「接吻泥棒」「非情都市」「鏡の中の野心」を観る
2006 / 07 / 16 ( Sun )
朝、ビデオで山村聡、若尾文子主演の「瘋癲老人日記」を見る。
若尾文子は「卍」より2年前の作品だが、
「卍」よりも貫禄ある悪っぷり。
「ダメダメ、おじいちゃんのくせに生意気よ」という台詞が最高にサディスティック。
ラピュタにて「接吻泥棒」「非情都市」「鏡の中の野心」を観る。
川島雄三監督作品「接吻泥棒」。
原作者の石原慎太郎が最初と最後に出演。
軽快なコメディ。
終始スピーディなのだが、特にはじまりが猛烈なスピードで、
俳優の台詞がものすごい早口で聞き取れない。
最後、複数の女性の中から団令子演じる女子高生を選ぶあたりは
18歳の女性と結婚した石原慎太郎らしい結末か(?)。
鈴木英夫監督作品「非情都市」。
この人は本当に会社や業界を描くのが上手い。
「その場所に女ありて」では広告業界を見事を描いたが、
この作品では新聞社のデスクをリアルにスピード感抜群に撮っている。
最高に美しい司葉子は「その場所に女ありて」と同じく広告代理店の営業のキャリアウーマンという役柄。
三橋達也と既に深い仲なのに、情事の後に「あなたのことを好きになっていい?
結婚してなんて言わないから」と言わせるところや、
タバコの吸わせ方などが、
「その場所に女ありて」と同じように、この時代として信じられないほどの新しい女なのだ。
「非情都市」は1960年の作品で「その場所に女ありて」は62年に撮られているので、
「非情都市」での司葉子の役柄が大きくなって、「その場所に女ありて」になったということか。
なるほど、「その場所に女ありて」での司葉子はずっと強くなっていて、
最後すがる男を棄てるのだ。
乾いた映像に息もつかせぬ展開で、必見と言いたいところなのだが、
事件の顛末を描くわけでもなく、主人公がどう反撃するかを見せるわけでもなく
「え、これで終わり?」という感じな消化不良な結末で終わってしまう。
まぁ、ある新聞記者の破滅を描きたかったのだと理解すれば、
納得いかなくはないのだが、主人公の敗北で突然終わるのは何とも後味が悪い。
荒木一郎、ひし美ゆり子主演「鏡の中の野心」。
ひし美ゆり子ファンらしき中年男性のお客さんばっかりで、
場内はかなり暑苦しい。
作品は荒木一郎と女優達との濡れ場を撮るためのB級、いやC級映画。
ひし美ゆり子ファンと荒木一郎ファン以外はバカバカしてくて
見ていられないんじゃないかな。
ひし美ゆり子のカラダは想像以上にキレイでした。
追記。
「非情都市」の原作者三田和夫は元読売新聞社記者。
安藤組による横井英樹殺害未遂事件を取材するが、
犯人隠避容疑で逮捕され退社。
つまり「非情都市」は実話、実在の人物をもとにした映画とのこと。
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