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『性家族』『現代好色伝/テロルの季節』

連日通ったシネマヴェーラの若松孝ニ特集もワタシにとっては今日が最終日。
受付でダゲレオ出版の「俺は手を汚す」を購入。今回まとめて若松作品を観て、撮影時の濃厚そうなエピソードを知りたくなったのですが、この本は現在古本屋でないと入手できないようなので、喜んで購入。

『性家族』(71年)。
スクリーン上のタイトルは『色情家族』。
シネマヴェーラのチラシに大島渚監督の『儀式』のパロディとも言われると書いてあるのですが、この作品、想像以上に『儀式』そのまま。俳優の台詞の発し方も『儀式』を彷彿させます。
正直なところ、ワタシは『儀式』よりも『性家族』の方が好きですぞ。
冒頭、床の間に刀を飾っている和室で自衛隊のらしき制服を脱いだ父親が娘(宮下順子)を座卓の上に裸で寝かせ触りながら、「今日は家族に変わりは無かったか?」と尋ねます。すると宮下順子は「いつものとおり」と答えます。
次に同じ家の中にいる、長男カップル、次男カップルがセックスしている姿を順に映し、そこに宮下順子の「何も変わりはありません」という声をかぶせます。
次に母親が布団の上で半裸でもがき苦しんでいる姿とそれを見つめる三男。三男は苦しむ母親に薬を飲ませ、母親はこと切れます。
そしてタイトル『色情家族』が出て、お話が動き出します。
家長による威圧的な家族支配というやつを、とてもストレートにわかりやすーく描いていて面白いんですが、如何せん『儀式』にはあった佐藤慶と畳の連続による威圧感が『性家族』にはないので、どうにも迫力不足な感は否めません。
父親を演じる俳優にまったくが迫力がなく身体の線も細く、自衛隊らしき制服を着ているですが、制服がブカブカ。不気味さもなく残念。
とはいえ、家長による一族支配をピンク映画の枠組みで(国映配給)熱く描いた力作で面白かったです。

次に『現代好色伝/テロルの季節』(69年)。
ワタクシ、ひどく感動してしまいました。
またもや団地が舞台のお話。
吉沢健演じる活動家は団地にOL二人と同居し姿を隠していて、団地に隠匿しているとの情報を得た公安警察二人は(一人は丹古母鬼馬二)、吉沢健の部屋に盗聴器を仕掛け向かいの部屋から監視を始めます。
吉沢健の生活ぶりときたら、OL二人に「ゴロニャン」と呼ばれ(「ゴロニャン」ですよ!)養われ、殿のようにかしづかれ、トイレの水も女に流させ、女二人に身体を拭かせ目を細めて「余は満足じゃー」と言い、夜はOL二人と同時にセックスし、しかも二人を優劣つけることなく同等に満足させるという英雄ぶり。いやほんと、ヒーローですわ。
で、朝OL二人が出勤すると、独り言したり、団地でのんびり日向ぼっこしたり、テレビ見たりするヒモっぷり。OLが帰ってきて、「ゴロニャン、今日何した?」と訊かれると、吉沢健は「何もしてない」と答えます。もうサイコー。
そんなやり取りを毎日聴いててまいってくる公安警察二人の姿がまたおかしい。
吉沢健はいつ立ち上がるのか?と思いつつ観ていても、毎日毎日OL二人にかしづかれ、セックスばかり。で、このセックスの描写が素晴しい。
いやぁ、二人を同等にかわいがり、二人の女に争いを起こさせない吉沢健は神ですよ。
キング・オブ・ヒモ。
しかも3人で暮らしていれば、男と女の一対一の深い関係にならなくて済む。そこまで計算した上で、OL二人に養われ、OL二人を悦ばせる頭の良さと肉体的実力。
公安警察もあまりの享楽的な生活ぶりに完全に活動から脱落したと判断し、マークをはずし監視を止めます。
が、ついに吉沢健が立ち上がる日がやってきます。佐藤栄作訪米阻止です。
決行の前、スクリーンはカラーになりアメリカと日本の国旗が左右にたなびくのと多重に吉沢健がOL二人とセックスする姿が映し出されるのを観て、ワタシはヤラレタ!と思いました。
この国旗とセックスが多重露光される場面に流れるジャズのスタンダード曲(トランペットにダブル・シックス・オブ・パリのような混声スキャットによる演奏)、つい最近何かの映画(洋画)でまったく同じアレンジ・演奏で聴いた記憶があるのですが、はて何の映画だっただろう?何の曲だっただろう?
映画を観た後もずっと思い出そうと考えていたのですが、思い出せません。
曲名・音源はいつか判明するとして、この場面のこの音楽を流す若松のセンスには本当にまいりました。セックスの最後に吉沢健が涙を流す顔が映るのと同時に、ワタシも若松の音楽センスに感動して一緒に泣きそうになりました。
そして、白黒にもどり、ダイナイトを身体に巻きコートを着て、団地を出て、羽田空港に向かう吉沢健。
カメラは吉沢健から管制塔に移動し、「終」。
『現代好色伝/テロルの季節』、ワタシの若松特集の最後を飾るにふさわしい作品でありました。

これでシネマヴェーラの「若松孝二大レトロスペクティブ」、全作品鑑賞いたしました。
シネマヴェーラの特集で全作品通ったのは初めてです。日曜日は3本立てだったのが有難かったです。
素晴しいと思ったのは、『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』、『裸の銃弾』 、 『狂走情死考』 、『現代好色伝 テロルの季節』 。
『日本暴行暗黒史 怨獣』、『性の放浪』も面白かったし、 『壁の中の秘事』、 『性家族』も楽しめました。
今回の特集の初めに、ワタクシ、イデオロギーを前面に出してつくられた作品は果たして時代を超えた普遍性を持ちえているのか?との疑問を解決したく上映される全作品に通いたいと書きましたが、全作品を観た結論として、若松作品は、登場人物の設定やストーリーに(プロット)に政治や活動が出てくるものが多いけれども、それはあくまで道具であって人間を描こうとしているから、普遍性はある、ということです。
主張よりも人間描写が勝っている作品ほど面白いなと思いました。
そして、若松の画面のセンスの良さと音楽選びのセンスの良さには本当にまいりました。
音楽のセンスは後天的なものではなく持って生まれたものだと思います。そういう意味では若松は天才じゃないかと思いました。

さっそく「俺は手を汚す」、読み始めようと思います。
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『犯された白衣』『裸の銃弾』『性賊 セックスジャック』

日曜日、シネマヴェーラの若松孝ニ特集、3本立てへ。

『犯された白衣』(67年)。
これは相当以前に観たことがあります。
冒頭、唐十郎がレズ行為を見て、「離れろ!」と叫び、次に「なぜそんなに見るんだ?」と言葉を発するまで相当時間があるな、と。
少女役で出ていたのは坂本道子当時の夏純子です。まだヤボったい。
この作品の脚本を書いたのは唐十郎と『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』で神がかり的演技を見せた山下治です。
『犯された白衣』は『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』と同時に撮られた作品とのことですが、『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』 の方が断然面白いな、と。

『裸の銃弾』(69年)。
ニュープリント状態。タイトルは『柔肌無宿 男殺し女殺し』と出ておりました。
エンターテイメント作品として、すごく面白かった!
大和屋竺の脚本。
ワタシは『荒野のダッチワイフ』、『毛の生えた拳銃』、鈴木清順監督の『殺しの烙印』よりも断然この『裸の銃弾』の方が好き。
スタイリッシュなフィルム・ノワールで、キレがよくて、ユーモアもあって、お色気もあって最高。
舞台も団地そばの貧民窟、夜の新宿、原宿のセントラル・アパート(若松孝ニの事務所。『ゆけゆけニ度目の処女』 にも出てきた)、温泉などなど転々としてまったく飽きさせない。
温泉宿で吉沢健は林美樹にブツの隠し場所を聞き出そうとして、身体をつかうのですが、二人が風呂に入るところだけカラーで生々しかった。
吉沢健が手袋の詰めた小指部分に弾丸を入れておくのもカッコよかったし、一番最後、アタッシュケースが階段を落ちていくカットに完全にやられました。カッコイイー!
吉沢健は、回想部分の甘ちゃんの情けない姿も可愛くていいし、殺し屋になってからのナス型サングラスをかけた姿もカッコよくワタクシ萌えました。長身や顔の良さもステキですが、この人の一番の魅力は声とイントネーションだと思います。
『裸の銃弾』、最高でした。

『性賊 セックスジャック』(70年)。
これは高校生の頃から観たいなと思っていた作品。やっと劇場で観ることができました。
空虚な議論と、「薔薇色の連帯!」「勝つのよ!勝つのよ!」と言いながらセックスするしか能のない学生に対し、次々と実力行使を実行する川向こうの労働者少年の対比。

今のところ全作品通っている若松特集もあと2作を残すのみです。

シネマヴェーラのロビーにラピュタのロマンポルノ特集のチラシが置いてありました。
チラシに目を通すだけで興奮いたします。あああ、楽しみだぁ。
今回の特集で上映される藤田敏八監督作品『実録不良少女 姦』は、昨年のカナザワ映画祭で観たのですが(その時のブログ)、すごく面白かったです。この作品の少女同士のキャットファイト、ワタクシがこれまで観たキャット・ファイトの中でももっとも凄まじいものでありました。内田裕也の情けなさぶりもイイし、主人公の女優がお世辞にも美しい方ではないので、いかにも実録っぽくてパンチがある作品でありました。男性が観ていて興奮できる作品ではありませんが、オススメです。

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浅草めぐり

フィルムセンターでマキノの『ごろつき』を観たあと浅草に移動。
なべらさんと浅草めぐりをいたしました。

ワタクシ、浅草に関しては外国人なみに無知なのですが、なべらさんは浅草のスペシャリストでらっしゃるので、大船に乗ったつもりで、なべらさんについて歩きました。

まず浅草寺に行き、願をかけました。
「○○○○○○○○ように!」

映画弁士塚と喜劇人の碑も見て、浅草公会堂のスターの手形を見に行きました。
ワタシの女神・若尾文子サマ。
スターの手形

池部良サマ。
スターの手形

小林桂樹さん。
スターの手形

山田五十鈴さん。
スターの手形

そして、由利徹先生!
スターの手形


隅田川の桜を見て(お花見ですごい人)、マルベル堂へ。
地下の昔のスターのブロマイド、面白いですねー。意外な人のもあって。
大好きな川津祐介と杉浦直樹のブロマイドをチェックしたのですが、二人ともあまりに若い時の写真で、自分が好きな顔とちょっと違うんだなぁ。川津祐介は大映時代、杉浦直樹は石井輝男の映画に出ている頃が好きなの♪
結局、若尾文子サマ5枚と藤岡弘サマ1枚、ブロマイド購入。
これで毎日愛する方のお顔を拝見することができます。
ブロマイド


そして、マルベル・ビルにある長谷川一夫メモリアル・ルームへ。
美容院が入っているビル4階に長谷川一夫の写真や衣装などなど多数収められているメモリアル・ルームがありまして、美容院の人に声をかけると鍵を開けてくれて中に入れてくれます。
「あ、長谷川さん?」と美容院の人に言われたのですが、長谷川さん呼ばわりになべらさんとワタクシ、ちょっと驚いてしまいました。
部屋の中は松竹・東宝・大映と映画のブロマイド写真や舞台の写真、それに衣装や遺品や、映画や歌舞伎のビデオなどなどでいっぱい。
ダンディー。
長谷川一夫

名前入り。
長谷川一夫

遺品いろいろ。
長谷川一夫


マルベル・ビルを出て、松屋前から北めぐりんに乗り、山谷へ。
目指すはカフェ・バッハ。
チーズケーキとコーヒー(マラウィ)をいただきました。

そして山谷そばの吉原めぐり。
あいにく写真は撮れませんでした。

吉原大門から北めぐりんに乗り、鶯谷北口で下車。
なべらさんとお別れして、ワタシは渋谷へ行き、若松孝ニを観に行きました。

天気が良く、桜が咲く中、共通点の多いなべらさんと映画のお話など色々できて楽しかったです。

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『ごろつき』『性の放浪』『噴出祈願 15歳の売春婦』

今日は浅草めぐりの前後に3本鑑賞いたしました。

まずフィルムセンターにてマキノ雅広監督の『ごろつき』(68年)。
キックボクシングの映画ということで観に行きました。
これがまぁ、ある意味トンデモ映画で、あまりの破綻具合に観ていて頭がクラクラしてしまいました。
冒頭、九州の三池炭鉱から始って、高倉健(長髪。カツラ?)と菅原文太が登場するのですが、二人とも顔がスス汚れで真っ黒。母親(三益愛子)と幼い弟妹は居候している親戚の家を追い出され、高倉健は三益愛子をおぶり弟妹を連れ、土砂降りの中震えながら、貧しい長屋が並ぶ路地を歩き、菅原文太一家が暮らす長屋に連れて行きます。そして、高倉健と菅原文太は「ここを出て東京に行って一旗あげるんだ!」と宣言します。ここまでは濃厚な母ものでお涙頂戴調で長屋のセットをつかってジットリと描写しております。
で、高倉健と菅原文太は東京に出ます。突然東京のロケです。乗せてきてもらったダンプを降りると、車がビュンビュン来て、二人は道を渡ることもままなりません。二人のキャラクターも突然バカになっていて、まむしの兄弟といったところです(なぜか顔は真っ黒に汚れたまま)。直後に、新宿西口、現在のモザイク通りに立ち都会の風景に驚く二人、西口のタクシーが走るロータリー(カタツムリ型の地下に入っていくやつ)の真ん中を歩き、車に惹かれそうになる二人、と異空間やってきた高倉健と菅原文太をひたすらバカのように描きます。
新宿中央公園の噴水前、朦朧としたフウテンだらけの中、顔が真っ黒なまむしの兄弟・健さんと文太は、フウテン達にキックボクシングのジムはどこにあるのか尋ねるも、みんなラリっていて誰も答えません。この場面、先日観た『新宿マッド』のようでした。マキノを観て若松孝ニを感じられるとは驚き(『にっぽん'69 セックス猟奇地帯』ともいえる)。
で、途中親切な人に助けられ、大木実のキックボクシング・ジムにたどりつき、高倉健はジムに住み込みで働きながらボクシングのトレーニングを始めることができました。
これで努力してトレーニングしてチャンピオンになる物語なのかと思ったのですが、早々に裏切られました。
菅原文太は豪邸の犬の世話係として高給で雇われます。この犬は人間以上の高級な食事を与えられているのですが、それを見てカッときた健さんは何と、エアー・サロンパスを手にオリの中に入っていきます。まさか!と思った瞬間、天下の大スター高倉健は犬のキ○○マにエアー・サロンパスをシューと吹きかけます。犬は当然キャイーンとなるわけですが、マキノはその一部始終を丁寧に撮っております。唖然呆然です。
健&文太は夜は流しの仕事をすることになり(!)、昼間のトレーニング風景の直後に突然、ギターを抱えてクラブで流しをする場面になり、場内爆笑です。
そして歌うのは、もちろん「網走番外地」。文太のギターで健さんが歌います。場内また爆笑。次に唄うのは「唐獅子牡丹」。もうどうなっちゃってるの?
流しの親玉の石山健二郎が振興ヤクザの渡辺文雄に嫌がらせを受けたり、近所の新聞配達少年が渡辺文雄の車にひかれたり(国立代々木競技場のドまん前で!)、色々あったけど健さん、キック・ボクシングの試合に出て勝ちます。試合の場面は迫力もなく結構ショボいです。どうもマキノはキック・ボクシングに興味なさそうです。
で喜びも束の間、渡辺文雄たちに石山健二郎は家を放火され、あげくに殺され、菅原文太も殺され、堪忍袋の緒が切れた健さんは刀を手に渡辺文雄一家へ殴り込みに行きます。もうここからは『日本侠客伝』や『昭和残客伝』と同じです。様式美です。見事です。憎き渡辺文雄を斬ります。
そして最後、九州・三池の三益愛子たちが手紙を読むところで「終」。
なんじゃ、こりゃー。キック・ボクシング、全然関係ないじゃん。結局、殴り込みがやりたいだけじゃないかー。
あまりに色々なものを詰め込み過ぎで空中分解しておりました。
健さんのトレーニング風景やら子供が車に轢かれる場面やら、何度も代々木体育館がドドーンと出てくる映画でありました。

『ごろつき』のあと、浅草に移動して、なべらさんと浅草探索(別途、アップいたします)。

浅草探索のあと、シネマヴェーラの若松孝ニ特集へ。

『性の放浪』(67年)。
奇妙なスキャットが入りの音楽が流れる中、『壁の中の秘事』と同じような団地風景の連続でスタート。
壁に囲まれた圧迫された日常から、突然のどかで開放的な町(茨城らしい)になぜかたどり着いた山谷初男の奇妙な数日間を、山谷初男のあの飄々としたモノローグをまじえながら描いた作品。
全編に流れる「ツィゴイネルワイゼン」が山谷初男のトホホ状態に絶妙にマッチしていて最高。山谷初男が皿洗いの仕事をしている映像に後半のアレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ部分をかぶせるなんて、もう爆笑。「ツィゴイネルワイゼン」のほかショパンも流れてました。若松孝ニはやはりクラシックのつかい方が実にうまい。
小水一男演じる脱獄犯が警官を殺すところも、とにかくおかしい。
摩訶不思議な蒸発譚。とても楽しめました。サイコー。

『噴出祈願 15歳の売春婦』(66年)。
タイトルは『噴出祈願 15代の売春婦』(歳ではなく代)と出てましたね。
足立正生監督作品。
あまりのヒドさに閉口。担任教師の棒読み演技に場内爆笑が起きておりましたが、ワタシはこの作品にもうイライラしていたので笑う気にもなりませんでした。
『ごろつき』に続き、これまた代々木体育館が大ヒューチャーされてる作品。
この時代は代々木体育館がオサレ建物だったんでしょうねぇ。前年(65年)の石井輝男監督の『顔役』にもバーンと出てましたし。
新宿東口で少女がヌードになり売春をするロケをしているのには、ちょっと驚きました(コートを羽織って、柱のかげでだけど)。

代々木体育館映画祭希望です。

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マキノ雅広監督作品『男の顔は切り札』

フィルムセンターのマキノ雅広監督特集(結局、他の劇場の特集におされてすっかりご無沙汰)に参上。
本日は『男の顔は切り札』(66年)。
事前に知り合いから、一応主演の安藤昇がなかなか登場しないとはきいていたものの、実際観ると予想以上になかなか登場せず、オハナシはどんどん進むのでそのうち安藤昇がこの作品に出ていることさえ忘れてしまいましたよ。
結局、1時間ぐらいたってから安藤昇登場(上映時間92分の作品)。
元はヤクザ今はカタギの面々が最後ワルモノの新興やくざ安部徹に殴り込みする、という大筋なのですが、話の中に法律とか弁護士とか公証人とか出てきて、ちょっとこれまで観たマキノ映画とは違ったところもありました。
安藤昇、主題歌を歌っているし、キャストロールも1番目で主演ということになっているのだけれども、実際にはゲスト的な出演でありました。
小柄な安藤を大きく撮ろうと気遣ったためなのか、安藤昇だけやけに下からあおって撮ったショットばかりで不自然でありました。まぁいいけど。
殴り込みのシーンで、場内笑い(若干失笑気味)が起こっておりました。もちろんワタシも笑いましたよ。
軽いけど、とても楽しい作品でありました。

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『天使の恍惚』『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』

本日もまたシネマヴェーラの若松孝二特集へ。

『天使の恍惚』(72年)。
あさま山荘事件が72年2月に起きてますから、ちょうどその頃の作品です。
革命集団のメンバーたちが集団を離れ個として活動していくオハナシ。
観ていてウットリするショットが多数。
例えば、冒頭の横山リエがクラブで炎が何ちゃらとか奇妙な唄を歌うフィルム・ノワールな場面(彼女のバストショットがまたいい)。
ラスト、吉沢健が新宿東口の雑踏の中に消えていく姿もも印象的でした(歌舞伎町方面から東口に歩き、百果園の角で新宿通りを紀伊国屋方向に歩く)。
吉沢健の声の良さとセクシーなイントネーションを堪能。
横山リエもイイ。
音楽を担当した山下洋輔の演奏シーンがありました。

『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』(67年)。
傑作。今回の若松特集で観た中で一番面白かった。
小平義雄事件がモデルとあるけど、全然小平事件と違う。小平は大胆不敵な犯罪者だけれどもこの作品の主人公は普段はオドオドした小心者。だから小平事件がモデルだと観終わった後も気付かなかったです。
(小平事件の映画化で有名なのが石井輝男監督の『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』。小池朝雄がが小平義雄を演じてました。)
『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』、小平事件とはまった別個の物語として、素晴しかった。
主演の山下治が超ド級の怪演。
漁村の洞穴に住む丸木戸義男(『胎児が密猟する時』に続きまたも丸木戸登場)は、次々と若い女性を殺害・強姦し、裸の死体を洞くつの中に何体も並べ、話しかけたり愛撫したりしております。
まず、最初の砂浜での強姦シーンが恐ろしく美しく、観ていて息をのみました。襲うところから殺して死体を運ぶところまでの素晴しさに感銘。
そして次の被害者がレイプされるシーンの効果音の素晴しさ。
その次、若い男女が村にやってきて心中し、丸木戸は死損ねた女性を殺害しレイプするのですが、そこまでのショットの美しさもまた絶品。
全編フォーレの「夢のあとに」やバッハの「G線上のアリア」といった荘厳で切なく哀しいクラシックの名曲が繰り返し流れる中、驚異の変態演技の山下治が次から次と女性を襲い殺しレイプし、洞穴で死体に愛撫したりするのですが、格調高い音楽とカメラのためか、目の前に繰広げられている変態行為が何とも切なく哀しく見えてくるのです。
とにかく凄い作品でしたが、何と言っても主演の山下治の凄さに尽きるでしょう。
劇場で知人のKさん、Mさんに遭遇したので、劇場を出て渋谷駅までの間、ずっと山下治演ずる丸木戸義男のマネ(「ヨシエ~!」「ワタシ、ヨシエじゃありません!人違いです!」「(死体に向かって)オマエも飲めぇ?ああ、オマエは未成年だったなぁ」)をしながら帰りました。
バカですね。
Kさんによると未成年の死体を演じたのは夏純子だそうです。そう言われてみれば確かにあれは夏純子でした(名前は夏純子ではなく坂本道子として出演)。

ということで、『天使の恍惚』で今年劇場で観た映画のちょうど100本目でした。
100本観た中で一番印象に残っている作品は西村潔の『ヘアピン・サーカス』です。
で、2番目には今日観た『続日本暴行暗黒史 暴虐魔』 がきてしまうかもしれない。
こんな狂った映画2本が印象に残った作品として題名があがるということは、今のワタシ、ちょっとどうかしているのかもしれません。
4月はラピュタのロマンポルノ特集に通いますので、マトモに軌道修正される見通しです。

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『ゆけゆけ二度目の処女』『性輪廻/死にたい女』『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』

シネマヴェーラの若松孝二特集へ。
日曜は3本立て。場内満席。

『ゆけゆけ二度目の処女』(69年)。
主人公のマンションの管理人の息子が歌う「ママ~、ボク出かける~」が印象的。観ていて一緒に歌いだしそうになったよ。
作品の大部分がマンションの屋上で繰広げられていて、最初、マンションから見える風景がのどかなので高円寺あたりかと思ったのですが、カメラがぐっと俯瞰になったとき、原宿(現在ラフォーレがある交差点のあたり)であることが判明。
直後にマンションの奥に代々木第一体育館が映ったので、間違いないです。
(若松孝ニの事務所は原宿セントラル・アパートにあった。今はGAPがある場所)
そういえば『餌食』のラストも原宿のちょうど同じあたりにあるビルの屋上でした。同じビルということはないと思うけれど。
少女役の小桜ミミが子役の頃の斉藤ともこに似ていてかわいかった。
劇中、シャロン・テートのグラビア写真のモンタージュあり(シャロン・テート事件は69年8月に発生)。

次に『性輪廻/死にたい女』(70年)。
シネマヴェーラの解説に「心中劇を通し、生=性と死を簒奪する国家主義的、ファシズム的論理を浮かび上がらせることで、自衛隊決起を促して自害した三島由紀夫に対する批判的応答を試みた。」ってありますが、三島由紀夫事件に対する批判的応答がこの作品とはシャレがきつ過ぎ。
シャレじゃなく真面目に撮ったのであれば、ちょっとヤバイ。
まず冒頭、ふんどし男たちが女を抱いた後出陣していき、次に出陣し遅れた男が女とセックスしていて、そこで突然メンデルスゾーンの結婚行進曲が流れ結婚式の披露宴の写真が映し出されスタッフロールが流れるのに面くらいました。
そこからベタベタしたメロドラマになり、10年前心中に失敗した男女が再会していきなり再度心中するくだりなんて、俳優が大マジメに演じきっているので、観ていて苦笑い。
最後生き残った男女が軽快なロックを聴きながら能天気に車でドライブして行くのを観て、このおちょくったようなラストが三島事件への答えなのか?と。
この作品では劇中、三島事件の報道記事や写真が多数モンタージュされておりました。

3本目『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』(71年)。
立ち見客多数で場内熱気に包まれた中、鑑賞。
シネマヴェーラの解説にニュースフィルムとありますが、ニュースフィルム部分は最初と最後に出てくるよど号ハイジャック事件の映像と、PFLPのカイロ国際空港でのパンアメリカン航空ハイジャックの映像だけで他はほぼ全編PFLPのドキュメンタリー映像。
PFLPの女性兵士(ライラ・カリド?)が出てきて、自分はハイジャックを成功させたけれども英雄視してほしくないとか、個ではなく全体・使命のために奉仕する(大嫌いな考え方)とかインタビューしている映像やら、PFLPの訓練の風景やらが流れます。
最後の方では重信房子のインタビュー映像があって、ほとんど意味不明な屁理屈を何度も繰り返し話していて、なんじゃこりゃと耳を傾けていたら後ろの席の人が袋をガサガサと音を出し続けたので、気が散って余計わけわからなくなったよ。
そして、「革命=世界戦争である」「銃口」「引き金」といった、スクリーンいっぱいの文字。
正直、今日観た2本のフィクションの映画より面白かった。狂った(と言ったら怒られるか)凄味があって。
のどかに訓練してたり、パレスチナの地を車で走りながら撮った映像が続いてたりするんだけれど、作品から異様な殺気が漂っていて、観ていて興奮しました(ホントか??)。

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『現代インチキ物語 騙し屋』『鉛の墓標』『胎児が密猟する時』

まずシネマートンで増村保造監督の『現代インチキ物語 騙し屋』(64年)を鑑賞。
増村作品は全部潰すように観に行っているのですが、これは初見。
伊藤雄之助、船越英二、曽我廼家明蝶 、丸井太郎の4人組が「一日一善」をモットーに小芝居をうち、相手に騙されたと思われることなく金を巻き上げていく「騙し屋」稼業をしていく様が次々と繰広げられる映画。
と書くと、いかにも小気味いい作品になっていそうですが、これがそうでもないのです。
『青空娘』とか『最高殊勲夫人』のようなテンポのよさがなく、最高に面白くなりそうな題材にもかかわらずちょっと退屈しちゃいましたよ。
何でだろ。
あ、悪い作品ということではありません。いつもの増村のテンポの良さが感じられなかったというだけで。

シネマヴェーラの若松孝二特集に移動。
連日の映画鑑賞に疲れからか体調は絶不調。

『鉛の墓標』(65年)。
廉価版日活アクションという印象。
あまり乗れなかったのは体調のせいかもしれません。
主人公が日劇文化劇場で男をライフルで撃つ場面があり、劇場入り口に『去年マリエンバートで』のポスターが貼ってありました(日本公開は64年。先日アラン・ロブ=グリエが亡くなったばかり)。
車の中から狙撃する背後には今は亡き平和生命館(菊正ビル)の御姿が(涙)。

『胎児が密猟する時』 (66年)。
監禁ものにはいい作品が多いですねぇ。
見事なショット多数。
ベルリオーズ「幻想交響曲」、バッハ「半音階的幻想曲とフーガ」の使い方なんて実にうまい。
もっとも回想シーンで山谷初男が妻を強姦する場面で場違いなアフリカン・ダンスな音楽が流れたのには笑ったけど(軽快なリズムにピッピッピーなんて笛まで聞こえてくる)。
と感心しつつも、実はこの作品にもあまり乗れなかった。
調教する映画だからではありません(同じ山谷初男が女性を苛める『発禁本「美人乱舞」より 責める!』には激しく感動したのです)。 体調のせいかも。
あと、山谷初男が「ハンサムな独身の専務さん」と呼ばれる設定には無理があるんじゃないかと思いました。

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ジャック・リヴェット『美しき諍い女』

ユーロスペースのフランス映画祭、ジャック・リヴェット監督の『美しき諍い女』を鑑賞。
観終わった瞬間、「ヒドい!騙された!」と思いましたよ。
約4時間の尺の大半をミシェル・ピコリがエマニュエル・ベアールをモデルに描き続けるところを延々と映し、その単調な描写も最後に観られるであろう「美しき諍い女」という絵の全貌を目にするまでの長い長い段取りだと思い、頑張って観ていたのに(ピコリがスケッチブックの画用紙に描くときの引っ掻くような音も苦痛でそれにもずっと耐えて観ていたというのに)、完成した「美しき諍い女」を観客に見せることなく、絵を壁の中に塗り込めてしまい終わり。
もしワタシが編集したなら40分の作品にしますよ。
ストラヴィンスキーの曲で始まり、何か良さそうな作品のような気がしたのですが裏切られた気分。
そもそも、最初いやがっていたモデルがどんどんやる気になり、画家を鼓舞し、画家の妻が嫉妬するなんて話じたい安直すぎる。
ジェーン・バーキンも嫌い。顔が大きくて、歯並びが悪くて、手が男みたいで、ギスギスしていて、ときどき屠殺されるときの牛みたいな目をするから。
この作品、ヘア解禁ということで話題になりましたが、実際には大部分ボカシが入っていてたまにチラリと見える程度。
エマニュエル・ベアール、脱ぐと意外に胴が長くて、お尻がかなり大きく太股は太く、ドッシリとした母性的な体型。ウェスト周りは細いけれど。
途中の休憩時間に入る前に、「次のポーズまで、しばしのポーズ(小休止)」と出たのは洒落ておりました。
休憩時間の直前にまたも映写事故が起こり中断しましたが、フィルム状態がかなり悪かったので、今回は仕方がない。

今回のフランス映画祭でリヴェットの作品を5本観て、尺の長さに必然性があるのか考えみましたが、『狂気の愛』は果てしなく長いなと思いつつも、こういうのもありかなと考えたりしたのですが、最後の『美しき諍い女』を観て、長い尺は必要ない、延々撮ったものを切らずに延々観客に見せるのは、潔さがないだけじゃないかとの結論が出ました。
せめて2時間程度にして欲しいものです。

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ジャック・リヴェット『狂気の愛』『Mの物語』『嵐が丘』

春分の日、ユーロスペースでのフランス映画祭、頑張ってジャック・リヴェット作品を3本観ました。

『狂気の愛』(69年)。
場内満席。
映画が始まってわずか2,3秒でスクリーンにはフィルムが焼けるような状況が映し出され中断。
昨年、ジャック・ドゥミ『思い出のマルセイユ』上映時もフィルムセンター所蔵のフィルムでユーロスペースは映写事故を起こし長い間待たされたことがあって、またかよと思う。
その時は10分以上待たされたのですが、今回は5分ぐらいで復旧。
『狂気の愛』。4時間15分の長尺。途中休憩時間あり。
演出家の夫(ジャン=ピエール・カルフォン)と女優(ビュル・オジエ)の妻の物語。
映画の冒頭、芝居の舞台裏の風景のあと、ビュル・オジエが列車に乗っているカット、そしてジャン=ピエール・カルフォンが一人アパルトマンで女性の声が入ったテープレコーダーを聞き入っていて電話がなっても無視しそのままテープを聴いているカット(ここの段階で観客にそれが何だかわからない)。
次に劇団が稽古をしている場面。ビュル・オジエの台詞まわしにカルフォンが注文をすると、オジエは怒って役を降りてしまう。ここから実質的に物語がスタート。
カルフォンは代役に黒髪の長身の美人の女優(後にカルフォンの前の妻と判明する)をたて、劇団は変わりなく毎日稽古を続けていく。
途中休憩が入るまでの前半は、劇団によるラシーヌの戯曲の面白くもない稽古風景が大半を占め、単調な芝居の稽古を延々見ている方は段々辛くなってきます。
その苦痛が増してきた頃、稽古の間に時々挟み込まれる妻・オジエの動きがおかしくなってくるところで(家でテープに妄想を吹き込んだり、自分に顔が似ているバセット・ハウンド犬を盗もうとしたり)、映画の前半が終わります。
後半、物語は急激に動き出し俄然面白くなります。
妻の狂気が進行し、欲しくもない買い物をしまくったり(部屋で買ってきたマトリーシュカをどんどん開けていき最後までいったらポイッ!)、昔の男友達に突然電話をして浮気をしたり。
妻の狂気に夫は立ち向かおうとしますが、一時的に冷静を取り戻した妻は夫に別居したいと言い出します。
すると、精神的に幼い妻とは対照的にこれまで常に冷静沈着だった夫が感情を爆発させ、涙を流しながらハサミで自分が着ている服や自分の身体をザバッザバっと切っていきます。妻の制止も聞かず泣きながら傷付けていきます。
ワタクシ、この場面で不覚にも泣いてしまいました。
夫は毎日続けていた稽古を休み、2日間妻と部屋で過ごします。
ごっこ遊びをしながら部屋に落書きをしたり、ハンマーでドアを壊したり、セックスをしたりして過ごします。
が、結局解決にはならず、最後妻は家を出ます。
映画の冒頭のオジエが列車に乗っているカットはこの家を出た姿であり、カルフォンが部屋で呆然としている姿は妻に出て行かれたときのもので、再度最後に同じカットが映し出され、唐突に長い映画が終わります。

途中までは、嫉妬深い妻の話として観ていましたが、最後、そうではなく夫の愛情の束縛から妻が逃れる話だったのかと思いました。
4時間15分という尺、延々繰り返される芝居の稽古風景は必要なものなのかと考えつつ観ることとなりましたが、必要なのかどうかの結論はともかく、その観るものに苦痛をもたらす繰り返しによって、オジエが陥った狂気までの過程に説得力を持たせたることになったことには間違いないなと確信いたしました。

次に『Mの物語』(03年)。
エマニュエル・ベアール主演。
『地に堕ちた愛』同様に次々と謎をが出てきて、最後には全部謎が解き明かされて終わります。
広い家の中、登場人物が部屋をどんどん開けるところなど『地に堕ちた愛』と共通しておりました。

『嵐が丘』(85年)。
エミリ・ブロンテの『嵐が丘』は小学生の頃の愛読書です。中学受験の試験日前夜もほとんど寝ずに再読したぐらい。が、映画はワイラーのもブニュエルのも吉田喜重のも観たことがありません。
だから3世代に渡る壮大な物語を他の映画がどのようにまとめたのか存じ上げません。
リヴェット版は1931年の南仏が舞台になっております。
ヒースクリフがロック(映画の舞台は岩石が露わになっている荒野)、エドガーがオリヴィエなど一部役名も変わっております。
ブルガリアの民族音楽が流れる中、少年少女時代のロックとカトリーヌ(キャサリン)が荒野を駆け抜ける場面の素晴しさに胸が熱くなりました。
この作品を観る上での最大の興味は、長年に渡る愛憎劇をどう映画に要約するかという点なのですが(上映時間2時間10分。リヴェットにしては短い)、重要な場面を次々と丁寧に描写していくので、観ていて途中、最後までちゃんと尺に収まるのか?と心配してしまいました。
で、カトリーヌがオリヴィエ(原作だとエドガーのことね)からの求婚を受け入れたと知り絶望して失踪したロックは3年後、金持ちになり復讐のために村に戻ってきます。
かわいらしい少年だったロックがどんな姿になって帰ってきたのかと期待していたのですが、現れたロックは牧童姿からスーツ姿に着替えてはいるもののピアノの発表会に出る中学生のようで凄みは微塵も無く、野生的な復讐の鬼になって帰ってくることを期待していたワタシは甚だ失望いたしました。
完全なミスキャストです。
もうそこからは何をやってもロックが親に怒られてふて腐れた子供みたいな見た目なんでダメで、復讐にも凄味がなく、ダメだダメだと思っているうちに、イザベルが村を出て、カトリーヌが死んでしまいました。
エ?子供生まずに家出したり、死んじゃったりしたら、次の世代の話にならないじゃん、と思ったら、次の世代になることなく、カトリーヌの死をもって映画は終っちゃいました。
まぁ、少年時代のロックとカトリーヌが野山を走る姿が素晴しかったので良しとします。

リヴェットの長さ、それは必要不可欠なものなのか?(監督にとっては勿論不可欠なのでしょうが、観客にとっても不可欠なのか?)という疑問の結論はもう1作観てから下したいと思います。

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ジャック・リヴェット『地に堕ちた愛』

フランス映画祭、今年はジャック・リヴェット特集。
リヴェットは過去に1本も観たことないのですが、昨年のフランス映画祭でもジャック・ドゥミ特集に通ったので今年も行かねばならない気分になり何枚か前売りを買いました。

ユーロスペースで『地に堕ちた愛』(84年)。
ジェーン・バーキン(正直なところ苦手な女優)とジェラルディン・チャップリンという二人の女優を競演が楽しめる作品。
といっても一筋縄にはいかない作品で、まず、ある日曜日の午後、曇り空のパリを男女の集団がどこかへ向かってまとまって歩いているのが写しだ出され、彼らはアパルトマンの一室にたどり着き、その部屋ではジェーン・バーキン、ジェラルディン・チャップリン、ファクンド・ボーの男一人女二人が日常のやりとりをしているのだけれども、彼ら3人は何故か入ってきた男女の集団にまったく気付いている様子がない。
観ているワタシの頭にハテナが浮かんだ直後に、男女の集団が笑い声をあげ、にもかかわらずジェーン・バーキンらのやりとりがそのまま変わらず続くので、ああ、これはアパルトマンをつかった室内劇なのかと、とわかるといった感じ。
こういった謎が次から次とどんどん出てきてるのです。
3人は劇作家クレマン(ジャン・ピエール・カルフォン)から依頼を受け、クレマンのお屋敷で次の土曜日に新作を演じることになります。
数日後の芝居のためにお屋敷に泊り込みで稽古をするのですが、このお屋敷が外は白亜の古風なつくりなのに、中はポストモダン風の悪趣味な内装で(当時はいけていたのだと思われます)、部屋がいっぱいあってジェーン・バーキンとジェラルディン・チャップリンは好奇心で勝手に屋敷の中を見て歩きます。
屋敷にはポールというマジシャンが住んでいて、ポールは屋敷の主人のクレマンに対し同等もしくはそれ以上の立場で話しかける男で、その関係は封建時代の貴族と召抱えられた道化師のよう。
ポールは不思議な男で、ジェーン・バーキンもジェラルディン・チャップリンも彼と面と向かっているとデジャヴのような未来のような幻覚を見ます。
屋敷も不思議で、古びたある部屋から海の音や森の音が聞こえたりします。
映画の最後で次々に出てきた謎は上手く解決し納得するのですが、ポールの幻覚と部屋の幻聴に関しては解決せず謎のままでありました。
観客を終始謎で引っ張るタイプの作品でありましたが、不思議な後味というか、何か気になるものが残る映画でありました。

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『日本暴行暗黒史 怨獣』『狂走情死考』

シネマヴェーラの若松孝二特集へ。

『日本暴行暗黒史 怨獣』(70年)。
江戸から明治になった頃の金蔵破りだった男たちのお話。
普通によく出来た作品。かなり楽しめました。
低予算の作品にもかかわらず、いい構図があったり、格調高いショットがあったり。
作品に緊張感があり引き込まれました。
昨日観た『新宿マッド』『処女ゲバゲバ』『秘花』と製作は同じ頃ですが、こちらの方が断然プロの仕事という印象。

『狂走情死考』(69年)。
これ、好きタイプの作品だと思いました。
最初、イデオロギー云々の話かと思いきや、それは全然本筋ではなく、男女の愛の逃避行の物語でありました。
吉沢健演じる主人公と義姉のカップルが東北を北上して行くのを観て、二人が雪景色を歩くさまが大島渚の『少年』にそっくりじゃないかと思ったのですが、後でプログラムを見たら、「大島渚の同じくロードムービーである『少年』の撮影と伴走しながら」って書いてありました。
なるほど。どうりで。
北海道に行くのに飛行機でしか行ったことがないので、青函連絡船の中が見られたのは嬉しかった(『飢餓海峡』も青函連絡船でしたっけ?)
冬の小樽は本当に絵になるなぁ。
それに吉沢健の声が素晴しかった。低音で魅力的なイントネーションで。
義姉役の武藤洋子、最初オバサンぽかったのに、吉沢健と逃避行しているうちにどんどん娘っぽく若々しく変貌し、でも最後またいっきにオバサンにもどっておりました。
観終わった後、劇場で遭遇したKさんに、『少年』によく似ていると思ったと感想を伝えたところ、Kさんは成瀬巳喜男監督の『乱れる』を彷彿させられたとのこと。
確かに、『狂走情死考』は若松版『乱れる』でした!

今日まで若松孝二作品を観た感想としては、作品のテーマがイデオロギー、政治から離れている作品ほど出来がいいな、とで(付属的な扱いで政治が出てくるのはOK)。
さて今回の特集で、政治的な内容で傑作と思える作品に出会えるでしょうか?楽しみです。

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『新宿マッド』『処女ゲバゲバ』『秘花』

シネマヴェーラの若松孝二特集へ。
今日も満員。

『新宿マッド』(70年)。
息子を殺された幕末マニアの父親(職業・郵便配達員)が、ゴールデン街など新宿を舞台に息子の死の真相を探し求め歩くというお話。
若いというか幼いというか。
新宿が舞台なだけに南口など当時の混沌とした新宿の街並みが見られるのが楽しい。
つのだ☆ひろが、殺された息子の部屋で居眠りする男役で出ておりました。

『処女ゲバゲバ』(68年)。
大和屋竺な脚本。
これも幼いというか、観ていてひたすら長く感じました(実際の上映時間は66分)。

『秘花』(71年)。
冒頭、男女のセックス→ハイミナールのアップ→男が苦しみ出す→ロングで撮った廃船、までのモノクロのショットが圧倒的に素晴らしく、これは傑作か!と期待したものの、途中からオハナシがどんどん陳腐になり他愛ないメロドラマに堕ちてしまいガッカリしてしまいまいした。
とはいえ画が素晴らしいので楽しめました。
横山リエが魅力的でした。
貞操帯には苦笑いするしかない。こういう表現は今見ると辛い…。当時はいけていたのかもしれませんが。

私は若松作品はこれまであまり観ていないのですが、70年前後の作品を3作品観て思ったことは、イデオロギーを前面に出してつくられた映画は、作品が時代の経過に耐えるのは厳しいのではないかということ。
果たしてそういう作品は時代を超えた普遍性を持ちえているのか?
それを確かめるためにシネマヴェーラの若松特集、全作品通うつもりです。

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『壁の中の秘事』『裏切りの季節』、内藤誠監督、松本功さんと不良番長オフ会

今日から始まったシネマヴェーラの若松孝二大レトロスペクティブへ。
トークショーがあるためか場内満席。

『壁の中の秘事』。
面白かったです。
冒頭、窓枠や「2-10」とか「2-14」といった棟の番号など公団のカットが次々と映し出され、次に注射針のアップ、そして窓際のベッドに座るコンモリと肉付きのいいもう若くはない裸体の男女が映し出され「こんなの気休めだよ」という男の声。
ウーンとうなりました。イイ。
顔や身体のパーツのアップが多い作品。どの身体も肉感的で本能的に見える。が、それらの肉体は壁の中に押し込まれている…。
不倫の男女の回想シーンで、スターリンの肖像の前で情事をしていたり(二人は以前政治運動をしていて挫折した設定)、労働組合に従事している女の夫の超封建的なセリフの数々に思わず苦笑いしたりはいたしましたが、全体的には普遍的な題材の作品で、荒削りだけれども力があって、観ていて引きこまれました。

『壁の中の秘事』上映後、若松孝二監督、中原昌也氏、ジム・オルーク氏(日本語話せる)によるトークショー。
若松孝二

トークが製作予算の話題になり、中原氏、若松監督に「監督の作品は低予算にもかかわらず観ていると貧乏臭くないですね。ゴージャストまでは言えないけれども」と話掛けると、若松監督「それはね、人間を捉えているからだと言われるね」と即答。
話はベルリン映画祭のからみで『母べえ』に及び、『母べえ』を酷評。主演女優のY永小百合を大根役者と切り捨てておりました。
若松孝二

若松監督曰く、一番予算をかけ一番面白くない作品は北野武・宮沢りえ主演の『エロティックな関係』で、予算は4億5千万円。
もともと別の監督が撮っていて降板した作品だけれども、監督料1千万円に目がくらんで、続投を引き受けた。宮沢りえなど役者は1千5百万もらっていると後で知り、監督より役者のギャラの方が高いのはおかしいと思った、と。
宮沢りえサイドは『ニキータ』みたいな作品を撮ってくれと言ってきたので、銃の訓練に半年かけたのだとか。りえママがやってきてグチャグチャ言われたとも。
若松監督、金をかけた作品の方がつまらないなと言った直後思い出したように、『シンガポール・スリング』は4億円で撮ったけれど、こちらは少しはやりたいことができたな、と。
若松孝二

中原氏の「今回の特集で上映される作品の中で、憶えてない作品とか観てみたい作品はありますか?」と質問に、若松監督『日本暴行暗黒史』シリーズを観たいなぁと答えてました。
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』については、メイク担当もいなく俳優達に自分でメイクさせたとおしゃってました。あらゆるものを担保に入れて撮ったので、いっぱいお客さんに来てもらって撮影につかってなくなった山荘「スコーレ荘」を取り返したい、と。
音楽は監督側からジム・オルークに依頼したのだと。最初はフリー・ジャズっぽい音楽だったが、ロックに変えてもらった。『天使の恍惚』は山下洋輔に映写を見てもらいながら、即興演奏してもらったけれども、と。
最後に、今後の活動予定について訊かれて、若松監督、資金が入ったら17歳の若さでこの世を去った山口二矢の映画と撮りたい。その間に人の資金で何か撮るかもしれない、と。

場内拍手喝采でトークショー終了。
次に『裏切りの季節』を鑑賞。
昨年7月上野の一角座で観たばかり。
http://ssbs.blog36.fc2.com/blog-entry-281.html
前回よりも面白く観られました。
最後の動く傘は紐などで引っ張ったのではなく、たまたま撮影時に風が吹いてああなったらしい。

シネマヴェーラを出てMさんと喜楽で中華麺を食べ、時間をつぶして、渡辺やよいさんのお店「蔵間」がある元八幡に移動。
内藤誠監督、脚本家の松本功さんをお招きして開催の不良番長オフ会に参加。
みんなで『不良番長 手八丁口八丁』と『トラック野郎』名場面集を見ながら、ちゃんこに舌鼓。
内藤監督に、監督の特集が掲載されている雑誌「HB」にサインしていただきました。
帰り道、総武線で本八幡から新宿までの間、内藤監督と松本功さんと色々お話させていただき幸せでした。
松本功さんが脚本を書かれた傑作の誉れ高い『日本暴力列島 阪神殺しの軍団』をずーっとスクリーンで観たいと切望していることを申し上げました。
ああ、観ていたら松本さんに色々お話を伺うことができたのに、残念。

若松監督、内藤監督、松本功さんと素晴らしい映画人に遭遇できた幸福な一日でした。

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『野獣の復活』 『脱獄囚』

今日もまたシネマヴェーラの東宝アクション特集へ。

『野獣の復活』(69年)。
山本迪夫監督の初監督作品だそうです。
あのう、とにかく、主人公・三橋達也の出来の悪い弟役の黒沢年男の演技が目障りです。
この人は細かい演技ができないのでしょうか?頭の悪い狂犬の役とはいえ、ずーっと大声でわめきっぱなし。かと思えば、バカみたいなダンスを披露。

この作品、東映仁侠映画の東宝アクション版です。
昔はヤクザで足を洗った三橋達也(東映なら高倉健の役どころ)が、ガマンにガマンを重ねて耐え忍んでいたのにかかわらず、ヒドい目にあい続け、最後に立ち上げるというオハナシ。
健さんと違って、日本クレー射撃協会の理事の三橋達也はガンを持って大滝秀治のところへ殴り込みに行きます。
この三橋達也の殴り込みが、健さんのようなゆったりとした優美なものでなく、散弾銃を持って階段・廊下を全速力で走って突入するもので、御年46歳にもかかわらず凄く頑張ってます。
そして踏み込まれた大滝秀治が発する言葉は「伊吹、もう来たのか」。

実際に銃を使い慣れている三橋さんが銃の調整をしたり射撃をしたりするシーンが見ものです。
実はワタシも銃にはうるさいんです。

次に鈴木英夫監督の『脱獄囚』(57年)。
鈴木英夫監督は最も好きな監督の一人。
完璧な素晴しい作品でした。傑作。
少しも隙がない。
観ていてハラハラドキドキして心臓が痛くなりましたよ。
鈴木英夫の作品って、えらくイチャイチャした夫婦に危険・危機がふりかかる、そして無事解決してさらに愛を深める、というプロットのものが多いですね。『脱獄囚』もそう。
この作品の池部良がまたいいんだな。視線が殺気立っていてセクシーで、なのに優しくてまいりました。
今回の東宝アクション特集で観た作品の中でもダントツの出来。
鈴木英夫作品、一昨年のシネマアートンの特集に都合が悪くて行けなかったので、まだ11本しか観られていません。全ての作品を観ていきたいです。

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『花様年華』『ブレノスアイレス』『狙撃』『『100発100中 黄金の眼』『ファーストフード・ネイション』

頑張って5本も映画観ました。

早稲田松竹にてウォン・カーウァイ作品2本。日曜の10時20分からの回にもかかわらず、場内ほぼ満席。

『花様年華』。
この作品をスクリーンで観るのは久しぶり。今回10回目ぐらいの劇場での鑑賞。
公開時は広東語を習う前だったのでその時はわかりませんでしたが、劇中、広東語になったり上海語になったりするのが面白いのです(『ラスト、コーション』も同じ)。
始めて観たときは、ただひたすらスタイリッシュなだけの作品だと思いましたが、改めて観てみると決してそんなことはなく、男女の心の機微を丁寧に描いているな、と。
トニー・レオンはこの作品の見た目が一番好きです。

『ブエノスアイレス』。
これも何度も何度も劇場で観た作品。
三島由紀夫なトニー・レオン登場。トニー・レオンをいつも同じような寡黙な男ばかり演っているとお思いの方は『ブエノスアイレス』や『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』を観てほしいですね。
ちなみに『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』はジョン・ウー監督の最高傑作だと思いますよ。
ウォン・カーウァイの選曲のセンスの良さは神がかり的だと再認識。 この作品だとカエターノ・ヴェローゾとかフランク・ザッパとか。もちろんピアソラも。
最後の「Happy Together」は権利の関係で有名なタートルズのオリジナルではなく、ダニー・チュンによるカバーをつかっております。このカバー版「Happy Together」が結構好き。
『ブエノスアイレス』のメイキング作品『ブエノスアイレス 摂氏零度』のDVDがまず台湾で発売された時、台湾にオーダーしたのですが、おまけで劇中出てきた「イグアスの滝」模様の光が動くライトがDVDに付いておりました。
そのおまけのライトは映画にでてきたのとまったく同じデザインのレプリカでよく出来たものでしたが、ライトを付けると熱でセルロイドが溶けそうだったので棄てちゃいました。

シネマヴェーラに移動。東宝アクション特集。
堀川弘通監督の『狙撃』(68年)。
堀川弘通監督って、そつなくそれなりにまとめる監督だというイメージなのですが、この作品もそんな印象。
ストーリーやキャラクターの描き方はキワモノっぽくて、サイケ調になったり、浅丘ルリ子のニューギニア・ダンスの披露まであるにもかかわらず、作品全体としては常識の範囲内でまとまっていて、そこら辺が常軌を逸した感じがする西村潔と違うところ。
森雅之が殺し屋を怪演。いつも金髪女をつれていて、ニヤニヤ笑いながら口ひげをたくわえていて、とにかく不気味。この作品最大の見ものは森雅之と言っていいと思います。
加山雄三はデブり始める直前といった感じ。ジーンズをはいているのですが足短い。
浅丘ルリ子とペアルックの水色のセーターとジーンズで歩いているのを観て、目を覆いたくなりましたよ。
(決してワタクシ加山雄三が嫌いなわけではありません。『乱れ雲』の加山雄三は大好きです)

次に福田純監督『100発100中 黄金の眼』 。
フィルム状態、結構退色しておりました。
ゴメンなさい。寝ちゃいました。

シネマヴェーラのある4階から3階に降り、ユーロスペースで『ファーストフード・ネイション』を鑑賞。
場内満席。
本日、『ブエノスアイレス』に続いて精肉工場が出てくる2作目の映画。
大好きなリチャード・リンクレイターの作品ということで、観に行きました。
リンクレイターの作品であるという情報以外何も知らずに観たのですが、『恋人までの距離』(この世で最も好きな作品のひとつ)とも『スクール・オブ・ロック』とも、まったく違う作風であることにひらすら驚きつつ観ておりました。
これほど一作一作スタイルが違う監督って、まず他にいないんじゃないでしょうか?
イーサン・ホークが山みたいに太っていてびっくり。
最後、エンドロールにプロデューサーがマルコム・マクラーレンとでていて驚きました。そうだったのか。
この映画のせいで牛肉やファースト・フードを食べたくなくなりましたよ!
取引先や政治家・監督官庁の視察の際は工場の清潔なハイテク部分しか見せないというのは、中国の毒物入りギョウザの件や、狂牛病の件も同じだろうな、と。
ちなみにワタシは以前から挽肉を買いません。何が入っているかわからないので。
挽肉が必要な時は普通の肉を買ってきて、自分で挽いてます。

疲れました。

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『昭和残侠伝 血染の唐獅子』『断崖の決闘』『地獄の饗宴』

フィルムセンターのマキノ雅広特集、『昭和残侠伝 血染の唐獅子』(67年)を
この作品の脚本を書かれた鈴木則文監督と観に行きました。
則文監督、この作品をご覧になるのは公開時以来だそうです。

『昭和残侠伝 血染の唐獅子』、高倉健の演技が、『日本侠客伝』の健さんの演技と見比べると、すでに型ができており、その期待された型どおりにこなしている感がしないでもないし、『日本侠客伝』の長門裕之&南田洋子の組み合わせに比べ、山城新伍&牧紀子カップルはずっと見劣りするけれども、それでもなお『昭和残侠伝 血染の唐獅子』、魅力的なシーンがいっぱい。
着しの池部良の登場シーン(カッコイイ!)、兵役から戻ってきた健さんに半纏をかけるシーン、健さんと藤純子の再会シーン(手が色っぽい)、健さんと池部良が二人揃って橋の上を歩くシーン、牧紀子から健さんが纏(まとい)を受け取るシーン、等々。

映画の後、喫茶店にてMさん、Sさん、Hさんとともに鈴木則文監督に諸々お話を伺う。
さらに場所を移動して某街某店にて焼き鳥を食べながら則文監督にさらに様々なお話を伺う。

某街で監督をお見送りし、渋谷に移動しシネマヴェーラの東宝アクション特集へ。
佐伯幸三監督の『断崖の決闘』。
ヤクザの話なのに、出てくる人が皆ふつうのサラリーマンみたい。
それで代貸しとか言っているんだから、違和感ありすぎ。つまらないので思いっきり寝ました。
最後、火薬の量は多かったけど。

次に岡本喜八監督の『地獄の饗宴』。
フィルム・ノワール作品。
全体的にキリリとひきしまっていて、編集がとても良くて、カット割り、カットつなぎが見事。
とてもテンポがいい。
これまで観た岡本喜八作品の中では(あまり喜八作品を観ていないのだけれど)、一番気に入りました。
大好きな佐藤慶が殺し屋役で出ておりました。
天津敏が主人公・三橋達也の見方役で出ていて、悪役じゃないことにちょっと驚きました。
新橋や渋谷の街並みが映っておりました。
面白かった。

明日も映画です。

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『薔薇の標的』、再び『ヘアピン・サーカス』

就業後、シネマヴェーラの東宝アクション特集へ。
と言うか、ここ数日は西村潔特集状態。

まず『薔薇の標的』。『弾痕』からの差し替えです。
監督・西村潔&撮影・原一民 の組み合わせ、そして脚本は白坂依志夫&桂千穂ときたら、期待せずにはいられません。
これがまぁ、摩訶不思議な映画でありました。
主演の加山雄三は既に体型がブヨブヨで、頬ひげをはやし、シャープさのかけらもないルックス。
作品中盤はヒロインのチェン・チェンと恋仲でずっと英語で話しているのですが、加山雄三、田宮二郎には及ばないまでもかなり英語うまい。結構きれいな発音で話しておりました。
謎の組織・新精神文化研究所を率いる岡田英次が加山雄三の射撃の腕を見込んで殺し屋に仕立て上げるのですが、この時の岡田英次のセリフが不思議なトーンで、冷静にしゃべっているのですが文中に英語の単語が多て(ルー大柴みたく)、かつ英語の単語を言うときそこだけ妙に英語っぽく発音する独特のしゃべり方。
と突然、江頭2:50みたいな上半身裸で黒タイツはいた痩せた白人男性2名が拷問されているシーン(しかも男たちはドイツ語をしゃべっている)が挟み込まれ、観ているこちらの頭は??となります。
新精神文化研究所にはヒットラーの写真や鉤十字が貼ってあって、収容所っぽい建物には霧が立ち込め、いかにもナチっぽい雰囲気。
殺し屋になった加山雄三は仕事をしに香港に行きます。
ここから香港ロケのシーンが結構あって、ワタクシ観ていて血圧が上がりました(しかもこぎれいじゃない方の香港の街並みが映っている)。
ワタクシ、昔の香港が映っている日本映画の鑑賞をライフワークにしているのです。
で、色々あって日本に戻ってきた加山雄三とチェン・チェンは恋仲になって、SLを撮影しに行きます。
SLがスクラップされているところを長ーくそこだけ音なしで見せることで、観客にこの二人の行く末が案じさせます。
で、ストーリーはそこから色々あって(加山雄三はスナイパーの悲しい性分ゆえに悲劇的な展開があって)、第四帝国を建国を目指す新精神文化研究所と加山雄三は戦います。
ここからが、西村潔お得意のカー・チェイス。やっぱりこの人、走っている車を撮らせたら超一流です。
車走るときの音もすごくイイ。
そして、岡田英次の車・ジャガーが炎上。ジャガーを燃やすなんて何て贅沢な!
加山雄三と岡田英次の決闘の場面はホモセクシャルな感じがいたしました。この決闘の場面とか、トビー門口と決闘する滝のシーンとか異様に美しいんですよ。

この作品をご覧になっていない方は、読んでてわけわからんとお思いでしょうが、ホント、何とも摩訶不思議な奇妙な雰囲気の映画なんですよ。
射撃したり、狂った上半身裸の白人がいっぱい出てきたり、香港行ったり、ナチ国家の再建を目指していたり、SL撮影したり、カーチェイスしたり。
それらを全部詰め込んでいて、それぞれの描写はひどく凝っていたり美しかったりするんですけど、パラノイア的というか何と言うか。
射撃とかカーチェイスとかは見応え凄いです。

次に数日前に観て衝撃を受けた『ヘアピン・サーカス』を再度鑑賞。
この作品の麻薬のような魅力にとりつかれ、もう一度スクリーンで観たいと思ったわけです。
冒頭、首都高を走る車に取り付けられたオンボードカメラがガタガタとゆれ、一般車を次々と追い抜いていくのを観ているだけでもう昇天。
今回、マカオ・グランプリの回想シーンがどうなっているのか注意して観たのですが、実際のマカオ・グランプリのレース映像(主演の見崎清志は実際にマカオ・グランプリで入賞したらしい)と、この映画のために日本かどこかのレース場で撮ったものをつないでますね。明らかに粒子が粗いマカオの市街地でのレース映像と、レース場で別に撮った2台の車が競り合ったり事故を起こしたりするシーンの違いが判別できました。別の場所で撮ったシーンには半ズボンをはいたマカオの警官に見える人物を立たせてカモフラージュしてますけれど。
ほか、一瞬映るマカオの裏町にいる見崎清志を撮ったショットもあって、これがまた愁いに満ちたいいショットでありました。
レース映像の合間に挟み込まれたマカオの街をロングで撮ったショット、石井輝男監督の『ならず者』を彷彿させる美しいショットでした。
笠井紀美子は一言しかセリフないけど、ハスキーな魅力的な声。
今日改めて見崎清志を観て(カーレーサーで俳優ではない)、この人の愁いがある硬い表情が70年代のヘルムート・バーガーにちょっと似ているなと思いました。ちょっと美化しすぎかもしれませんけど。
数日前に観たばかりなのに今日観ても、手に汗握り、観ていて昇天し悶絶し、大変興奮いたしました。エグゾーストノートを聞いているだけで、こっちも天国に逝きそう。
(公道でのカーチェイスはやはり凄すぎる。元町の商店街でも走っている。)
初めて観たときふざけたストーリーだと思ったけれど、そう単純に言い切れるものではないですね。
本能(スピード)に突き動かされた男と女、そしてその二人が行きついた境地を描いたものだな、と。
改めて観て良かった。

短い期間に続けて西村潔作品を続けて観て感じたことは、この人は特異な感覚の持ち主で、バランス感覚よりも、自身が持つその特異な感覚で突き進んで撮っていくタイプの監督ではないか、と。
あと、本当にカー・アクションを撮るのが好きなんだろうなぁ、と。デビュー作『死ぬにはまだ早い』なんて、主人公がカー・レーサーだった回想シーンを入れる必要がないのにしっかり入れていて、これは監督の趣味なんだろうなと。

『ヘアピン・サーカス』正直なところ、今年観た映画の中で最も魅了された作品。
DVD化を望みます。

追記
『ヘアピン・サーカス』について、Sさんが「カーセックスならぬ、カー同士のSEXシーンが観られる稀な作品」とコメントされておりました。
なるほど!!

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恐怖・浅草新劇場。『東京湾炎上』『『死ぬにはまだ早い』『黄金のパートナー』

昨年『野獣狩り』を観てからというもの藤岡弘に魅了され、彼の出演作は観ていこうということで、『東京湾炎上』が浅草新劇場で上映されると知り、ワタクシ、何の迷いもなく浅草新劇場に行くことを決断しました。
これまで浅草の劇場は恐ろしいところだというイメージがあり敬遠し、一度も行ったことがなかったのですが、愛しの藤岡弘の映画のためなら危険もかえりみず観にいくのは当然であり、知人数人に浅草の劇場に行く心得を訊き(ガムに気をつける、お気に入りの服で行くな、何かされそうになったらはっきりノーと表明しろ)、浅草新劇場は浅草にある劇場の中でも最もヤバい劇場であり2階には絶対行かないようにとの忠告を受け、当日、洗濯機で洗えるスカートをはき遠路はるばる浅草新劇場に参じたのであります。

無気力そうな老人がたむろする場外馬券場向かいに浅草名画座、浅草新劇場が並んで建っています。
浅草の劇場

浅草の劇場

浅草の劇場

劇場内に入ってみると、5年くらい前通っていた中野武蔵野ホールや昨年のカナザワ映画祭のオールナイトで行った駅前シネマに比べて椅子も新しく全然きれいじゃないかと最初は思いました。
場内見渡すと女性はワタシ一人だけです。
この劇場のことがまったくわからないワタシは、1階の一番後ろの列、映写室すぐ前、通路からちょっと内側に入った席にガムが付いてないことを確認して座りました。
上映中にオジイサンたちがよろよろ歩くのも、ビニール袋をガサガサ音たてるのも、場内タバコを吸う人がいるのも想定の範囲内なので、大丈夫大丈夫と自分に暗示をかけつつ、上映が始まった『東京湾炎上』に集中しようと頑張って観ておりました。
映画のストーリーが、藤岡弘が乗務しているタンカーがテロリストにシージャックされるあたりまで進んだ頃、オジサンが後ろからワタシの肩を叩き、ギョっとしたのですが、そのオジサンはそのまま場外に出て行ったので気にしないようにしてそのまま映画を観ていたら、40歳代と思われるこの劇場内では若い男が、客席はガラガラなのにあえてワタシの左隣に座ったので、これはヤバいと思い、ワタクシ瞬間2つ右の座席に移動し座りました。
そのまま映画を観ていたのですが、10分ぐらいたった時点で、その隣に座ってきた男、何と自慰行為を始めたではないですか!
恐ろしくてワタシは視線をスクリーンからはずさないようにしていたし、座席の間隔も2つあるにもかかわらず、男の異常な動きで視線を動かさずともそれは明らかで、数分ワタシは恐怖心で固まりつつ映画を観ていたのだけれどもワタシの真後ろにさらに違うオジイサンが立っているのを感じ、これ以上変質者に囲まれては危険だと判断し、2つ前の、熱心に映画を観ているオジイサンがいるだけの列の一番右側のドア横の席に移動しました。
そして何とか映画に集中しようとしたのですが、あたかも治安のめちゃくちゃ悪い街で夜中一人で歩いているような、全神経を張りつめている感覚から脱することができず、移動した席でも自分の前の席のオジイサン二人が同性愛者の行為を行っているのに気付き、本当に恐怖で身の毛がよだち、映画の途中で劇場から出ようかなとも思ったのですが、はるばる浅草まできて、恐ろしい思いしてここまで観たのだから最後まで観ようと腹を決め、何とか最後まで観切りました!
エラいぞ、ワタシ。
スクリーンの「終」の字が出るか出ないかのうちに場内から出て、逃げるように浅草新劇場を後にしました。
本当に恐ろしかった!
以前、新宿国際劇場の土曜日のオールナイトに行ったことがあるのですが、そこはワタシ以外のすべての人がゲイだったので、逆にある意味安全だったのですが、浅草新劇場は何されるかわからないという恐怖心と緊張感でどうにかなりそうでした。
(もっとも、もしかしたらワタシの後姿を見て、ワタシのことをオカマだと思ったのかもしれません。女性なんてまず来ない劇場でしょうから)
劇場にいく前は同時上映の『無頼 黒匕首』(小沢啓一監督、主演・渡哲也)も観たいなと思っていたのですが、とんでもありません、1分たりともこれ以上劇場にいることはできませんでした。

で、『東京湾炎上』ですが、極度の緊張のあまりどういう作品だったかよくわかりませんでした。
いえ、ちゃんとスクリーンは観ていたのでストーリーはわかりましたが、心ここにあらずでした。
まったく、東京湾が炎上するかどうかなんかより、浅草新劇場にいる自分の身の危険をどう切り抜けるかの方がよっぽど重要でしたよ!!
あえて、気が付いたことをあげると、藤岡弘の顔が黒い、テロリストの黒人たちがヘンな日本語話してて妙だった、タンカーの船長である丹波哲郎が途中で死んだのは意外だった、ぐらい。

どんなに観たい作品が上映されようとも、今後は絶対に浅草の劇場で映画を観ないことを決意いたしました。

恐怖に震えつつ六区から合羽橋方向に移動し、生涯学習センター北というバス亭から台東区の循環バス「北めぐりん」に乗り、東浅草二丁目というバス亭で下車。
山谷にあるコーヒーの名店「カフェ・バッハ」に行くためです。以前行ったときコージーな雰囲気、対応に感激し、また行きたいと思っていたのです。(その時のブログ)。
前回と同じように、今日もまた入るなりキビキビした接客が気持ちよく、店内は明るく、恐怖体験をした直後のワタシはここでやっとホッとしたのでした。
まずイタリアン・ブレンドと焼き菓子をオーダー。
甘い焼き菓子を口にした後に飲む深煎りのコーヒーの苦味が絶妙で、幸せな気持ちになり、先ほど嫌な思いが頭から完全に消えました。
次に、インディアと生菓子を注文。
ケーキはお店の方がすすめられたチョコのケーキで、上にチェリーが1コのっていて、チョコクリームの間に軽い生クリームが挟んであって、その生クリームの中にはチェリーが入っておりました。新作だそうです。
インドの豆を置いてある喫茶店は少なく、インドの豆があるとわかると頼むことが多いのですが、どこのお店でもインドの豆はかなり個性的なクセの強い味わいです。
カフェ・バッハのインディアは新鮮な雑味がない味で爽やかな感じがいたしました。
やはりケーキとよく合います。
ちょっと懐かしいケーキと、素直な真面目なコーヒーという組み合わせ、とても好感が持てます。
バスに乗ってカフェ・バッハに来て良かったです。お店の方も感じがいいです。
傷心が癒されました。

南千住から地下鉄に乗り、渋谷へ。
道玄坂の喜楽のラーメンが好きなのですが、数ヶ月前に2階で食べていたらNの襲撃を受け、思わず悲鳴をあげてしまい、そのトラウマでしばらく喜楽に行けなくなっていたのですが、浅草新劇場に行った後で今日は度胸が出来ており、久しぶりに中華麺食べました。やっぱり美味しいね。

シネマヴェーラの東宝アクション特集へ。
身の危険を感じずに映画を観られるって素晴しい!!
『ヘアピン・サーカス』があまりの衝撃作だったので、これからは西村潔作品を観ていかなきゃいかんということで(『ヘアピン・サーカス』のほかにこれまで観たことがあるのは『白昼の襲撃』と『豹は走った』のみ。そもそも監督作品があまりない)、今日は西村潔作品の2本立て。

『死ぬにはまだ早い』(69年)。
これは監督デビュー作だそうです。
すごく面白かった。
主人公の高橋幸治・緑魔子は、倦怠期の不倫のカップルで、二人ともすごくニヒルなキャラクター。
冒頭の二人のベッドシーンが艶かしくてとてもいいです。
直後に高橋幸治のカーレーサーだった頃の回想になり、『ヘアピン・サーカス』と同じようなカーレースのシーンが入ります。カメラマンは『ヘアピン・サーカス』と同じ原一民。
やはり車のスピード感が素晴しく、この監督とカメラマンは車が走っているのを撮らせたら超一流だなと思いました。
このままカーレースにからんだ話なのかと思いきや、突如二人が立ち寄ったドライブインを舞台とした密室劇へ。
ドライブインの中に、狂犬のような黒沢年男が銃を持って入ってきて、客を人質にとり立てこもります。
そこから、臆病者の狂犬・黒沢年男が、三菱銀行人質事件(79年)を彷彿させる、人質に対する様々ないたぶり行為をする地獄絵図が繰広げられます。
この人質に対する脅かし・いたぶり度合いはすさまじく、人質のエゴもむき出しになり、物凄い緊張感を持った作品になっております。
ラストはかなり驚きました。
時折ユーモアも垣間見えて、立てこもり中の緊迫した状況の中、お店に入ったときに注文したハンバーグができあがって出てきたり、最後生き残った人質が帰るとき、木っ端恥ずかしい車に乗って帰っていったりいたいます。(生き残った人質たちが事情聴取されずに次々帰っていくのはヘンなのですが)
黒沢年男は不器用な役者だと思っているのですが、この作品では狂犬ぶりがとても合っていてなかなか良かったです。
すきま風が吹いている高橋幸治・緑魔子カップルの狂犬・黒沢年男に動じない虚無的な感じが魅力的でありました。高橋幸治は『妻二人』でも全然動じない役だったような記憶です。
この作品、緊迫感が凄い作品なのですが、歌謡映画でもあって、車のラジオ、ドライブインのジュークボックスから次々と皮肉っぽく歌謡曲が流れておりました。
やっぱり西村潔スゴい!(一橋大学卒、女風呂盗撮で逮捕、61歳で入水自殺という生涯も含めて。)

続いて同じ西村潔監督の『黄金のパートナー』(79年)。
もともと上映されるはずだった『密輸船』のプリント状態が悪く差し替えになっての上映です。
紺野美沙子のアイドル映画というか(こんな作品が撮られるほど紺野美沙子って人気があったんですか?)、サイパンの観光映画というか、ぶっちゃけ何の中身もないうわべだけの映画。
藤竜也と三浦友和と紺野美沙子がサイパンで宝探しをするのを観て、「ああ、『冒険者たち』なんだ」と思ったのですが、これはヒドい。
表面的に美しい映像をつなぎ合わせ、来生たかおのお気楽な音楽を流し、当時はこういうのがオシャレだったんだろうなーとは思いますが、観ているのが面倒臭くなって途中寝ました。
殿山泰司のことを「コジャックのおじちゃん」と呼ぶところ以外、すべてツマラナイ。
美しい映像を撮ろうとしたのはわかるんですけどね。映画じゃななくて、ビデオクリップみたい。どういう企画でつくられた映画なんだろ。どうでもいいけど。
最後、紺野美沙子の名前が出たときにユニチカと出てきてました。そういえば彼女、ユニチカ・ガールでした。この作品が女優デビュー作だそうです。

色々あった今日一日でした。

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『暗黒街の対決』『顔役暁に死す』『野獣都市』

シネマアートンの大藪春彦特集で3本鑑賞。

岡本喜八監督の『暗黒街の対決』。
先日ラピュタで観た『暗黒街の顔役』がひどい駄作だったので、不安に思いつつ鑑賞しましたが、『暗黒街の対決』は大丈夫でした。
トレンチコートを着た三船敏郎の広い肩幅、厚い胸板に魅了されました(もちろん顔もイイ)。
鶴田浩二は三船敏郎と一緒に映るとキビシイですね。鶴田浩二は着物の人だ。
鶴田浩二のバーがモロ西部劇風。街角の撮影などもローアングル多用で西部劇そのもの。
西部劇好きの監督の趣向がにじみ出ておりました。
なのに、鶴田浩二は仁侠映画そのままの古臭い演技で、浮きまくっておりました。
最後の三船敏郎と鶴田浩二の対決のシーンは興奮いたしました。

次に岡本喜八監督の『顔役暁に死す』。
これはお坊ちゃま俳優加山雄三を大活躍させるための映画。
この作品もローアングルでの風景の撮影が多く、特に証拠の弾丸を追うヤクザを加山雄三が追いかけるシーンなんて、セットがどう見ても日本じゃなく西部劇。
観覧車は浮き上がるところが良かった。
これも『暗黒街の顔役』のようは駄作ではありませんでした。ヌルい方ではありますが。
ワタシにとって岡本喜八、あまり好きな方の監督ではないんだと思います。
これまで観た作品、どれも長く感じるんですよね(実際に尺が長い作品も多い)。
まだ一部の作品しか観ていないので、これから凄く気に入る作品に出会えるかもしれませんが。

3本目、福田純監督の『野獣都市』。
これはすごく面白かったです。
主演の黒沢年男が見た目・演技ともイモだということを置いておけるぐらい、興味深い作品でした。
シネマアートンの解説には
「工学部学生・有間は、銃砲店でアルバイト中に銃と運転の腕前を見込まれて、実業家・石浜の運転手兼用心棒となる。石浜は戦争中麻薬で荒稼ぎした過去があり、昔の仲間やヤクザに脅迫されていた……。石浜と有間の次第に父子のような情愛が生まれてくるシリアス・タッチなハードボイルド・アクション。」
とありますが、黒沢年男と三國連太郎の関係は、「父子のような情愛」というよりホモソーシャルな関係で、黒沢年男は三國連太郎の自分の会社のためなら私情を捨て手段を選ばない三國連太郎の非情さに惹かれ、三國連太郎は若い時分の自分を思い起こさせるハングリーな黒沢年男に惹かれます。
一方、三國連太郎は異性である娘・高橋紀子には冷たくよそよそしく、会社の利益のために娘を付き合っている男と別れさせ大会社の御曹司と政略結婚させることにし、娘とは金のやりとりでのみコミュニケーションしております(三國連太郎には死別したのは離婚したのか妻がいなく娘との二人暮らし)。
そんな父親に対するつらあてに高橋紀子は、住み込みの黒沢年男をモーテルに連れ込みセックスし、父親に反抗して見せるのですが、三國連太郎は娘・高橋紀子に対し黒沢年男と寝たことへの怒りをぶつけ(男二人の関係の中に異性である高橋紀子が入ってきたことへの怒り)、一方責任をとって家を出て行こうとする黒沢年男に対してはずっとこのまま家にいてくれと懇願とも取れる態度を見せます。
老獪な有力者たちによって会社の危機に陥った三國連太郎は黒沢年男と○○を別荘に監禁しますが、その別荘で二人が見つめあいコーヒーを飲むときの笑顔ときたら、すべてを信じ合っている恋人同士のようです。
(以下青文字部分ネタバレ注意)
が、相手側に娘を人質にとられ、会社のためならどんな私情も廃していた三國連太郎が会社よりも娘への愛情を選んだ瞬間(ごく普通の選択をした瞬間)、スキを突かれ三國連太郎は相手側から暴行を受け廃人にされてしまいます。
このとき、黒沢年男は命がけで三國連太郎を救出しようとするのですが、相手側に「俺の社長を返せ!」と言うセリフがあって、「俺の社長」という聞いたことのない言葉にワタクシ驚いてしまいました。「俺の女を返せ!」というトーンで「俺の社長を返せ!」と言うんですよ。
うーん、ホモソーシャル。
黒沢年男は救出した三國連太郎が考えることも話すこともできないヨダレを垂らすだけの廃人になってしまったのを見て、涙を流しながら三國連太郎を殺します。
愛する存在をそんな姿で生かしておくことはできない、と。

このようにホモソーシャルなストーリーの作品なのですが、画面構成も出色の出来で、見ていて唸らされました。
あと、冒頭三國連太郎が黒沢年男と猟に行く場面で、三國連太郎の帽子に猟友会のバッジ(毎年更新される年号が入ったやつ)が付けてあり、細かいところまでよく研究してあるなと思いました。
銃マニアの視点から観ても面白いのではないでしょうか。
(有名な話ですが大藪晴彦は銃刀法違反で逮捕歴あり)
この作品を実際観る前に、主演は黒沢年男ではなく藤岡弘だったらよかったのにと考えていたのですが、もし藤岡弘が主演だったら、三國連太郎は単純にたくましい肉体をもつ藤岡弘の外見に恋愛感情を持ったという違う話になってしまってましたね。
だから藤岡弘じゃダメ。黒沢年男ではなく誰だったらよかったか考えてみましたが、適任が思いつきません。やっぱり黒沢年男しかいなかったかな。

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『日本侠客伝』シリーズ3本と『ヘアピン・サーカス』『100発100中』

今日はまずフィルムセンターでマキノ雅広監督の『日本侠客伝』シリーズを3本鑑賞。

『日本侠客伝』。
文句なしに素晴しかった。
様式美の世界に魅了されっぱなし。
どのショットも写真にして額に入れて、床の間に飾りたいぐらい。
とりわけ高倉健が登場したとたん、スクリーンが断然引き締まるのを感じました。
特に健さんのアップのショットが最高。絵になるなぁ。

『日本侠客伝 浪花篇』。
出演者の中でひときわ顔も身体も醜い村田英雄がバッチリ目張り入れて眉描いて、大見得切った浮いた芝居をしているのには、観ていて片腹痛かったなぁ。
明らかに一人だけ違う芝居(コマ劇の舞台芝居みたいの)をしていて浮きまくっているんだけど、本人は本当に気持ちそうにやっていて、ああ、マキノも手の施しようがなかったんだろうなぁって、観ていて思いました。
(唄は素晴しかった)
村田英雄が殺されるトンネルのシーンが特に素晴しかったです。

『日本侠客伝 関東篇』。
これ、すごく面白かった。笑いっぱなし。
先の2作に比べてかなりユーモアの部分を強調した感じ。
高倉健の登場の仕方に意表をつかれました。主人公なのに、いつの間にか映っていた、という登場の仕方。
高倉健が悪役のヤクザ対し、「おい、ヤクザ!」とか「ヤクザくん!」と呼びかけるのには本当におかしい。
先ほどの村田英雄と違って、北島三郎の演技がうまく感心いたしました。勘がいいんでしょうね。
サブちゃん、見た目今も当時もあまり変わりなかったなぁ。
あと、この作品、脚本に突っ込みどころが多かったです。
小揚(荷物を運搬する者たち)の大木実(頭デカい)は、昔から世話になっている築地の魚問屋「江戸一」が窮地におちいっているのを見て、小揚組合の金に手をつけて、「江戸一」の女社長の南田洋子に渡します。大木実は「これは横領・背任だ」と言いながら公金を渡すのですが、南田洋子と高倉健は断ることもなく嬉しそうに受け取ります。これにビックリ。
「江戸一」は丹波哲郎の網元から魚を陸揚げしようとしたところ、ヤクザと癒着した水産庁は突然陸揚を禁止してしまいます。が、何とか陸揚げしたい高倉健が大木実ら小揚に頼みこむと、大木実は「法律を犯すことはできない!」と言い断ります。直前に公金横領くせによく言うよ、と突っ込みたくなります。
すると、健さんは他の小揚連中に「これは皆の問題だ!この取引の金は小揚組合の公金から出ているんだ!」とぶっちゃけます。
が、驚いたことに、小揚組合の組合員たちは、誰も大木実の公金横領に怒ることもなく、「そうか!じゃあ、俺たちの問題だ!皆で魚を陸揚げしよう!」と、法律違反はイヤだと言った舌の根も乾かぬうちに俄然やる気になり、一致団結して陸揚げします。
という感じに不思議な脚本なのですが、そんなことは些細なことで、そういう次元を超えた素晴しさがこの作品にはありました。
焼津の網元役の丹波哲郎がいつもの丹波哲郎そのままで、お銚子ごと口につけて酒を飲んでおりました。
あと、この作品、前2作以上に高倉健の肉体美を誇張した作品でありました。特に脱ぐ必要もないのに裸を見せるシーンが何箇所かあって、後半の健さんが裸になって身体を手ぬぐいで拭いているシーンなんて、背中の美しさをひどく強調していてゾクっとするほど艶かしかったです。
(同様のシーンは、楊凡 (ヨンファン) 監督の『華の愛 遊園驚夢』にあり。)

大急ぎで渋谷に移動し、シネマヴェーラの東宝アクション特集へ。

西村潔監督の『ヘアピン・サーカス』。
この作品もまた、違う意味でものすごく面白かったです。
テレビモニターではなく劇場のスクリーンで絶対観るべき作品。手に汗握ります。
昼間の首都高をかなりのスピードで車がズンズン走っていく冒頭から、スリル満点で、車酔いしそう。
菊地雅章の音楽がムチャクチャかっこいい!
車が疾走するエンジン音といっしょに終始超クールな菊地雅章の音楽が流れて感涙モノ。
サントラも発売されております。
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(2006/05/30)
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主演の見崎清志は俳優ではなく本物のレーサーで、結構な二枚目。
レーサーが出演した映画で思い出されるのが、石井輝男監督の『爆発!暴走遊戯』。
この作品に出ていた桑島正美は超棒読み・無表情で見るものを凍らせる演技でしたが(しかもお世辞にもハンサムとは言えないルックス)、それに比べ『ヘアピン・サーカス』の見崎清志は、それなりに演技をしていて、演技力不足で無表情な甘いマスクは、何か暗い過去のために感情を表に出さない陰がある男に見えなくもないのであります。
夜のドライブインで、見崎演じる主人公・島尾は、自分が教官を務める自動車教習所で一年前に教えた美樹(マルシア似)に偶然再会いたします。
ここで、映画は一年前の教習風景に戻ります。この教習所でのプレイバックが奇妙に長い。自動車免許の教習ってそんなスリリングな場面じゃなのに。
(島尾が美樹に教えた言葉は「ゆっくり走れ。後ろに注意。緩いカーブに気をつける」)
で、美樹とその仲間と別れた島尾は、雨の首都高を走り自宅に向かいますが、今度はマカオ・グランプリでの回想シーンに変わり、島尾がレーサーだったことがわかります。
このマカオでの回想シーンが結構見もので、実際のマカオ・グランプリで撮影されたらしき映像やドライブしている姿をアップで撮ったショット、事故のシーンや、マカオの病院のシーン(ちゃんとマカオ・ロケしている)などなどマカオに行ったことがある人なら懐かしくなってしまう風であります。
映画はまた現実の雨に濡れた首都高に戻り、菊池雅章の音楽に合わせて、島尾の車がどんどん疾走するのを見ていて、ワタクシ、どんどん気持ちよくなりました。
で島尾の住まいは川崎の公団住宅。妻と赤ん坊が待っております。所帯染みた感じがリアルです。
家で寝ていても、マカオ・グランプリを思い出す島尾(ここでまた長いマカオでの回想シーン)。
そして、島尾は、美樹とその仲間は公道で他の車を挑発し、挑発にのってきた車をヘアピン・カーブで撃墜し事故に遭わすというゲームをしていることを知ります。
島尾は危険な行為を止めるよう美樹を説得しますが(と言っても、強く説得するわけでもなく、美樹の車に同乗して、危険なゲームに延々付き合い続けます)、言葉で説得しても美樹は忠告をきかないと結論を出した島尾は、自らのドライビングで美樹とそのグループを撃墜することにします。
ここからが、驚異の天下の公道でのカー・アクションの連続。
今では絶対に撮影不可能でしょう。
普通にタクシーが走っているすぐそばで公道レースをしております(もちろん、時代柄シートベルト無し。おそらく夜中に撮影していると思われますが、それでも危険極まりない感じ)。
それを車の前後至近距離から撮影し続け、菊地雅章の音楽も相成って、とにかくスリリング。
そして驚異のラスト。想像を超えた終わり方で、観ていて噴出しました。
「東映か!!」と、突っ込まずにはいられません。
脚本はいい加減。そもそも脚本はどうでもよい作品で、この作品の主役は車(トヨタ2000GT)と菊池雅章の音楽です。
観ていて車酔いしそうな映画でした。DVDが発売されたら買いたいです(されないでしょうけど)。
とりあえずサントラのCDを注文いたしました。
ヘアピン・サーカス


最後に福田純監督 『100発100中』 。
最初の60分はテンポよくて、面白く観ていたのですが、最後の30分がどうにも冗長でかったるく疲れちゃいました。
もっともそう感じたのは、5本目の映画で疲れていたためかもしれません。
布施明が歌う主題歌、よく耳にするのですが、はてどこで聞いたのかしら?

今日一日、食事もせず朝から5本観たので疲れ果てました。

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 リネン

Author: リネン
♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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