!?売れない文庫フェア」を見てみたかったからです。
次郎物語が本屋にないのはなぜ?
尾崎翠が売れないのはなぜ?
売れてないから本屋で置かない。
本屋にないから目に触れない。
…そして、絶版になり、消えていく。
でも本当に売れないの?確かめてみよう。
という訳で売れていない文庫フェア第1弾!
地味だけと味のある「ちくま文庫」800点
文庫の王様「新潮文庫」の
売れ行き順位1500位から最下位までの
700点で勝負です。 くすみ書房のホームページより
http://www.kusumishobou.jp/売れない新潮文庫として並んでいる本を見ると、かなり意外なラインナップでした。
武田泰淳「ひかりごけ」、武者小路実篤「愛と死」、泉鏡花「婦系図」、織田作之助「夫婦善哉」、有島武郎「或る女」、 室生犀星「杏っ子」というのは成る程売れないのもわかるなという感じですが、林真理子、山田詠美、瀬戸内寂聴といった売れっ子作家の著作や、大ベストセラー作を持つ妹尾河童の「河童が覗いたインド」「河童が覗いたニッポン」などもあり、驚きました。
阿部公房や三島由紀夫の作品が含まれていたのもまた意外。
ワタシが読んだ事、買った事がある本も結構含まれていました。
倉橋由美子「パルタイ」、売れないんですねー。
昔読んで面白いと思ったのですがねー。
島田雅彦や平野啓一郎 「葬送」もありました。
河出文庫のコーナーをみると、澁澤龍彦の本がずらーと並んでいて、
まさかこれが河出の中で売れていない方の本ということはないだろうと思い、お店の方にきくと、河出文庫自体があまり売れていないので、ということでした(悲しい)。
ほか、ちくま文庫全点、岩波文庫ほぼ全点、中公文庫ほぼ全点などのコーナーがありました。
ワタシは中公文庫から金子光晴の「人よ、寛かなれ」「這えば立て」を購入。
この「なぜだ!?売れない文庫フェア」のほかにも、「本屋のオヤジのおせっかい」「大人の絵本フェア」などのコーナーもあり、こういう書店の取り取り組みになんだか胸が熱くなりました。
それから、小樽の映写技師・下田修一さんという方の「レトロな映画館に連れてって」というステキな本を見つけ、即購入。
映画好き、レトロ好きにはたまらない本です。


書店の下は、くずみ書房がやっている「ソクラテスのカフェ」という喫茶店があり、こちらにも行ってみました。
店内には、本棚があり、古本がズラリと並び、古本を読みながらお茶を飲めるし、その本を買うこともできるし、お茶をせずに古本を買うだけでもOKなのです。
金子光晴の箱入りの詩集数点を手に取り、紅茶とスコーンをいただきました。

帰りに「現代詩読本 金子光晴」を購入。
レジ横に地蔵商店のお菓子が販売されておりました。
くすみ書房の店主の方がいらしたので、売れない文庫のラインナップが予想と違ったことをお話したところ、売れている作家の作品でも時期が外れると売れないのだそうです。
大手の書店チェーンの大型店もよいですが、こういうお店、本当に応援したいです。
書店も喫茶店も素晴らしいのコンセプトのお店でした。
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テーマ:書店 - ジャンル:本・雑誌
杉並散策
2007 / 03 / 04 ( Sun )
朝、ラピュタで12:40に開場する上映作品の整理番号を押してもらった後、
南阿佐ヶ谷にある大人気のパン屋さん「begal」に向かうため、
中杉通りを南下する。
ここを歩くということは、スギ花粉を大量に被粉するということだろうか?
中杉通りの杉の木は、花粉を出している様子は見受けられないのだが。
「begal」にて食パン、クルミパン、カンパーニュを購入。
ここはいつも行列が出来ているお店。
まだ暖かいパンをすぐに食べたくなり、食べる場所を求めて荻窪方面に歩く。
杉並中央図書館隣の読書の森公園に行く。
誰もいない。公園内ワタシ一人。
ベンチに座り、クルミパンをムシャムシャ食べる。
美味しい。公園で食べるのではなく、家でバターを付けて食べたらもっと美味しいと思う。
後ろから誰かに見られている視線が気になり、振り向くと、後ろの民家の飼い犬が恨めしそうにワタシを凝視している。
ワンコを無視し、食べ終わりベンチから立ち上がると、吠えられた。
黒川紀章設計の中央図書館(自己主張が少ない建物。まわりに溶け込んでる)に入り、
「ピンク映画館の灯―暗闇が恋しい都市の隠れ家」という本を手に取り、椅子に座り読む。
全国のピンク映画館(今はもうない劇場も含む)の写真集。
ワタシが見たことある建物は新宿昭和館地下だけ。
うーむ。淫靡な世界。良いぞ。
建替えられる前の浅草世界館は、上海なんかに20世紀初頭に建てられた大劇場のような威風堂々としたルックス。
「コーヒーに憑かれた男たち 」と「銀座で珈琲50年」(ランブルの関口一郎氏著)を借りる。
阿佐ヶ谷に戻り、ラピュタにて『不連続殺人事件』を観た後、
また中杉通りを歩き、前から目を付けていた「パンダ珈琲店」に入る。
清潔な店の中はパンダ・グッズだらけ。おトイレの中もパンダグッズが。
おお、かわいいではないかー。
カウンターにはセラミック製のハリオのドリッパーが置いてある。
店においてあるパンダ写真集を見て、パンダの赤ちゃんのカワイサにうっとり。
ウッディ・アレンのグッズや北欧の食器もディスプレーしてあった。

さて、次のパン屋を求めて再度荻窪方面へ。
中央図書館からズンズン下っていくと荻窪団地。
老築化著しく取り壊し予定で半分は既に閉鎖になっている。



荻窪団地すぐそば、善福寺川川沿い(西田端橋)というデンジャラスな
場所にあるカワイイお店「zermatt(ツェルマット)」。
こんな場所にあると、夏から秋の間は善福寺川の氾濫がいつも心配だと思う。
こちらではハード系のパンを購入。
営業は10:00~19:15、日曜休み。荻窪駅からはとても遠い。

以上、休日の杉並散策でした。
『沸騰時代の肖像 PORTRAITS OF THE 60s』
2006 / 12 / 21 ( Thu )
石黒健治の『沸騰時代の肖像 PORTRAITS OF THE 60s』という写真集を買う。
1968年を中心に撮影されたポートレート写真集。
とにかく凄いメンツなのだ。
http://www.bunyu-sha.jp/sinkan/sinkan.htmlhttp://ishigurokenji.com/report/report_032.html【掲載者一覧】50音順
麻丘めぐみ、浅川マキ、足立正生、阿部薫、安部公房、天地真理、荒木一郎、生島治郎、石坂
浩二、石橋蓮司、五木寛之、今村昌平、岩下志麻、植草甚一、大岡昇平、大島渚、岡田真澄、
岡村昭彦、岡本太郎、奥村チヨ、小沢昭一、小沢征爾、小畑ミキ、加賀まりこ、桂米朝、加藤
登紀子、加藤治子、釜本邦茂、唐十郎、カルメン・マキ、川端康成、北島三郎、木村伊兵衛、
楠侑子、栗原小巻、小林旭、小柳ルミ子、西郷輝彦、堺正章、瑳峨三智子、篠田正浩、篠原有
司男、澁澤龍彦、清水邦夫、ジョージ秋山、菅原文太、鈴木いづみ、高木元輝、高橋英樹、高
橋昌也、津川雅彦、つげ義春、寺山修司、土門拳、長門裕之、中野良子、中村晃子、中村玉
緒、野坂昭如、浜美枝、原田芳雄、針生一郎、ピーター、久富惟晴、土方巽、日野皓正、深沢
七郎、藤木孝、藤司純子、水上勉、水原弘、緑魔子、南田洋子、美輪明宏、森進一、安岡章太
郎、山口嵩、山崎努、由美かおる、横尾忠則、吉永小百合、吉行和子、李麗仙、若松孝二、鰐
淵晴子 「沸騰時代」である。
自分が生まれる前の、本や雑誌や映画などを通してしか知らない熱かった時代。
「沸騰時代」との名のとおり、写真の一枚一枚が火傷しそうに熱い。
この本の中の時代をリードしていた若者達も、2006年現在では初老だったり、既に亡くなってしまったりしている。
どの写真もスゴいのだが、ビックリの写真を挙げると、
○石橋蓮司+緑魔子夫妻の2枚。1枚は緑魔子が妊婦姿でヘアヌード!
もう1枚は出産したばかりの夫妻と赤ちゃん。この写真でも緑魔子はヌード。
○風呂敷に入って踊っている土方巽の連続写真。
既に人間ではありません。
○鈴木いづみ。理想のカラダ、と再認識。
○そして阿部薫。
○唐十郎。カワイイ。
○横尾忠則。フォトジェニック!最高の被写体。
○美輪明宏。ヌードです。ナルキッソスそのもの。
○度肝抜かれたのが澁澤龍彦のヌード!
鎌倉の自宅の庭で素っ裸で椅子に座ってます。
いったい何が彼にそうさせたのでしょうか??
荒木一郎は、ギターを抱えて斜に構えた怜悧そうな表情で写っている1枚(胸にレースのチーフが入っていて、ピックを持った美しい指先が印象的)と、サングラスをかけてスタンドマイクを握っている1枚。
どちらも『893愚連隊』の時のイメージに近い。
熱い時代の空気を物語る素晴らしい写真集。
見ていて、しらける前のあの時代を体験した人達を羨ましく感じた。
