『隣の女』『日曜日が待ち遠しい!』『こんな私じゃなかったに』
2007 / 07 / 07 ( Sat )
午前中、シネマヴェーラのトリュフォー特集へ。
今日の上映は監督が亡くなる前の最後の2作品。
『隣の女』。
『実録 阿部定』とか『愛のコリーダ』を観たとき感じたように、主人公二人の感情の動きや狂気が理解できないようで、理解できるようで、でもやっぱりわからない、そんな感覚に襲われます。
素晴しかった。
ファニー・アルダンの衣装の着こなしが魅力的で、この作品での彼女のファッションは今の感覚からみて、とても洗練されていて新しい感じがいたしました。
アイリス・ショットが2回あり、ちょっと不思議な処理の仕方だと思いました。
トリュフォーの遺作『日曜日が待ち遠しい!』。
これまた素晴しかった。
ストーリーにご都合主義なところがあるところも、ご愛嬌で微笑ましい。
古き佳き時代のウェルメイドなハリウッド映画の踏襲が感じられて、とても楽しかった。
前半、社長の邸宅に妻が帰宅し喧嘩が始まるところをロングで撮っているところとか、素晴しいシーンが散見。
白黒のスクリーン上の個性的顔立ちのファニー・アルダンが、古代ギリシャの美女のようでした。
(って、古代のギリシャ美女見たことないですが)
これまたトリュフォーの足フェチぶりがうかがい知れる作品でした。
今日のトリュフォー2本は、観ていて「映画を観ることの喜び」を実感させてくれる作品でした。
違う雰囲気の2本でしたが、どちらも素晴しかった。
京橋のフィルムセンターに移動し、川島雄三の『こんな私じゃなかったに』を鑑賞。
1952年の松竹映画なのですが、大学の研究室で応用化学を研究している女性が主人公というだけでも当時としてはかなり珍しい設定だと思うのですが、さらにこの若き女主人公は貧しい家族を助けるために夜は芸者稼業を始めて、理系学生と芸者の二束のわらじを履くという驚きの展開。
学生がアルバイトで芸者なんかやっていると大学は騒ぎになるのですが、これ今だと時々週刊誌を騒がす「東大法学部女子大生がAVに出演」みたいなものでしょうかね。
こういうかわった作品が観られるのは、フィルムセンターでの特集上映の醍醐味。
雑誌『創』最新号の「今なぜか若者たちの間で日活ロマンポルノ再発見」という記事を読みました。
真魚八重子さんのコメントがワタシが考えていたことと同じで読んでいてニンマリ。
特に「70年代の空気」のところ。
思うに八重子さんのコメント、ロマンポルノを観に行く若い世代の女性の多くが思っていることを代弁してくれたのではと思います。
それにしても「シネフィルの真魚八重子さん」という肩書きが新鮮でした。
シネフィルが職業みたい。
スポンサーサイト
テーマ:映画感想 - ジャンル:映画