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田中登特集『夜汽車の女』『白い悪魔が忍びよる』

桜が満開ですが、今年は花見も取りやめてラピュタの田中登特集へ。

『夜汽車の女』。
お屋敷に住む大学教授の娘姉妹の禁断の愛を描いた幻想的なお話。
真面目で陰気な姉・裕美(そうは見えないけど27歳)と奔放な妹・冴子(23歳)は、異常に仲の良い姉妹だったが、姉に有川という父の研究室の男との縁談がもち上がったことにより、一家が崩壊していく、というストーリー。
織田俊彦演じる有川という男、出世を狙って姉と結婚しようとするですが、妹に誘惑されるとすぐに妹と関係を持ち、心変わりして妹と結婚しようとするものの、教授である父親に妹との結婚を反対されると、姉と復縁しようとする自分の利益のためなら何でもするトンデモナイ男なのですが、村上ファンドの村上世彰に似ていて観ていて笑ってしまいました。
姉妹が冷たくあたる家政婦ひろ子(桂知子)が、最初から何かやってくれそうな雰囲気。
ひろ子がアイロンとハンドバッグを前に身悶えするシーンにびっくり。
アイロンですかー。
姉と有川が湖畔のホテルに行ったのを追って、嫉妬に狂った妹は夜汽車に乗るのですが、ここでやっとこの作品のタイトルの所以が判明します。
この夜汽車のシーンが摩訶不思議で、1972年なのに蒸気機関車で中は板張りで、年老いた瞽女が3人乗ってきて唄をうたい出したりして、宮沢賢治というか(「銀河鉄道999」はこの映画よりずっと後の作品)、幻想譚というか、とにかく不思議。
この汽車の部分だけ別の映画のよう。ああいう映像を撮ってみたかったのでしょうか?
非常に耽美的なファンタジー作品でした。
音楽はバッハのチェンバロによる演奏曲いろいろ。
前回観た『女教師』と同じく全編クラシックでした。

次に田中登が監督した2時間ドラマ作品、
テレビの朝日の月曜ワイド劇場『白い悪魔が忍びよる』(1984年)。
これは、本当に凄かった!必見!
(といっても今日が最終日なのですが)
山本陽子演じる自宅に蔵があるおうちの裕福な奥さんが、ふとしたきっかけで佐藤慶演じる売人に覚せい剤漬けにされ、最後に娼婦にされボロ雑巾のようにされるというお話。
まず佐藤慶がすごい。
冒頭、渋谷駅で山本陽子と出会ったときの目つき、恐ろしすぎる。
この佐藤慶の恐ろしさ、どこかで見たと思ったら増村保造の『大悪党』です。
(そういえば『白日夢』もそういう役でしたね)
佐藤慶ほど、こういった一度目を付けたら決して逃さない大悪党を演じられる俳優はいないなぁと。
そして何より山本陽子の演技の凄さ。
狂気の大熱演といっていいでしょう(この言葉、『異常性愛記録ハレンチ』での若杉英二のことを書いた時以来つかったわん)。
最初は絵に描いたような良妻賢母なのですが、覚せい剤をやってハイになった所の演技が何とも自然だし(そういう本物の人を見たことはありませんが、たぶん。)、
ヤクが切れてもだえ苦しみだすところがすごくて、喉が渇きだして自動販売機の前でジュースを飲むところとか、薬欲しさにカラダを男達に任せるところもすごいし、
そして何より幻覚でおかしな行動を起こすところの迫真の演技ときたら、山本陽子一世一代の大演技です。
クスリによって段々とおかしくなるところを色々なエピソードで見せるのですが、いやぁ本当に恐ろしい。
最後に山本陽子は家を飛び出し、堕ちるところまで堕ちるのですが、
汚い海辺(川辺?)の部屋で男に身を売る時の顔、錯乱している時の顔、とにかくスゴイのです。
こんなに迫真の演技をする女優さんとは知りませんでした。
凄まじい演技と身の毛もよだつ恐ろしいストーリーの2時間ドラマが地上波のゴールデンタイムに放送されたとは信じられません。
覚せい剤を腕に注射する局部のアップのシーンが何度もあったのですが、今ではこんなリアルなシーン流せないのではないでしょうか?
113分、息もつかせぬ恐怖の連続の大傑作でした。
(出演者も西郷輝彦、加賀まりこ、山村聰、浦辺粂子、樹木希林と豪華。音楽は佐藤允彦。)


休憩の間、高崎俊夫さんから伺ったのですが、
この当時、主婦の薬物乱用者の増加が問題になっていたそうです。
そういえば、私も小学校に入った頃、人から薬や飴をもらっても、
覚せい剤かもしれないから口にしてはいけないと親に言われました。

それから、高崎さんから中川梨絵のデビュー作品は成瀬巳喜男の『乱れ雲』だとも教えていただきました。
加山雄三が赴任した青森支社の女子事務員役だそうです。
ビックリです!
高崎さん、お話有難うございました。
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結城良熙プロデューサー来場「性と愛のフーガ 田中登の世界 」

阿佐ヶ谷にて、希須林 小澤で坦々麺のランチ・セットを食べ、カフェ・ドゥ・ワゾーに移り、オールド・ビーンズのマンデリンを中濃で頂き、大満足したところで、ラピュタに向かう。

本日は「性と愛のフーガ 田中登の世界」。
ロマンポルノのまとまった特集に通うのは2004年のシネパトスでの「妖艶列伝」という特集以来です(その後もパラパラとは多少観ていましたが)。

まず1本目『牝猫たちの夜』。
面白い!必見!
新宿のトルコ風呂を中心に、そこで働く女達、ゲイ・ボーイ、職業不明な男、銀行員などの人間模様を描いた作品。
主人公のトルコ嬢昌子(桂知子)、隣人の男(吉澤健)、ゲイ・ポーイ(影山英俊)の3人の関係が何とも不思議。
どのシーンも素晴しくって、一瞬も目が離せませんでしたが、面白いと思ったのが、ゲイ・ボーイが昌子相手に初めて女性と関係を結ぶ時、グレゴリオ聖歌のレコードをかけて、3人で不思議なセックスをするところ。
それから、吉沢健が自室で、天井から鎖でぶら下げたキャベツ1個丸ごとを、椅子に座って手を使わずに食い付くのが面白い。
歌舞伎町やゴールデン街、新宿駅西口などでロケをしているのですが、
ゴールデン街の都電の線路跡が何度も出てきました。
既に都電は廃止されていて、四季の道に変わる前の、線路だけ残っていて草がボウボウと生いる廃墟みたいな状態。
ワタシは四季の道以降しか知りませんので、興味深かった。
ラピュタの作品解説にもあるように、ラスト、朝の西口駅前ビル街のシャッターが一斉にあがっていくシーン、非常に印象的です。
この作品、ワタシのベスト・新宿映画にランクインです。
(ほかは、『恋の片道切符』『ネオンくらげ』など)

2本目は名作『実録 阿部定』。ニュープリント上映。
プロデューサーの結城良熙氏と、高崎俊夫氏が来場しており、
上映前に結城氏が挨拶をし、本編開始。
上映後、結城氏のお話があり。以下内容(記憶をもとに要約)。

田中登と結城氏は日活の同期入社であり、ロマンポルノ開始時、
田中は監督に、結城氏はプロデューサに分かれた。

『実録 阿部定』の翌年に大島渚の『愛のコリーダ』が製作されたが、
大島があちこちで、『実録 阿部定』の製作の前年には『愛のコリーダ』の構想をしていたと言って歩いたので、そのことに田中はカチンと来ていた。
その件を今日は皆さんに伝えたい。

田中と結城氏が助監督時代、今村昌平が今村プロを設立し、『エロ事師たちより 人類学入門』を撮った。
当時は助監督は4人で、衣装係、美術係も付くのが普通だったが、
資金がないので、助監督は田中、結城氏を含めた3人で、衣装は田中、美術は結城がやらなければいけなかった。
二人とも非常にやる気があり、資金が限られている中、田中は貸衣装屋で、~という方法で(細かく書くのが面倒なので詳細省略)1着分のみの代金で6着分借りることに成功し、また結城氏も劇中の美術として必要な8ミリカメラ8台を借りに、直接フジフィルム本社に夜中に訪問し、守衛にお願いして、結果タダで当時発売されたばかりのフジカ・シングル8を8台借りることができた。

ロマンポルノは750万円の低予算で撮影しており、
『実録 阿部定』も撮影期間はわずか8日間で、正月休みを挟んで撮影した。
宮下順子は大変の気のいい女優だったが、とてもお酒が好きだったので、
二日酔いで変な顔で撮影に来られては困るということで、
大晦日は結城氏の自宅に宮下を泊め、宮下が飲みすぎないよう田中と三人で程々に飲み、
正月は田中が田中宅に宮下を泊め、また三人で程々に飲んだ。
宮下は1月3日は地方にあるにっかつの劇場に新年の舞台挨拶にまわった。

いどあきおは、NHKなどで毒にも有益にもならないホームドラマの脚本などを書いていたが、台詞がうまかったので、ロマンポルノなのだけれど脚本を書かないかと声をかけた。
すると、いどから実はそういうのをやりたかったんだ!と言われた。
そして『(秘)色情めす市場』の脚本を手掛けた。
いどは脚本を書く上で、台詞の推敲を細かくやり、また調査が徹底していた。
『実録 阿部定』についても国会図書館に行き、阿部定関係の資料を読み尽くした。

田中も下調べが徹底しており、撮影前に夫人に自宅で台詞を読ませ、ストップウォッチで計り、カット割りを決め、撮影前に台本は真っ黒だった。
『実録 阿部定』を観てわかるように手抜きのない重厚感のある映像を撮っているが、準備が徹底したいたので撮影は速く8日間で撮り上げた。
(宮下は演技が特別上手い女優ではないので、リハーサルが必要で、時間が非常に限られていた)。
そういう意味でも、大島があちこちで『実録 阿部定』の前年に阿部定の題材で作品を構想していたと言って歩くことを、田中はガマンならなかった。

映画は監督のものであるが、シナリオ、美術等々の力で出来ており、まさに総合芸術であると思う。


こんな内容でした。結城プロデューサーの貴重な話がきけて、とても嬉しかった。
ワタシは『愛のコリーダ』もとても好きですが、結城氏の話はごもっともだと思う。
改めて『実録 阿部定』のニュープリントをスクリーンで観て、
低予算であれだけの映像をつくることの偉大さをヒシヒシと感じました。
特に美術(川崎軍二)の素晴しさ!

3本目は『女教師』。
映画の出来不出来とは別に、話の内容がワタシにとってとても不愉快。
冒頭、主人公の女教師を演ずる永島暎子がショパンのポロネーズ第2番 Op.26-2を弾くのが非常に印象的。
このポロネーズに始まり、劇中ショパンの複数のピアノ曲が、不快なストーリーに合わせてドラマティックに、特にはロマンティックに流れるのは素晴しかった。

これから1ヶ月近く、この特集が楽しみです。

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ジャック・ドゥミ監督『天使の入り江』

本日も心臓の痛みをこらえ、ジャック・ドゥミを観にユーロスペースへ。
1963年の作品『天使の入り江』。日本未公開作品。ニュープリント上映。
上映前に今回のプログラム・ディレクターのジャン=マルク・ラランヌ氏から作品の紹介がされ、本編開始。

ジャンヌ・モロー、クロード・マン主演のギャンブル映画(?)。
平凡な銀行員のジャックは、ギャンブル好きな同僚にそそのかされ、
パリのカジノに初めて行き、年収の半額を一晩で手にする。
ジャックはその金で南仏ニースにヴァカンスに行き、
そこで、ギャンブル狂いでギャンブルのために離婚し子供も失った女ジャッキー(ジャンヌ・モロー)に出会い、彼女に惹かれ、二人で大損したり大儲けしたりで、賭けを続けて行く。
大儲けした時は、その金で車やタキシード、ドレスまで買ってモナコに繰り出して、またカジノに行く。
が、大儲けの後には大損あり。二人はどうなる?

この作品の冒頭の素晴しさったら、ほんとスゴイ。
まずドゥミ大得意のアイリスショットに、ジャンヌ・モローが映り、そしてニースの海岸を車がかなりの速度で走るトラベリング・ショットが続く。
ここの見事さったら、ちょっとないよ。
残念なのは、このシーンに流れるピアノソロの音楽が耳障りこの上ないもので、まるでリストのピアノ曲のように、左手はオクターブを叩き続け、右手はけたたましくかき鳴らし、そのピアノが調子の狂った楽器で激しく歪んだ音が大音量で流れるので、この曲が度々流れる度にワタシ、両手で耳をふさいでしまった。
本当に最悪。もっとましな録音環境で録ればいい曲なのかもしれないのですが。
(リストのピアノ曲は弾くのも聴くのも好きですけど)
白い壁の室内シーンが多く、そこに黒っぽい衣装の主人公やジャンヌ・モローが歩くショットが素晴しく、他にもおおっと思うショット満載。
だからこそ、本当に音楽(録音)のまずさが残念。

上映後、ジャン=マルク・ラランヌ氏による長いティーチイン。

ラランヌ氏の、『天使の入り江』のジャンヌ・モローが演じたギャンブル狂の女の名前がジャッキー・???で、「ジャック・ドゥミ」にかけているのではないか、
カジノのテーブルで同じ好きな数字を賭け続ける「ジャッキー」のように、ドゥミ自身も天国と地獄を経験しつつ、好きなミュージカル映画に掛け続けたのだ、という指摘は面白かった。
質疑応答で、夕張国際ファンタスティック映画祭や東京国際ファンタスティック映画祭のプロデューサーだった小松沢陽一氏が手をあげ、この方は『ベルサイユのばら』以降ドゥミと親交があって、晩年の苦労などを本人からきかされていたという話をされたのが興味深かった。
小松沢氏によると、『パーキング』のコンサート会場での死はジム・モリソンの死に影響を受けており、最初はデビッド・ボウイをキャスティングしたかったが実現しなかった。また、ジョン・レノンの死にも影響されており、そのためオノ・ヨーコのイメージで主人公の妻役を日本人が演じたのだ、とのこと。
なるほど。
ラランヌ氏によると、1968年の『モデル・ショップ』撮影時に、ジャック・ドゥミとアニエス・ヴァルダはジム・モリソンと知り合い、『ロパと王女』の古城での撮影にジム・モリソンがやってきたのだとか。
うーむ。『ロバと王女』とジム・モリソンとの組み合わせ、意外過ぎる。
ラランヌ氏曰く『パーキング』のキャストはジム・モリソン→デビッド・ボウイで考えられたが、実際にはよろしくない俳優(フランシス・ハスター)になったのだ、と。
などなど長い時間色々な話がきけたのですが、印象に残ったのはこんな話。

ユーロスペースでのジャック・ドゥミ特集が終わり、ハード・スケジュールから開放される間もなく明後日からは田中登特集。
つらい。死にそう。
「ラピュタに死す」はいやだ。

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心臓の、痛みこらえて劇場へ。『ベルサイユのばら』

連日の映画鑑賞の疲れで、朝起きるとすで体がフラフラ。
会社に行って働いていると、更に体調が悪くなり、心臓が痛みだした。
必死にこらえ、お客さんと話していても、苦痛で脂汗が出てきて、
こりゃいかんと思い、病院へ行って心電図とレントゲンをとってもらう。
ああ、今日もジャック・ドゥミを観に行かないといけないのに、これじゃ行けそうもない、どうしようと考えていると、医者は心電図には異常がないと言う。
では、映画に行けるかなと思ったけれど、やはり心臓が苦しいことは変わりなく、このまま無理をして劇場に行って死んだりはしないだろうか、いや、どうしても映画が観たい、とかグルグル考えているとさらに具合が悪くなる始末。

で、結局ハァハァいいながら、ユーロスペースへ向かう。
どこまでバカなんだろう、ワタシ。
で命懸けで観たのはジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグランの『ベルサイユのばら』。
最初に断っておきますが、ワタシは「ベルばら」という漫画がこの世にあって、とても人気なのは知っているけれども、池田理代子の原作を読んだこともないし、宝塚を観たこともない。
フランス革命の時の話らしいということぐらいしか知らない。
ので、漫画や宝塚の世界と比較することなく、純粋に一映画作品として観たのだが、ヒドすぎる。
映画の体(てい)を成していない。
音楽も凡庸、もしくはそれ以下。
何これ、日本の企業向けのやっつけ仕事?(資生堂がスポンサー)
フランス未公開とのことだが、これじゃ公開できんよ。
ちなみに、ベルサイユ宮殿で撮影しており、それに関してはスゴい(『マリー・アントワネット』以前にもベルサイユで撮影した映画作品があったのだ)。
それから、台詞はすべて英語。これにもビックリというかガッカリ。
フィルム状態は、冒頭赤く退色した状態で始まり不安になったが、冒頭以降は比較的安定していて、年月を考えればマシな方。

この映画、どこかどう映画以前なのか説明するのも時間が無駄と思える作品なのだが、それでも、そういうことが言えるのは観に行ったからこそであり、ヒドい作品であっても、観てみなければそのことがわからない。
仮に今日観に行かなかったら、面白い作品だったのだろうかとか、観たかったとか思い続けることになり、駄作であっても観に行くことには価値がある。
が、『ベルばら』ものなら駄作も含めすべて網羅したいとか、ジャック・ドゥミやミシェル・ルグランの熱狂的ファンで全部観ないと気が済まないとかいう人以外には、わざわざ観なくてもいいですよ、と言っておきたい。悪いこと言わないから。

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『想い出のマルセイユ』と『パーキング』

昨晩は8時半からユーロスペースで『ローラ』を観た後、帰宅し、
豚バラ肉の煮込みと、ポタージュと(粉にお湯をかけるだけでなく、ちゃんとネギを炒めてじゃが芋を茹でてつくったやつ)、筑前煮をつくり、
ブログを更新し就寝。
今朝は6時に起き、豚バラ肉を再び煮込み、身支度をし9時5分に自宅を出て10分発の電車に乗る。
9時半頃渋谷駅に到着し、ユーロスペースに行き、今日の上映の整理番号を受け取る。
VIRONに行き、リエットを挟んだバゲットのサンドを頼み、上のブラッスリーに上がると、朝の9時台だというのに、ここのえらく高い朝食を食べる人で満席。皆ペチャクチャ話しながらパンを食べてる。
カウンターでエスプレッソ(よろしくない味)を飲みながら、
サンドイッチを食べる。
ユーロスペースに戻り、座って雑誌を読みながら上映を待つ。
ワタシの疲れは、すでに臨界点。
昨日買った『クウネル』最新号は、台所特集。
人様の台所の写真を見るのは大好きなのだが、
この雑誌、ほめ殺しみたいな文体がとにかくキモチワルイ。
ku:nel (クウネル) 2007年 05月号 [雑誌] ku:nel (クウネル) 2007年 05月号 [雑誌]
(2007/03/20)
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今日もジャック・ドゥミ特集。
まず1988年のイブ・モンタン主演『想い出のマルセイユ』。
80年代の安っぽいサウンドとファッションが満載なのには嫌悪感を感じる。
オエーッ。
今となっては、80年代のピコパコ・サウンドは無残としか言いようがないね。
主演女優のマチルダ・メイはワンピースに丈の短いジージャン着ていてさ。
冒頭のマルセイユ駅近くでの群舞などは竹の子族みたい(竹の子族は正確には1980年の現象だけど)。
一方往年のスタンダード・ナンバーやジャズを唄うところは、対照的に素晴しい。
まぁ、80年代というのはルグランもピコパコ・サウンドをやらざるを得なかった軽薄な時代だったんだねと再認識。
『ロパと王女』と同じ近親相姦がテーマの映画でした。
今回の上映に利用したフィルムはフィルムセンター所蔵のものだったのに、映画中盤に映写事故発生。
ミュージカル・シーンで突然途切れ、5分以上(10分ぐらいだったかも)待ちの状態に。

上映後、DEAN&DELUCAで食パンを買い、いったん帰宅。
19時半からの『パーキング』を観にいくためにまた渋谷のユーロスペースへ向かう。

『パーキング』は、1985年の作品。もちろんこれもジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグラン作品。
ジャン・コクトーの『オルフェ』の大胆なリメイク。
古城に住む、日本人の愛妻を持つロック・スター「オルフェ」が、あの世とこの世を行ったり来たりするお話。
ジャン・マレーも顔を真っ白く塗った姿で出演。
これも80年代の作品なので、あの恐ろしいピコポコ・サウンドが流れるのかと恐れていたが、この作品はほぼ無傷だった。
オルフェがコンサートの時にしているヘアバンドに動く電飾が付いているのには笑ったけど。
主人公オルフェの妻役という重要な役を演じたケイコ・イトウという女優さん、目のクマの感じなどちょっと寺島しのぶ似。
とてもフランス語が流暢(にワタシには聞こえる)。
検索しても情報が出てこないのだが、どういうプロフィールの方なのだろうか?
題名がなぜ『パーキング』なのかは、冒頭すぐ判明。
こういうおとぎ話があってもいいのでは。

ジャック・ドゥミ&ミシェル・ルグランの最後の2本を鑑賞した一日。
疲れた。

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『ローラ』@フランス映画祭

就業後、ユーロスペースでのフランス映画祭「ジャック・ドゥミ特集」へ。
本日は『ローラ』(1960)。
超満員。立ち見客多数。
それにしても、ジャック・ドゥミを観にくる人たちってオシャレさんばかり。
普段見ている劇場の観客とあまりに違うんで、見惚れてしまいました。

『ローラ』ですが、過度に露出オーバーなシーンと過度に露出アンダーなシーンが交互にあらわれるので、見づらくて目がおかしくなるかと思いました。
オペラのように劇中、登場人物や台詞の内容に合わせて、それぞれのテーマ曲を流す手法をつかっていました。
主人公ローラが待ちつづけている男性が出てくるシーンには、ベートーベンの交響曲7番。
登場人物が愛について語りだすときは、ルグランの甘いメロディ(これはその後『シェルブールの雨傘』でも使われる曲)、てな具合に。
1回だけバッハが流れたのだけれど、あれはどういう意味だったかな?
港町ナントが舞台なのですが、アヌーク・エーメとマルク・ミシェルが歩く、真ん中に大階段があり彫刻もある豪奢なパサージュが印象的でした。
パッサージュ・ポムレー Passage Pommerayeという1843年につくられたパサージュだそうです。
フランス政府観光局サイトに写真あり(ココ)。

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『ロバと王女』@フランス映画祭

ユーロスペースで行われているフランス映画祭の「ジャック・ドゥミ特集」に行く。
本日は『ロバと王女』。
ミシェル・ルグランによる美しい半音階のテーマは、バロック調で始まり、途中ドビュッシー風にヴァリエーションし、最後またバロック調に終わる。

上映後、中条省平氏によるトークショー。
フランスのミュージカルは踊らない、とか
ルグランの音楽は唄えない(確かに、複雑過ぎるメロディ)、とか様々な指摘を聞く。

ところで、ワタシがよく行く劇場は、新文芸坐、シネマヴェーラ、ラピュタ、シネマアートン、フィルムセンターといったところですが、こういった劇場に行くと、いつもお客さんの顔ぶれが同じ。
これらのどの劇場に行っても、お客さんがいつもかぶっていて、同じお客さんと1週間に何度も会うことも。
こちらがそう思うだけでなく、向こうもワタシのことを「またあの女かー」と思っているのかも。
しかし、顔を見知っていても、決してお互い会話したりすることがないのが、コアな映画ファンらしいところ。
増村の上映にいつもくるお客さんが、陳凱歌の『大閲兵』を観に来ているのを見ると、
「おおっ、こういうのも観るのか」なんてワタシは思うんですけどね。
で、今日の『ロバと女王』の上映には、知っている顔は一人も来ていませんでした。
観客のタイプとしては、旧ユーロスペースで上映された「チェブラーシカ」を観にきていたような愛らしいお客さん達(ワタシはその時、「チェブラーシカ」は見ず、隣で上映していた若尾文子特集に通っていたんだけどね)と、少数のコアな中年男性(フランス文学をかじったような)。
トークショーの質疑応答を聞いていて思ったのは、どのような映画にもコアなファン層がいるんだな、と。
中国映画のトークショーなんか行ってもハァーと思うことが多いね。
映画のタイプによって、客層にそれぞれカラーがあるのが面白い。
日本映画をいつも観に来る人は、ハッキリ言ってむさ苦しくて、世間に背を向けている感じ。
あ、言っちゃいまいした。
そして、ワタシもその一人なのです。わーい。

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増村保造監督『動脈列島』

ラピュタにて増村保造監督作品『動脈列島』を鑑賞。
これまでビデオでしか見たことしかなく(増村作品は上映の機会が多いので、ビデオで見たのはこの作品だけ)、スクリーンで観るのを非常に楽しみにしてました。
数年前ビデオで見たときは、「何だか暗い作品だなー」ぐらいの印象でしたが、
今日改めてスクリーンで観て、傑作だと認識。
増村作品の中でも、最も素晴しい1本と言って過言でないと思う。
増村映画の常連である林光の音楽が素晴しく、脚本はこれまた増村映画の常連の白坂依志夫と増村保造。
ワタシは林光と白坂依志夫が大好きなのであります。
大映倒産後の1975年の映画で東京映画(東宝)作品。
役者の演技がいつもの大袈裟な増村調の台詞回しでなく(多少、関根恵子が『遊び』風)、かつ好演。
特に、近藤正臣の熱演に唸る(スゴいよ)。
死期が近い田宮二郎と小池朝雄が同じショットに映し出され、ハっとする。
公害訴訟の団長が加藤嘉というのはハマリ役で可笑しかった。
田宮二郎が超能力者かスーパーマンみたいなところはご愛嬌。
田宮二郎だから許せる。

ビデオで見たときは、あそこまでやる近藤正臣の動機の部分が今ひとつ理解できなかったのですが、今回スクリーンで観て、新幹線の騒音や振動が大音量で迫ってくるので、すんなり納得できました。
『新幹線大爆破』の場合、犯行グループのお涙頂戴な動機の説明がクドいくらい続きますが、
(海外上映版はこの動機の説明部分をバッサリ編集)
『動脈列島』は、動機の部分が非常に自然で、観ている人は近藤正臣に共感が持てるようになっていて、かつ女達(関根恵子、梶芽衣子)が犯行に手を貸すのも自然に思えるようにできております。
(まぁ、近藤正臣がイイ男だっていうのが第一なんですけどね)
ホント、この作品での近藤正臣、いいんですよ。
こんな理想に燃える若きインテリ医師だったら、女性は手を差し伸べたり、部屋に匿ったりしちゃいますよね(たぶん)。

既見の作品に対し、こんなに燃えて観たのは久しぶりでした。
(それから端役で、渡辺文雄、芹明香、久米明、神山繁、峰岸徹など出ていて、『新幹線大爆破』には負けるけど、かなりのキャストです。
小沢栄太郎が演じた警察庁長官の役名が「国松」なのにビックリ。
予言ですか?)

帰りにカフェ・ドゥ・ワゾーにて、ドゥミタスでペルーのピーベリー(深煎り。オールド・ビーンズ)と、マンデリンを中濃(100cc)で頂く。
素晴しい味を堪能。

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ミッシェル・ルグラン@題名のない音楽会

先週に続き、ミッシェル・ルグランが出演する「題名のない音楽会」をチェック。
「シェルブールの雨傘」を羽田健太郎と共にオーケストラをバックに2台ピアノで演奏。
そもそもピアノ一人で演奏できる曲(アレンジ)をわざわざピアノ2台に分けて二人で演奏しているし、指揮者がいないので、ルグランがピアノを弾いているときは羽田健太郎が振って、羽田健太郎が弾いているときはルグランが振る、というまぎらわしい演奏で、オーケストラとピアノ2台が途中で空中分解しそうになって、見ていてハラハラした。
それよりも、演奏前のルグランのインタビューが短かったけど良かった。
先日の「徹子の部屋」は同時通訳も聞き苦しく、徹子もあまり人の話を聞かない人なので、見ていて「もったいないなー」と思ったのだが、
(ジャック・ドゥミが亡くなった話になった際、ルグランの同時通訳が「私に了解なくジャックは死んでしまった」と言ったのを聞いて、何と徹子はゲラゲラと笑ったのだ!ボケたのか?)
今日の「題名のない音楽会」は編集が適切にされていて、通訳をまじえたやりとりもルグランのユーモアある人間性が表れていて、
ああ、歳とったけど『5時から7時までのクレオ』あのまんまだ!と嬉しくなった。
あの作品中、ルグランはかなり滑稽に演技している風だったけど、普段のルグランのままだったのではないかと。

さて、ワタシは11月1日のオーチャード・ホールでのルグラン&オーケストラのプレオーダーのチケットを確保済み。
非常に楽しみです

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映画のせいで旅行に行けない・・・。

4月か5月に旅行に行きたいのに、ラピュタの「性と愛のフーガ 田中登の世界」、シネマヴェーラの「最終兵器・鈴木則文降臨!」と、次々と通わなければいけない特集上映があるので、旅行に行けません。
旅行先の行きたいスポットは、すぐになくなることはないけれど、
映画の場合、次にいつスクリーンで観られる機会があるかわかりません。
旅行の計画をたてるときは、いつも各劇場のスケジュールをチェックして調整しなければいけません。
困ったものです。

さて、今日行きたかった上映のチケットが、前売りで完売してしまい、当日券をあてにしていたワタシは行けないことがわかり、代わりにラピュタで2本鑑賞。

深作欣ニ監督の『脅迫(おどし)』。
三國連太郎・春川ますみ夫妻(ありえん組み合わせ)の自宅に、凶悪脱獄囚の西村晃と室田日出男が逃げ込んできて、凶悪犯二人が新たに起こした誘拐事件の身代金の回収に、妻子を人質にとられた三國連太郎がつかわれる、というストーリー。
人一倍大柄で迫力ある面構えの三國連太郎が、銃を持っているとはいえウラナリみたいな西村晃をなぜやっつけられないのか?という疑問が終始頭に浮かびます。
凶悪犯は妻子を人質にとっているという自信から、何と三國連太郎をいつもどおり会社に出勤させ(これには驚いた)、立てこもっている三國の自宅から会社に電話をし、三國に会社から外出させ身代金を回収するよう指示します。
そして三國連太郎は警察に逃げ込むことなく、指示通り京王百貨店で身代金の回収を試みます。
いくら妻子が人質にとられているとはいえ、警察に訴えるでしょう。普通は。
ともあれ面白かったです。
追い詰められた三國連太郎が都内繁華街を色々歩き回るのも見もの。
クライマックスはタカシマヤなんかが出来る前の、連れ込み宿など並ぶ汚い新宿南口界隈。
強そうで豪快そうなルックスの三國連太郎はミスキャストだと思う。
この前観た同じ巻き込まれ型の『彼奴を逃すな』に出ていた木村功の方が、こういう役にはしっくりくるのでは(ちなみに三國と木村は同い年)。

渡辺祐介監督『黒の奔流』。
あの、主演の岡田茉莉子が25歳の役なのですが、どう見てもムリがあるのですが(実際は当時39歳)。
弁護士・山崎努vs検事・佐藤慶のエエ声俳優二人の法廷での激突が始まったと喜ぶも、裁判部分はあっさり終了し、突然テレビの2時間ドラマ調『陽のあたる場所』が始まります。
山崎努のオーバーな目の演技、かなり笑えました。

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23 : 18 : 53 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(0) pagetop

ミシェル・ルグラン@徹子の部屋

本日の徹子の部屋の録画をチェック。
ミシェル・ルグランが出演。
ひと通り、ルグランの経歴や作品を紹介し、
スタジオでのピアノ演奏。
「シェルブールの雨傘」「これからの人生」「おもいでの夏」「華麗なる賭け」のメドレー(ルグランの唄付き)。
森山良子が出てきて、カーネギーホールで共演した映像(「シェルブールの雨傘」のデュエット)が少し流れる。
秋のコンサートの宣伝をして、終了。

久しぶりに徹子の部屋をちゃんと見たけど、黒柳徹子の滑舌が悪いのに驚き、話があまりかみ合ってないなー、同時通訳を通した会話だからか?などと思いながら見た。
あと、ルグランが演奏したピアノの鍵盤の両端に、リップクリームかタイガーバームみたいな青い不思議な丸い物体が置いてあったけど。
あれは何?
演奏の途中に、ルグランがその青い物体に触れて、また弾き出したのだけれど、クリーム?
手がカサカサするから?

次回の題名のない音楽会も見る予定。

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22 : 57 : 40 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) pagetop

買い物と休息

この土日は誰かに会うわけでもないのに、劇場に行かず。
次の週末から気になる特集上映が連続なもので。

チョットお疲れ気味のワタシは気分を変えようと土曜の朝10時過ぎに伊勢丹に。
化粧品を買い、靴をチラ見し、食器売り場へ。
目的もなく見ていたら、ノリタケ製フランク・ロイド・ライトの帝国ホテルのテーブル・ウェアの復刻版を発見。
1客2,625円。意外にも普段使い用の値段設定で、この有名なデザインのカップで家で美味しいコーヒーを飲もうと思い、2客衝動買い。
ノリタケ&ライト

イッタラのガラス皿も購入。
イッタラ

ロイヤル・コペンハーゲン・ティーラウンジでカレーとアールグレイのランチ。

三越に移動し、ジュンク堂へ。
最近は新宿で本屋といえばココ。
ロフトが潰れてしまったので、ジュンク堂のフロアが一つ増え、本の配置が変わり、迷う。
本や雑誌をチェックし、結局買ったのはコレ↓。
先程の行動と矛盾しています。
本当は持たずに暮らしたいのです。
お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし お部屋も心もすっきりする 持たない暮らし
金子 由紀子 (2006/12/01)
アスペクト

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moiの岩間さんに貸していただいていたビデオ『真夏の夜のジャズ』を見る。
ニューポート・ジャズ・フェスティバルの記録映画のはずなのに、
ミュージシャンはあまり写っていなく、とてもオシャレな観客達を写すことにクローズアップされた印象。
モンクが登場するのに、モンクの手も写さず、ヨットの映像になっちゃったりする。
アメリカが一番豊かだった時代のカルチャーをとらえた一作。
後年のブルース・ウェーバーが描く理想の世界を見たという感じ。

日曜朝のテレビ朝日の「題名のない音楽会」をチェック。
この番組を見るのは、黛敏郎が司会していた時以来。
ミシェル・ルグランが出てきて1曲演奏。
ルグラン、おじいさんにはなってはいますが、『5時から7時までのクレオ 』で観たあの動きそのものでしたよ。
音色の輝きも変わっておりませんでした。
次週もルグランが出演する予定(小出しに見せることに少し不満)。
13日(火)の「徹子の部屋」にも出演予定です。
徹子とルグラン、どう絡み合うのか?

では、ルグランのCDを聴こうと、「シェルブールの雨傘」をBGMにする。
(来年『シェルブールの雨傘』はニュープリントのリバイル上映あり)。
シェルブールの雨傘 オリジナル・サウンドトラック完全盤 シェルブールの雨傘 オリジナル・サウンドトラック完全盤
ミシェル・ルグラン (2007/02/21)
ソニーミュージックエンタテインメント

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部屋で聴いていると、すっかり自分が悲恋したような気分になり、
えーらく感傷的になってしまう。
CD聴いているだけで、泣き出しそうになってしまうよ。
ワタシは、ストーリーの知っている悲恋のメロドラマ作品を劇場で観て泣くのが好きで、成瀬巳喜男の『乱れ雲』なんて、何度も観ているのに、武満徹の卑怯なメロディにあおられて泣くのが気持ち良くて、性懲りもなく劇場に行って泣いてスッキリする、というイベントというか習慣を持っている人間です。
が、自分の部屋ではCD聴いたりDVD見てあまり泣きたくない。
気持ちをニュートラルにしようと、アシュケナージの平均律クラヴィーア曲集を聴く。
均整のとれた素晴しい演奏。
アシュケナージのバッハは、若き日に録音したピアノ協奏曲しか聴いたことがない。
これだけのピアニストでもバッハを録音するということは、大変なことなのか。
バッハ:平均律クラヴィーア曲集 バッハ:平均律クラヴィーア曲集
アシュケナージ(ウラディーミル) (2005/10/26)
ユニバーサルクラシック
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以上、買い物と休息の休日の一部でした。

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23 : 56 : 26 | 日記 | トラックバック(2) | コメント(0) pagetop

『けものみち』『黒い画集 第二話・寒流』を観る

新文芸坐の池部良特集、『けものみち』『黒い画集 第二話・寒流』を観ました。

須川栄三監督の『けものみち』(1965年)。
脚本は白坂依志夫。
(この組み合わせでの仲代達矢版『野獣死すべし』は素晴しかった)
音楽は武満徹ですが、さすがにこの作品での武満はメロドラマ調ではありません。
この作品を観ながら、幼少期に両親と一緒に見たNHK土曜ドラマ『けものみち』
(脚本・ジェームス三木、演出・和田勉)を思い出しました。
名取裕子が焼死した夫の遺体確認をするシーンで、リアルな焼死体が映り、
そりゃもう恐ろしかったこと、
エロジイサン西村晃の前で全裸になる名取裕子(カメラは一糸まとわぬ名取裕子の後姿を写していた)、
暑そうな場末の宿で伊東四朗が名取裕子を襲おうとしたシーン、
それとムスグルスキーの禿山の一夜が流れていたこと。
今回、須川版『けものみち』を見て、後のNHK版は須川版を参考にしていたな、と思うところがチラホラ。
名取裕子が夫を殺しに行く衣装とか。

須川版『けものみち』はよく出来たフィルム・ノワール作品でした。
悪人・小滝章二郎役に善良そうな池部良というのはユニーク(NHK版では山崎努)。
池内淳子は暗いなー。もちろん暗い役を演っているんだけれど、なんか表情が硬い。
『花影』でもそう思った。
池内淳子なら新東宝時代がいい(それと『喜劇とんかつ一代』)。

次に『黒い画集 第二話・寒流』(1961)。
目下ワタシの中で注目度ナンバーワン監督・鈴木英夫の作品。
こういった業界ものを描かせたら鈴木英夫の右に出るもののいないと言っても過言ではないでしょう。
最初から最後まで、一瞬の隙もないショットの連続。
スクリーンに映し出されるシャシンひとつひとつがあまりに素晴しい。
(新珠三千代のマンションのベランダの前で、池部良と新珠三千代が写る絵の美しさ!)
そしてスリリングなやりとり。
池部良と新珠三千代と平田昭彦がゴルフ旅行をしているところなど、三人の関係に手に汗を握ってしまいます。
そして堕ちていく池部良。段々と情けない姿になっていきます。
と、そこに、いきなり不思議なシーンが挿入されていて、丹波哲郎とヤクザの構成員が唐突に出てくる。
いったい何でしょう、これは?
池部良も呆気にとられた顔でヤクザの構成員達を見ていましたが、このシーンを観ているこっちも呆気にとられましたよ。面白かったけど。
非常にシリアスな内容の作品ではあるけど、時々ユーモアがありました。
川の字で寝るシーンとか。
『非情都市』と同じく、野心や努力は結局巨大な権力の前ではどうすることもできない、という内容。
勉強になりました。
作品の素晴しさと世の中の厳しさをヒシヒシと感じました。
やはり、鈴木英夫ただものではないです。

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23 : 33 : 40 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(2) pagetop

川島雄三の『東京マダムと大阪夫人』とベランダ焙煎

ラピュタのモーニングで、川島雄三監督作品『東京マダムと大阪夫人』を観る。
社宅に住む人達の人間模様をユーモラスに描いたコメディ。
微笑ましくて、面白い。
1953年の作品で、妻達が隣家と争うように洗濯機を買うエピソードがあるのですが、この頃って、家電製品にまつわるストーリーの映画多いですね。
小津安二郎の『お早う』とか成瀬巳喜男の『娘・妻・母』等々。
『驟雨』でも原節子が家電を物欲しそうに眺めるシーンがあったような。
先日観た『四十八歳の抵抗』にも月賦で電気洗濯機を買うエピソードがありました。
(「月賦」って死語だ。今だと「分割払い」と言いますよね)
三橋達也、月丘夢路、芦川いづみ、北原三枝が出ているので、日活の作品だと思い込んで観ていましたが、これは松竹大船の作品でした。
彼らは川島雄三と同時期に日活に移籍した俳優さん達であります。

急に坦々麺が食べたくなり、「希須林 小澤」に向かう。
ラピュタのモーニングの後、ここでランチ、というパターンもあり。
12時をまわっていたけど、今日は待たずに入れました。
坦々麺美味しーい!すごいボリューム。
絶妙な辛さと濃厚さ。
お得なランチセットもあるけど、ワタシはここにきたら坦々麺(1260円)を頼むことが多いです。
小澤


自宅に帰り、ベランダで、煎り上手を使って自家焙煎にチャレンジ。
まずはブラジル50gからハンドピック。
ペランダに柳宗理のバタフライ・スツールとカセットコンロと網を出して、シャカシャカし始める。
(バタフライ・スツールは座るためではなく、作業台に最適な高さだから。バチが当たるわ)
今日は、中火でじっくり焙煎。
程よいフレンチ・ローストに仕上がりました。
豆が冷めたところで、ドリップし試飲。
驚くほど豆が膨らむ。
フレッシュだけど、絶妙な深みがあり、雑味はゼロ。
生涯一番美味しいコーヒーだ!
うーん。2回目の焙煎にして、最高の出来となってしまった。
今後が心配だ。

「この味がいいね」と私が言ったから三月四日は焙煎記念日

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17 : 28 : 20 | 映画 | トラックバック(1) | コメント(12) pagetop

杉並散策

朝、ラピュタで12:40に開場する上映作品の整理番号を押してもらった後、
南阿佐ヶ谷にある大人気のパン屋さん「begal」に向かうため、
中杉通りを南下する。
ここを歩くということは、スギ花粉を大量に被粉するということだろうか?
中杉通りの杉の木は、花粉を出している様子は見受けられないのだが。
「begal」にて食パン、クルミパン、カンパーニュを購入。
ここはいつも行列が出来ているお店。
まだ暖かいパンをすぐに食べたくなり、食べる場所を求めて荻窪方面に歩く。
杉並中央図書館隣の読書の森公園に行く。
誰もいない。公園内ワタシ一人。
ベンチに座り、クルミパンをムシャムシャ食べる。
美味しい。公園で食べるのではなく、家でバターを付けて食べたらもっと美味しいと思う。
後ろから誰かに見られている視線が気になり、振り向くと、後ろの民家の飼い犬が恨めしそうにワタシを凝視している。
ワンコを無視し、食べ終わりベンチから立ち上がると、吠えられた。

黒川紀章設計の中央図書館(自己主張が少ない建物。まわりに溶け込んでる)に入り、
「ピンク映画館の灯―暗闇が恋しい都市の隠れ家」という本を手に取り、椅子に座り読む。
全国のピンク映画館(今はもうない劇場も含む)の写真集。
ワタシが見たことある建物は新宿昭和館地下だけ。
うーむ。淫靡な世界。良いぞ。
建替えられる前の浅草世界館は、上海なんかに20世紀初頭に建てられた大劇場のような威風堂々としたルックス。
ピンク映画館の灯―暗闇が恋しい都市の隠れ家 ピンク映画館の灯―暗闇が恋しい都市の隠れ家
高瀬 進 (2001/03)
自由國民社

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「コーヒーに憑かれた男たち 」と「銀座で珈琲50年」(ランブルの関口一郎氏著)を借りる。
コーヒーに憑かれた男たち コーヒーに憑かれた男たち
嶋中 労 (2005/01)
中央公論新社

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銀座で珈琲50年―カフェ・ド・ランブル 銀座で珈琲50年―カフェ・ド・ランブル
関口 一郎 (2006/06)
いなほ書房

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阿佐ヶ谷に戻り、ラピュタにて『不連続殺人事件』を観た後、
また中杉通りを歩き、前から目を付けていた「パンダ珈琲店」に入る。
清潔な店の中はパンダ・グッズだらけ。おトイレの中もパンダグッズが。
おお、かわいいではないかー。
カウンターにはセラミック製のハリオのドリッパーが置いてある。
店においてあるパンダ写真集を見て、パンダの赤ちゃんのカワイサにうっとり。
ウッディ・アレンのグッズや北欧の食器もディスプレーしてあった。
パンダ珈琲店


さて、次のパン屋を求めて再度荻窪方面へ。
中央図書館からズンズン下っていくと荻窪団地。
老築化著しく取り壊し予定で半分は既に閉鎖になっている。
荻窪団地

荻窪団地

荻窪団地


荻窪団地すぐそば、善福寺川川沿い(西田端橋)というデンジャラスな
場所にあるカワイイお店「zermatt(ツェルマット)」。
こんな場所にあると、夏から秋の間は善福寺川の氾濫がいつも心配だと思う。
こちらではハード系のパンを購入。
営業は10:00~19:15、日曜休み。荻窪駅からはとても遠い。
zermatt

以上、休日の杉並散策でした。

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08 : 24 : 29 | | トラックバック(1) | コメント(3) pagetop

『不連続殺人事件』

ラピュタにて曾根中生監督の『不連続殺人事件』(ATG・1977年)を観ました。
脚本は大和屋竺、田中陽造、曾根中生、荒井晴彦(スゴイ)。
キャストも、端役に宮下順子が出ていたりとかなり豪華です。
作家、詩人、画家などが招待された山奥の館で次々と起こる殺人事件。真犯人は誰だ?
ちなみにワタシは坂口安吾の原作は読んでおりません。
が、始まってすぐ真犯人が50%わかりました。
登場人物が多く、その多数の人物を一つの画面に退いて写すショットが多く、それが効果的でもあるですが、セリフをしゃべる時もカメラは退いたままで、誰がしゃべっているのかよくわかりません。
内田裕也。セリフ棒読み。それも悪くないですが。
夏純子、魅力的でした。
田村高廣は役割不明の中途半端な役で、お気の毒。
探偵役が小坂一也とはキビシイ。説得力無し。
登場人物が多くその関係が複雑で、ストーリーも追いにくい。不親切。
途中フィルムが切れてしまうトラブルがあり、上映後、劇場から招待券が配られたのですが、今回の事故は劇場側の問題ではなくフィルムの状態に原因があると思うのですが。ちと劇場が気の毒です。

ラピュタの次回の特集『性と愛のフーガ 田中登の世界』のチラシのサンプルを見ました。
チラシの写真は『(秘)色情めす市場』の芹明香が宿の屋上にいるシーンでした。
トークイベントに中川梨絵(今日の映画にも出ていた)がくるとのこと。
楽しみです。

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18 : 47 : 28 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(0) pagetop

ナイスカットミル その2

今日は、新文芸坐に『大番頭小番頭』を観に行くつもりでしたが、
電車に乗って池袋まで行くことが急に億劫になり、中止。
鈴木英夫監督の作品とはいえ、本作はコメディでフィルム・ノワールじゃないらしいし。
新文芸坐は文芸坐時代から通っていた大好きな劇場だけれど、
新卒の時に「池袋支店」に勤務していたことがあって、
汚い池袋の街をくまなく営業していた不快な経験から、なるべく避けたい所(池袋に比べたら新宿なんてキレイだと思った)。
なので「新文芸坐に行く」ということは自分の中でかなり観たい映画だ、ということ。

ところでいま、先日買ったナイスカットミル()に振り回されています。
豆を挽いた後にミルに粉が残る件は、100円ショップでハケを買ったので、それを掃除することとして、気になるのは微粉。
ホント、ナイスカットミル、微粉多い。
で、この問題を解決すべく、deviceSTYLE Brunopassoのマイクロパウダーセパレーターという商品を買いました。
deviceSTYLE Brunopasso マイクロパウダーセパレーター イタリアンレッド MPS-50-R deviceSTYLE Brunopasso マイクロパウダーセパレーター イタリアンレッド MPS-50-R
(2005/09/01)
デバイスタイル (deviceSTYLE)

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この筒状のモノの中にミルでひいた粉を入れ、数回シャカシャカ振ると、
微粉が中にセットされているアミを通り抜け、取り除かれる仕組み。
実験開始。
今回は森彦のフレンチを使用。
まず豆21gをナイスカットミルの4.5で豆を挽き、マイクロパウダーセパレーターでシャカシャカ。
すると5gの微粉が取り除かれ、16gの粉が残った。
次に、カリタの手回しミルで同じ21gの豆を挽き、シャカシャカ。
今度は4gの微粉が取り除かれ、17gの粉が残った。
つまり、ナイスカットミルの方が、手回しのミルよりも微粉が出るという結果。
これは、一人前だけ淹れるのであれば手回しミルを使った方が、
良いかもしれません。

ちなみに微粉を取り除いて淹れたコーヒーは雑味が除かれ、美味しいものでした。
ちょっとの投資で味が改善するマイクロパウダーセパレーターでした。

テーマ:コーヒー - ジャンル:グルメ

23 : 59 : 28 | コーヒー | トラックバック(0) | コメント(0) pagetop

山猫軒でディナー

阿佐ヶ谷のフレンチ・レストラン山猫軒(ラピュタの上の階)で、
本日お誕生日の友人のE嬢とディナー。
ここはお気に入りのレストランでたまに行きます。
一人でも、ラピュタでモーニングショーを観た後に、
プラっと入ったて食べたり。

本日のメニュー
山猫軒1


前菜。上から順に、タラバガニのマリネと春野菜のサラダ、
パルマ産生ハムとアンポ柿とルッコラのサラダ、
ホワイトアスパラガスと竹の子とフキノトウの春のベニエ(この緑色のソースが絶品)。
山猫軒2

山猫軒

山猫軒


主菜。上から、骨付き仔羊のロースト バジル風味、
和牛ホホ肉の赤ワイン煮込み ポテトのピューレ添え。
和牛ホホ肉の赤ワイン煮込みは前にも食べたことがあるけど、
やっぱり柔らかくて美味しかった♪

山猫軒

山猫軒


デザート。上からミルフィーユ(誕生日仕様)、クリームチーズのムース イチゴのフレッシュソースかけ、お茶請けのシュー。
山猫軒

山猫軒

山猫軒


雰囲気良し、コストパフォーマンス良しの美味しいディナーでした。

テーマ:フレンチ - ジャンル:グルメ

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プロフィール

 リネン

Author: リネン
♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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