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N響創立80周年記念演奏会。武満徹と映画音楽

日曜日の朝、スティービー・ワンダーの傑作アルバム「Songs in the Key of Life」を聴く。
70年代のスティービーは神がかり的な凄さだ。
この凄さは言葉にならない。

4時からN響創立80周年記念演奏会。
もともと、アシュケナージがモーツァルトが弾き振りをするプログラムで、
久しぶりにアシュケナージのピアノが聴けるとのことで、
頑張ってS席をとり、非常に楽しみにしていたのだが、
1ヵ月後、アシュケナージの指の状態が悪いので、指揮のみに変更とのハガキが…。

原宿駅から丹下健三の代々木体育館を左に見ながら、NHKホールへ。
ホール内売店で、アシュケナージの直筆サイン付きCDを購入。
20年ぶりの再録音であるショパンのピアノソナタ第3番&第2番と幻想曲
直筆サインに弱いのだ。

まず、最初は、
武満徹/3つの映画音楽から「ホゼー・トレス」~訓練と休息の音楽
    オーケストラのための「波の盆」
    3つの映画音楽から「他人の顔」~ワルツ
いずれも映画音楽。私は「他人の顔」しか観たことがないが、
解説によると「ホゼー・トレス」は勅使河原宏監督(この作品知らない)。
「波の盆」は実相寺昭雄監督によるテレビドラマだそうだ。

ところで、映画史のなかでも50年代・60年代の日本映画ほど
超一流の作曲家が積極的に映画音楽を手掛けたことがあっただろうか。
特に武満徹、林光、黛敏郎の3人は、もともとの作曲家としての偉大さにくわえ、
手掛けた映画音楽の量、手掛けた映画作品の重要性、
そしてもちろん映画音楽としての水準の高さの点で、
群を抜いていると思う。
面白いのが、いかにも「現代音楽」な作品をかいている作曲家である武満が、
映画音楽となると、とたんにベタな甘ったるい映画音楽になるのだ。
昔のハリウッドの映画音楽のような、感傷的なメロドラマっぽい曲が多い。
例えば成瀬巳喜男監督の「乱れ雲」(私が最も好きな成瀬作品)。
もともと非現実的な昼のメロドラマのようなストーリーなのだが、
その悲恋ドラマにあわせて、これでもか、これでもかと
あおるように武満のせつない曲が流れる。
そんな物悲しい曲を繰り返し何度も流すのは反則だろう、と思いつつ観ていると、
それが気持ち良かったりする。
そのへんについて、映画狂の武満が蓮實重彦と対談している本「シネマの快楽」にでも
秘密が書かれてないか、本棚から出して確認しようと思いつつ
今日のプログラムを聴いた。
(ちなみに私が好きなのは林光。増村保造作品での音楽はどれもいい)

「ホゼー・トレス」はジャズっぽい原始的なリズムの曲。
アシュケナージもアクロバティックに指揮。
「波の盆」「他人の顔」はコテコテの武満調の映画音楽。
ステレオタイプな音楽を悪びれずに、これでもかとやる。それが武満。

次に、モーツァルトのピアノ協奏曲第12番。
ピンチヒッターのレオン・フライシャーのピアノ。
最初、この人の演奏はヘタウマ調か?と思いながら聴いていたが、
2楽章からだんだんピントがあってきて、最後良くなった。
と思ったら、アンコールで弾いたバッハ「羊たちは安らかに草をはむ」がまたヘタウマ調に戻っていた。

後半のブラームスの交響曲第1番。
これは本当に素晴らしかった!
聴いていて途中でなぜか涙がジワーっと出てきた。
感動!
まさに80周年記念演奏会にふさわしい演奏だった。

アンコールのハンガリー舞曲もノリにノっていてとても良かった。

満足感いっぱいのコンサートだった。
が、買ってきたアシュケナージのショパンのソナタのCDは???という
出来だった。
聞いた感じ、演奏に往年の輝きはなかった。
素晴らしい昔の録音があるのに、何故にまた録りなおしたのだろう?
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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

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 リネン

Author: リネン
♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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