いま、スティービー・ワンダーの『Innervisions』を聴きながら書いてます。
中学生2年の時聴いて感激したアルバムだけど、今聴いてても、その感激はまったく変りません。
日曜だというのに、朝早く家を出て、9時半に京橋に到着。
フィルムセンターに行くためではありません。
あの、カリスマ・パティシエ杉野英実氏の
「HIDEMI SUGINO(イデミ スギノ)」に行くためです。
9時半の時点で、既に10名が並んでました。しかもうち半分は男性の一人客。
木枯らし1号が吹くという寒空の中、震えながら待っていると、厨房からの甘い匂いがしてきて、もうちょっとだ、頑張ろうという気にさせてくれます。
開店の10時前には更に行列が伸びて、大行列。
で、開店。
この時点では、いくつかのケーキがまだ出来てません。
お目当てのアンブロワジーは11時過ぎの出来上がりとのことですが、
それまでイートインで待てっていていいとのこと。
で、そのアンブロワジーとポム・デーブとスーボワを注文。
この店では皆、一人で2つ、3つ頼んでます(6個までの個数制限あり)。
この人気で、次回いつ貴重なケーキにありつけるかわからないので、
複数食べるのは当然の行為でしょう。
あっという間に、イートインは満員です。
お客さんをみていると、グルメっぽい男性の一人客が多い。
さて、ポム・デーブとスーボワが運ばれてきました。
ポム・デーブは、フランベしたリンゴをのせた青リンゴのムースと
シナモン風味のキャラメル・ムースのケーキ。
これは美味しい。
特に下の層のキャラメル・ムースがお酒が程よく効いていて、
たまりません。
オススメの一品です。また食べたい。
スーボワはカシスのムースのケーキ。これは割合普通でした。
かなり酸味は強め。
アンブロワジーを待っている間、隣の席の女性二人とちょっと話す。
札幌から来ていて、夜は東京ドームのアジア・シリーズに行って日本ハムを応援するとのこと。
札幌のケーキもかなりレベルが高いという意見が一致。
なんて話している間にも、お客さんがどんどんやってきて、
飛ぶようにケーキが売れていきます。本当にスゴイ。
さて、11時がまわりアンブロワジーがやってきました。
ワタシの他にもアンブロワジーを待っていたお客さんが何名かいました。
この超有名なチョコレートのケーキ、ルックスからかなり濃厚な押しが強い味を想像をしていましたが、
口に入れた途端「違う」と思いました。
いい意味でかなり裏切られた感じ。
アメディなどのチョコレート・ケーキとはかなり違う味のチョコレートでした。
濃厚でありながら、かつ軽やかな味わい。
矛盾しているようで、それが両立するチョコレートなのです。
内側には甘みのない白いクリームが入っていて、
台の下の方にはかなり酸味の強いラズベリーのソースがあり、
このラズベリーだけ食べると酸っぱいのですが、
外側のチョコレートを合わせて食べると、丁度よい加減でした。
かなり満足をし、焼き菓子の組み合わせも買ってお会計をすませました。
11月14日からクリスマス・ケーキ2種類の予約受付を始めるそうです。
わー、予約したい、と思いましたが、6000円もします。
これがメインになってしまうお値段です。
『近松物語』を観るためにフィルムセンターに移動。
溝口とか小津とか成瀬の時はフィルムセンターは狂気の沙汰の並びようですが、
それを覚悟して、超早い時間に行って座って待っていると、
オジイサマ達の大声でのオシャベリにまいってしまう。
物凄い大声で、『砂の器』のストーリーを微に入り細に入り話し合うのは止めてくれー。うるさくて、金子光晴が読めないではないかー。
『近松物語』を観るのは、汚く臭かった中野武蔵野ホールでの進藤英太郎特集(渋い)以来よ。
8月に行った『没後50年 溝口健二 国際シンポジウム』で、
香川京子と助監督だった田中徳三の『近松物語』撮影時のエピソードを色々聞けたのので、
それを思い出しながら観ました。
完璧な映画とはこういう作品のことを言うのだな、と改めて思いました。
特に、霧がたちこめる小舟の上で、長谷川一夫演じる茂兵衛が香川京子演じる「おさん」に告白するシーン。
もう、どうしましょう。
撮影時、溝口健二は香川京子に「反射してください」としか言わず、
具体的な演技指導がなく、どう演技したらいいものかと困ったと話していましたが、
香川京子にとっても一世一代の名演技でしょう。
美しく、憂鬱そうで、そして開放され、強く美しい。
昔、文芸春秋で好きな洋画と日本映画ベスト10を選ぶという企画がありましたが(文庫本にもなっている)、
ワタシならこの『近松物語』を入れたい。
はあー。
