今日は豪華東宝作品4本立て。
まずシネマヴェーラの東宝アクション特集で坪島孝監督の『国際秘密警察 火薬の樽』。
国際秘密警察シリーズを観たのは初めて。
ぬるーい作品なんですね。
秘密組織になぜかトランポリンやらマットがあったり、水野久美がキスで麻酔ガス攻撃するとか、そんな映画。
次に西村潔監督の『『豹(ジャガー)は走った』。
見始めてすぐ、この作品数年前にラピュタで観たのを思い出しました(2004年の「OFF BEAT JAZZ」特集)。というか、以前観たことをすっかり忘れておりました。
改めて観て、ホテル・ニューオータニ 、靖国神社(今じゃ絶対無理!)、新宿(アルタ前を交通止めにして撮影しているように見える)でのロケに贅沢だなぁと思い、佐藤允彦の音楽に感心。
特に最後、田宮二郎と加山雄三の銃での決闘シーンに流れるフリー・ジャズの格好よさ。
劇中話す田宮二郎の英語が本当に見事で、発音の美しさに聞き惚れました。まるでネイティブ。田宮二郎、努力家だったんだなぁ。
大好きな神山繁が出ておりました(やっぱり警察幹部の役)。
神保町シアターに移動し市川崑監督の『プーサン』を鑑賞。
これは昔深夜地上波で見たことがあって、劇場でちゃんと観てみたいと思っていた作品。
当時の世相や街並みが満載で観ていてお腹いっぱい。日劇とかも見られるし。
これは本当にうまい作品だと思います。小林桂樹の交番のシーンなんて特に最高。
東大卒の平田昭彦が肺病の東大生の役で登場。『スパルタの海』でも東大卒役でした。
この作品の小泉博が知人のSさんにそっくりで、小泉博がSさんに見えて困りました。
次に下北沢に移動。シネマアートンで須川栄三監督の『野獣死すべし 復讐のメカニック』(74年)を鑑賞。
昨年『野獣狩り』を観て、すっかり藤岡弘にヤラれ、また一昨年ラピュタで観た須川監督の『野獣死すべし』(59年)が傑作だったので、この作品を観るのをとてもとても楽しみにしておりました。
しかし、『野獣死すべし 復讐のメカニック』、それほどよい出来じゃありませんでした。うーん、残念。
同じ須川監督による前作『野獣死すべし』や『野獣狩り』(前年の73年の作品)に遠く及びません。
脚本が全然ダメ。
藤岡弘演じる主人公・伊達邦彦は親を死に追いやった者たちへの復讐のために殺人を続けるのですが、それって伊達邦彦のキャラクターから離れちゃってるじゃないか、と。
「野獣死すべし」はそんなジメジメした復讐譚じゃなくて、快楽殺人的なストーリーじゃなかったの?
もっともこの作品、原作が「野獣死すべし・復讐簾」なだけに、原作自体が普通の復讐ものになってしまっているんでしょうねぇ。
撮影は『野獣狩り』と同じ木村大作なのですが、特筆すべきショットも無かったなぁ。
カメラも含め『野獣狩り』は、いい作品をつくろうという気迫が作品から漂っていたのですが、『復讐のメカニック』にはそれがなく、ごく普通のプログラム・ピクチャーという出来でありました。
とはいえ、村井邦彦による音楽は最高にカッコよかった!
村井邦彦は『野獣狩り』の音楽も手がけていて、『野獣狩り』と『野獣死すべし 復讐のメカニック』の曲が入ったCD、ワタクシ愛聴しております。
と、須川栄三作品としてはいまひとつな『野獣死すべし 復讐のメカニック』でしたが、藤岡弘ファンとして画像を紹介させていただきます。
劇中、藤岡弘がハダカになるシーンが多いです。鍛え上げられた肉体を拝めててワタクシ大喜び。
独身の藤岡弘は部屋に帰るとすぐに上半身ハダカになり、オーディオで男声リートを流しながら新聞を読みます。
このとき、唐突にそのリートの歌詞の字幕が出ます。ダサーい。どうやら野獣についての歌詞のようです。


大学の講師である藤岡弘は四谷の丸の内線ホームが見えるグラウンドそばで読書をしております。
そこに新聞記者の黒沢年男がやってきます。黒沢年男は藤岡弘が連続殺人事件の犯人だと確信しており、藤岡弘にカマをかけます。一つのスクリーンに藤岡弘と黒沢年男という暑苦しい俳優二人が映し出されます。ホント、暑苦しい。
当然、藤岡弘の方がイイ男です。

ここで須川栄三ファン、藤岡弘ファン、俯瞰ショットファンに朗報。
須川栄三&藤岡弘による傑作『野獣狩り』が4月にシネマアートンの「その男の職業、刑事」という特集で上映されます。
未見の方はぜひ!