サラ・ヴォーン・ウィズ・ミシェル・ルグラン
2007 / 02 / 21 ( Wed )
いま、昨晩AMAZONから届いたCDを聴いています。
「サラ・ヴォーン・ウィズ・ミシェル・ルグラン」です。
タイトルの通り、ミシェル・ルグランが率いる総勢100名の大編成オーケストラに合わせて、サラ・ヴォーンが唄うアルバム。
1972年の録音。
以前、iTunesでジャズのラジオを聴いていたら、
このアルバムの中の曲が流れて、ガツンときたワタシは即CDを買おうとしたのですが、CDは廃盤になっていて入手できなかったのでした。
それが今回リイシューされたのです。
祝。
このCDの素晴しさときたら、もう言葉になりません。
円熟期のサラの声に鳥肌がたち、ルグランのピアノにゾクゾクし、
巧みなオーケストレーションに感嘆し、と。
収録曲の12曲のほとんどが1970年前後に製作された映画音楽からの楽曲。
いずれも優雅なオーケストラを従え歌うサラの声を聴いていると、涙が出そうになります。
何よりもツボにはまったのが、このアルバムに漂う
70年代初めの独特の雰囲気。
ベトナム戦争で疲弊し社会の衰退と混乱の影響で、文化にも倦怠感がただよった退廃的な時代。
子供の頃は、親が所蔵していた映画雑誌「スクリーン」とかを読んで、自分が生まれる前のこの時代の映画に対し漠然と怖さを感じたのですが、今ではそんな70年代の空気に惹かれます。
このアルバムにもそういう空気があり、かつジャズが完全に曲がり角にありながら、かつてあったショウ・ビズの栄光の残り火も垣間見える。素晴しい。
このアルバムを聴いていると、この時代につくられた映画が目に浮かびます。
ルグランのオーケストレーションが、優雅でかつ安っぽい、いかにも70年代ハリウッド風でイイ(矛盾しているようですが両立する。バート・バカラック風??)。
特に1曲目「おもいでの夏」、4曲目「ハンズ・オブ・タイム」が見事な70年代ハリウッド調。
いやいや、どれもいかにも70年代ですが。
ワタシは聴きながら、中学生の時深夜テレビで見た『ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実』(1972年製作。ダイアナ・ロス主演)という映画を思い出したのですが、これも音楽はミシェル・ルグランでした。
10年前にこのアルバムを聴いたなら、サラの素晴しい歌声はともかく、
ルグランの編曲には恥ずかしさを感じたと思うけど、録音から30年以上経った今聴くと、素晴しく聴ける。
CDの包装のビニールに
「ミシェル・ルグラン来日公演決定!2007年10月29日~11月3日」と書かれたシールが貼ってありました。
ルグランも今年75歳。これは行かねば。
F.ヴンダーリヒの世界
2007 / 02 / 15 ( Thu )
ちょっとかわったCDを買いました。
「Ein Lied geht um die Welt~F.ヴンダーリヒの世界」です。
(タワーレコードのサイトだと
コチラ)
若くして亡くなった天才テノール歌手・フリッツ・ヴンダーリッヒが
イタリア語で「オー・ソレ・ミオ」とか「サンタ・ルチア」などを歌っているのです(ドイツ語曲も含む)。
これは珍しいCDでは?
ワタクシ、高校生の時にクレンペラーの「大地の歌」を聴いてから、
ヴンダーリヒの美声とドイツ語の子音にすっかりヤラれてしまったクチですが、
イタリア民謡を歌うヴンダーリヒも堪りません。
なんて甘美な声なんでしょう

ドイツ版AMAZONで試聴できます
(コチラ)ところで、ヴンダーリヒは35歳の若さで階段での不慮の事故により急逝したのですが、
どういうわけかワタシは今日までずっと、
ヴンダーリヒは夜這いの途中、階段から落ちて亡くなった、と思い込んでいました。
が、検索してみたら全然違いました。夜這いで死んだのではありませんでした。
なんで、そんなふうに思い込んだのでしょう?
ヴンダーリヒではなく別の有名人でそういう死に方をした人がいたのでしょうか?
これまで、ヴンダーリヒの美声を聴ききながら、「夜這い」のことを思い浮かべていましたが、とんだ勘違いでした。
ゴメンよ。ヴンダーリヒ!

やさぐれ姐御伝 総括リンチ
2006 / 09 / 29 ( Fri )
ワタシが住むところは、高級住宅地ということになっているので、
近所にお金持ちや著名な方が住んでいたります。
で、今夜は2軒隣のマンションにお住まいの父親世代のオジサマと
駅近くの小料理屋で、おしゃべりしながら夕食。
怖いもの知らずのワタシは、オジサマに言いたい放題でしたが、
そのオジサマは実は一部上場企業の社長であることが判明。
それでも、持ち前の度胸でワタシはオジサマを「近所のオジサン」として扱いつつ、おしゃべり。
以前も、別の3軒隣のオジサマに馴れ馴れしく話しかけてたら、
著名な作家センセイでした。
社長さんも、作家センセイもワタシにとっては異業種なので関係ありません。
ちゃん付けで、電話帳の登録しちゃいます。
帰宅したら、注文していたCDが届いてました。
『やさぐれ姐御伝 総括リンチ~やさぐれ歌謡最前線』。
ストーリーのくだらなさとセットの素晴らしさので楽しませてくれた石井輝男監督作品
『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』の池玲子が歌う主題歌や
(なぜか池玲子が裸で日本刀振りかざしている映画の冒頭で流れていた)、
サンドラ・ジュリアンが歌う『ジュテームはさよならの始まり』(作詞・作曲、荒木一郎)などの
やさぐれ歌謡曲CD。
特に『ジュテームはさよならの始まり』最高です。
聞いていて、幼少時にテレビで見た『青い体験』とか『流されて』を思い出しました。なぜか。
「うたかたの恋の終わり~♪さよならー、ジュテーム♪
いつかくる、さよならの始まり。ジュテーム♪」
N響創立80周年記念演奏会。武満徹と映画音楽
2006 / 06 / 25 ( Sun )
日曜日の朝、スティービー・ワンダーの傑作アルバム「Songs in the Key of Life」を聴く。
70年代のスティービーは神がかり的な凄さだ。
この凄さは言葉にならない。
4時からN響創立80周年記念演奏会。
もともと、アシュケナージがモーツァルトが弾き振りをするプログラムで、
久しぶりにアシュケナージのピアノが聴けるとのことで、
頑張ってS席をとり、非常に楽しみにしていたのだが、
1ヵ月後、アシュケナージの指の状態が悪いので、指揮のみに変更とのハガキが…。
原宿駅から丹下健三の代々木体育館を左に見ながら、NHKホールへ。
ホール内売店で、アシュケナージの直筆サイン付きCDを購入。
20年ぶりの再録音であるショパンの
ピアノソナタ第3番&第2番と幻想曲。
直筆サインに弱いのだ。
まず、最初は、
武満徹/3つの映画音楽から「ホゼー・トレス」~訓練と休息の音楽
オーケストラのための「波の盆」
3つの映画音楽から「他人の顔」~ワルツ
いずれも映画音楽。私は「他人の顔」しか観たことがないが、
解説によると「ホゼー・トレス」は勅使河原宏監督(この作品知らない)。
「波の盆」は実相寺昭雄監督によるテレビドラマだそうだ。
ところで、映画史のなかでも50年代・60年代の日本映画ほど
超一流の作曲家が積極的に映画音楽を手掛けたことがあっただろうか。
特に武満徹、林光、黛敏郎の3人は、もともとの作曲家としての偉大さにくわえ、
手掛けた映画音楽の量、手掛けた映画作品の重要性、
そしてもちろん映画音楽としての水準の高さの点で、
群を抜いていると思う。
面白いのが、いかにも「現代音楽」な作品をかいている作曲家である武満が、
映画音楽となると、とたんにベタな甘ったるい映画音楽になるのだ。
昔のハリウッドの映画音楽のような、感傷的なメロドラマっぽい曲が多い。
例えば成瀬巳喜男監督の「乱れ雲」(私が最も好きな成瀬作品)。
もともと非現実的な昼のメロドラマのようなストーリーなのだが、
その悲恋ドラマにあわせて、これでもか、これでもかと
あおるように武満のせつない曲が流れる。
そんな物悲しい曲を繰り返し何度も流すのは反則だろう、と思いつつ観ていると、
それが気持ち良かったりする。
そのへんについて、映画狂の武満が蓮實重彦と対談している本
「シネマの快楽」にでも
秘密が書かれてないか、本棚から出して確認しようと思いつつ
今日のプログラムを聴いた。
(ちなみに私が好きなのは林光。増村保造作品での音楽はどれもいい)
「ホゼー・トレス」はジャズっぽい原始的なリズムの曲。
アシュケナージもアクロバティックに指揮。
「波の盆」「他人の顔」はコテコテの武満調の映画音楽。
ステレオタイプな音楽を悪びれずに、これでもかとやる。それが武満。
次に、モーツァルトのピアノ協奏曲第12番。
ピンチヒッターのレオン・フライシャーのピアノ。
最初、この人の演奏はヘタウマ調か?と思いながら聴いていたが、
2楽章からだんだんピントがあってきて、最後良くなった。
と思ったら、アンコールで弾いたバッハ「羊たちは安らかに草をはむ」がまたヘタウマ調に戻っていた。
後半のブラームスの交響曲第1番。
これは本当に素晴らしかった!
聴いていて途中でなぜか涙がジワーっと出てきた。
感動!
まさに80周年記念演奏会にふさわしい演奏だった。
アンコールのハンガリー舞曲もノリにノっていてとても良かった。
満足感いっぱいのコンサートだった。
が、買ってきたアシュケナージのショパンのソナタのCDは???という
出来だった。
聞いた感じ、演奏に往年の輝きはなかった。
素晴らしい昔の録音があるのに、何故にまた録りなおしたのだろう?
ジョージ・マイケルとチャイコフスキー
2005 / 12 / 23 ( Fri )
2時からのサンクトペテルブルク交響楽団のコンサートを聴きに
東京オペラシティに行くと、何と
中部地方の大雪のため楽器が到着しておらず、
開演が7時からに変更、との貼り紙が…。
えー。でも仕方ない。
初台から渋谷に移動し、Bunkamuraへ。
今日が初日の
「ジョージ・マイケル素顔の告白」に行く。
こんな映画、たくさん人入るのか?と思っていたけど、
結構入ってます。ホッ。
小学校の時からワム!のジョージの大々ファンで
将来ジョージと結婚すると思い込んでいた私は
前半、ワム!時代のビデオクリップが続き、懐かし地獄におそわれたわん。
胸がキュンとしちゃった。
日本で流れていたマクセルのワム!CMもでてきます。
それにしても今さら言うのも変だけど、歌がうますぎる!
甘くて、セクシーな艶っぽい声。最高。
特にライブが素晴らしいこと。観ていて鳥肌が立つぐらい。
この映画をみて、さらにジョージ・マイケルの魅力にまいってしまった。
私の中で第3次ジョージ・マイケル・ムーブメントが起きそう。
(第2次はアルバム「
Songs from the Last Century」を聴いて。
これはもう絶品!)
下はジョージさんのサインです。

ジョージの歌声の余韻に浸りながら東京オペラシティーにもどる。
が、延期された7時の開演時間になっても、
客席に入れない状態。楽器は無事届いたのか?
と思って待っていると、やっと客席に入れた。
観客が中に入っている間もオーケストラはリハーサル中。
ほんとに大変なこった。
サンクトペテルブルク響の今日の曲目は
チャイコフスキーの「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」。
クリスマス向けの曲目です。
まず「白鳥の湖」。改めて聴くと、ぬるい曲だなー。
「眠れる森の美女」になると、オケが暖まってきてノってきた。
いい感じ。
休憩後「くるみ割り人形」。
ほーんと、この曲はチャーミングですね。
オケもさらにノってきて、わたし、とても楽しくなっちゃいました。
私に子供が生まれたら、ぜひ聴かせたいです。
5時間以上開演が遅れて、オケも観客も大変でしたが、
それだけだけに、大変だったねー、いやぁ良かったー、
という雰囲気でコンサートが終わりました。
めでたし。めでたし。
オペラシティーのクリスマスツリーはこんな感じ。
