本日はまずシネマアートンで谷口千吉監督の『銀嶺の果て』を鑑賞。
谷口千吉監督は10月29日に亡くなったばかりですが、訃報を聞いて観に行ったのではなく、雑誌「ユリイカ」の川島雄三特集に川島雄三が谷口千吉に直接『銀嶺の果て』を褒めている座談会が掲載されていて、前から川島が評価した作品を観てみたいと思っていて観に行ったわけです。
(参照
http://ssbs.blog36.fc2.com/blog-entry-275.html)
谷口千吉は川島雄三より6つ年長なのです。
場内ご老人で8割の入り。最前列のおじいちゃん達が、上映中も終始結構大きな声でしゃべるのには参った。うるさ過ぎる。近くの人、なぜ注意しない?しかもこのおじいちゃん、上映中2度もスクリーンの前で立ち上がってトイレに行ったりして。
音楽が伊福部昭なのですが『ゴジラ』や『蜘蛛の街』とほぼ同じ、独特の変拍子で打楽器をガンガンドンドン鳴らし、それに合わせて弦楽器をドシラ、ドシラと弾かせる音楽。
代わり映えしないうるさい音楽には正直ウンザリ。
この作品は谷口監督の初監督作品であるだけでなく、伊福部昭にとっては初映画音楽であり、三船敏郎の映画初出演作なのでそう。
三船敏郎、とてもこれが初出演には見えません。すごい迫力。
前半はサスペンス、中盤は雪山を舞台にアクション、終盤は志村喬の人情劇といった作品でありました。
ちなみに『銀嶺の果て』がワタシが今年劇場で観た200本目の映画です。
次に今村昌平監督の『盗まれた欲情』。
セリフの7割ぐらいしかヒアリングすることができませんでした。
シネマヴェーラに移動して場内に入ると、パレーボールの三屋裕子氏と館主の内藤篤氏がトークショーをしておりました。
三屋さん、座っているときは普通なのですが、立つととても背が高くてスラっとした方でした。
まず『一刀斎は背番号6』。
プリントがピカピカな状態なのは、これまで劇場で全然かかっていないからでしょう。
あちゃちゃちゃ。コメントのしようもない作品だなぁ、これは。
春川ますみが出ているのが意外でした。
この映画の上映中も、お年を召した観客2名がずーっとしゃべっていて、うるさくて困った。
どうでもいい映画だったから我慢できたけど、いい映画だったら怒りますよ。
年寄りにはマナーがないのか?上映中しゃべくるのが普通なのか?
周り人、注意してくれればいいのに。
さすがに次の『おれについてこい!』の上映前に、劇場が私語を慎むようアナウンスしておりました。
『おれについてこい!』。
東京オリンピックの女子バレーボール・チームが金メダルを獲得するまでを描いたスポ根映画で、オリンピック翌年の1965年に製作されております。
堀川弘通は出来るだけ観ていこうと思っている監督です。
コミカルな映画だと思い込んでいたのですが、大真面目なスポ根ものでした。
大松監督(ハナ肇)の奥さん(草笛光子)の友達役で淡島千景が出演してました。
最後の、オリンピック決勝・ソ連戦に向かう前にハナ肇がげん担ぎにタバコを吸うシーンは、映画史に残る喫煙シーンといえましょう。
実はワタシの父は大学生の時、選手として東京オリンピックに出場しておりまして、ワタシの家には例の開会式の日本選手団の赤いジャケットに白いスラックスのユニフォームとか、今日の映画にも出てきた胸にNipponと書かれた赤いジャージなどがあるのですが、ワタシの家では東京オリンピックに出場したということは父親本人以外の人は誰も評価する雰囲気がなくて、逆にオリンピックの話は過去の栄光として軽んじられる傾向にあったものですから、ワタシはこれまで東京オリンピックに対しまったく興味が無かったのですが、今日『おれについてこい!』を観て俄然興味がわいてきました。
映画に映っている風景は父のアルバム写真に写っているものと重なっていましたし、当時のモダニズム建築を知るという観点でも見逃せないイベントだと思います。
(同じく65年公開の石井輝男監督の『顔役』もオリンピック・モダニズム建築を楽しめる作品です。)