加藤彰監督トークショー、『学生野郎と娘たち』『色情姉妹』『実録おんな鑑別所 性地獄』『ラブハンター 熱い肌』『OL日記 濡れた札束』
2008 / 04 / 27 ( Sun )
ラピュタで5本鑑賞。
モーニングで中平康監督の『学生野郎と娘たち』。
最初から最後まで俳優たちの軽妙な台詞回しと、キレのいい身体の動きに魅了されっぱなし。
カッティングもスピーディ。
この時代の中平康は本当に素晴しい!
俳優たちのなかでも、中原早苗の身体の動きがとりわけ見事。こんなに魅力的な女優だったのかと唸りました。
曽根中生監督の『色情姉妹』。
社会の底辺に生きる3姉妹のお話。
浦安が舞台ですけれども、浦安市民の方はご覧にならない方がいいかもです。
小原宏裕監督の『実録おんな鑑別所 性地獄』。
ダウンタウン・ブギウギ・バンドの音楽がピッタリで、ロック感あふれる作品。
現実的な芹明香と高橋明のカップルが痛快。今さながら高橋明の声の良さにウットリ。
観ていて楽しかった。
小沼勝監督の『ラブハンター 熱い肌』。
田中真理&織田俊彦夫婦の邸宅の内装がゴヤ風というかゴシック風で独特の雰囲気を放っておりました。
温室で織田俊彦が裸の田中真理に乱暴するカット、いやらしくて驚きました。田中真理の乳房が温室のガラスにバーンと打ち付けられ、まぁ、エロい。
最後、田中真理が束縛から解放され旅立つというのは、『昼下りの情事 古都曼陀羅』と同じでしたね。
そして『OL日記 濡れた札束』。
本日は加藤彰監督がご来場です。
まずは、作品の上映。ニュープリントです。
音楽は樋口康雄で、『エロスは甘き香り』と『(秘)色情めす市場』で使われた音楽が流れておりました(『エロスの甘き香り』が時代的には一番古い)。
中島葵、絵沢萠子の行かず後家姉妹の家というのは迫力あります(絵沢萠子の顔が沢口靖子に見えた)。
中年女性を演じた中島葵、調べると当時まだ29歳なんですが、疲れきった彼女の顔は40歳はとうに超えているように見えます。
年下男にいいようにされて横領に手を染めていく様は観ていて痛々しい。
中島葵の入魂の演技を堪能。
最後、逮捕され、取調べ中、高橋明演じる刑事と丼を黙々と食べるカットが良いなぁ。
樋口康雄の音楽は2次使用、3次使用なわけですけれども、この作品のために書き下ろしたように映画によく合っておりました。
そして加藤彰監督のトークショー。
聞き手は高崎俊夫さん。
場内、『OL日記 濡れた札束』を撮影された荻原憲治カメラマン、そして白鳥あかねさんもご来場されてました。
加藤彰監督、物静かにお話される方です。

『OL日記 濡れた札束』は30年以上前の作品で、よく憶えてない。
台本を見直してみても自分が撮ったもの違う。今回改めて観て、改めて台本と違うと思った。
モデルになった九億円横領事件は当時大変な事件で、ショッキングだった。
相手のタクシー運転手や「オニイチャン」と呼ばれる人物の存在などは当時新聞で読んでいた。映画化は事件直後、皆の記憶に新しい頃だった。
劇中、三島事件なども戦後の軌跡を入れたのは、台本にはなく加藤監督のアイディア。
戦中派はどうなっていったのかということを描きたかった。
決して美人ではない中島葵の存在感がよく出ていた。彼女のよさ、人間そのものが作品に表れていた。いい女優だった。
中島葵以外の登場人物は、殆ど素人みたいな人で、下宿のお婆さんもそうだし「オニイチャン」役は日活の大部屋俳優。それでドキュメンタリーみたいなものを撮ろうと狙っていた。
中島葵はその前に武田一成の作品に出演していて、『OL日記 濡れた札束』への出演は製作の伊地智啓が決めた。

加藤彰監督はもともと小説家志望だったのだが、小石川高校の2年だった時に、担任の小島信夫が芥川賞を受賞した。小説家とは、 こんなにもユニークな人なのかと思い小説家を目指すのを止めた。日大芸術学部の後輩には小沼勝監督や蔵原惟二監督がいた。
日活に入社し、中平康監督に一番多く、12~13本付いた。『恋狂い』は脚本を書いた中平監督の『砂の上の植物群』の延長だと。
蔵原惟繕監督には2~3本付いた。
日活がロマンポルノに転換するとき、藤田敏八など他の監督が断ったので、自分が撮ることになった。
自分はアクションを撮れない監督。これを撮らないと映画を撮れないと思い、流れに乗ってやっちゃったという感じ、と。
そして質疑応答。
「通常ロマンポルノ作品は3人ぐらいの女優が出演しますが、『OL日記 濡れた札束』は中島葵一人が出ずっぱりでしたが、企画として大丈夫でしたか?」との質問に対し、監督、事件が特殊でタイムリーだったので、大丈夫だった、と。
京都・山科の女三人家族でああいう事件が起こったということ、それだけを撮り続けるだけでよかった、他の登場人物を入れてバラエティをとる必要はなかった、中島葵の存在感ですね、と。
中島葵に対しては特別役作りの指示は与えなかった。ちょっとしたヒントは出したけれども、とりわけ役についてのプランは与えなかった、と。
次に中平康監督についての質問。中平監督は晩年アルコールに浸っていたが、加藤監督が付いた頃はどうだったか?
加藤監督は中平監督の中期、『泥だらけの純情』の頃に付いたが、既に酒を飲んでいて荒れていた。
自分はまともな中平康を知らない。
中平作品は今見ても古くならない。素質がある人だったのだろう、頭の回転の速い人という印象、と。
『猟人日記』ではサードだったので、内容にかかわってない。
後年、西村昭五郎監督に「おまえが中平康を堕落させた」と言われた(笑)。
中平康は初期に傑作が多いが、アルコールに浸っていた頃の『月曜日のユカ』『砂の上の植物群』はそんなに堕落してない。その『猟人日記』もしっかりしている。
中平康監督からの影響は?と訊かれ、加藤監督、他人から見ると似ているんだと思う。比較すると自分は都会的ではないけれど、と。
後から考えると、女性を描く映画は自分に合っていた分野だと思う。
当時は何とか750万円で映画にしたい、自分のイデオロギーを入れるということよりも、お金がかかっていなくてもかかっている作品に見せたい、そういう意気込みで撮った。
『OL日記 濡れた札束』にご真影が出てくることについて、国民学校に入って戦争が始まった、それを反映させたいと思った、と。
中島葵演じる主人公が世の高度経済成長と反する存在ですね、という高崎さんの問いかけについて、当時の映画業界は高度経済成長と逆に下がっていくばかりだった、と。
今の映画界の繁栄を羨ましく思う、と。

日活についての話になり、74年頃の日活について、物凄い熱気だったと。
皆若く、ワンステージで3、4組が同時に撮っていた。競い合いみたいな熱気があった。
ライバルは神代辰巳で、藤田敏八は兄のような存在だった。
藤田敏八とは2年間、同じアパートの1階2階に住んでていたこともあった。
藤田敏八も山田信夫も67歳で亡くなった。だから、自分は余生を生きているような気がする。
同期は伊地智啓、村川透、白井伸明。
ロマンポルノについて、当時はある程度注目されたけど、今見るとAVと同じように見えるのではないかと思う、と。
(絶対にそんなことありません!)
加藤監督、西村昭五郎監督が映画芸術に執筆した文章のタイトルをあげ、ロマンポルノ転換期の悲壮感、覚悟、ショックだった心境を説明されてました。差別の中に入っていく覚悟だったと。
そしてトークショー終了。場内拍手。
加藤彰監督に『OL日記 濡れた札束』のDVDにサインしていただきました。
ワタクシ、トークショーの最後の部分、ロマンポルノへの転換についてのお話を聞いて、胸が痛く辛くなりました…。
映画監督には色々なタイプがいますよね。ロマンポルノの監督でも自分は芸術家だと自負しているタイプも多いと思うのですが、加藤彰監督はまったく逆なタイプで本当に謙虚で(大監督に対して謙虚という形容詞はおかしいかもしれませんけど)、真摯でもの静かな語り口の方で、極めて客観的にご自身の作品について、また当時のご自身状況について、お話されている印象を受けました。
映画ファン、ロマンポルノ・ファンの一人として、加藤彰監督に、素晴しい作品を撮られたことへの感謝の念をお伝えしたい、そんな気持ちにかられたトークショーでした。
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テーマ:日本映画 - ジャンル:映画
『抱擁』
2008 / 04 / 25 ( Fri )
シネマヴェーラのマキノ雅広特集、ラスト1本で『抱擁』を鑑賞。
三船敏郎と山口淑子主演のメロドラマ。
観ていて頭痛がしてしまいました。この映画がお好きな方、スミマセン。
冒頭、クリスマスの銀座で、山口淑子が死んだ恋人に瓜二つの三船敏郎に遭遇するのですが、その直後、雑踏の中にいる山口淑子を中心にグヮーっとクレーン・ショットになり、何かすごいものが始まるかと思いきや、全編1953年当時の東京というよりも、パリの19世紀末のモンパルナスだかモンマルトルといった感じの恋愛劇が始まります。
山小屋という名前の、ホントに山小屋みたいな内装のバーに集う貧しいボヘミアンたち(平田昭彦、志村喬、小泉博など)は、みんな薄幸の山口淑子が大好き。みんなベレー帽とかチェックのジャケットとか着ていて、詩を書いてたり絵を描いていたりで、ラ・ボーエムとか、そんな感じ。
バー山小屋での室内劇の場面は、音楽が流れていなくて、なんだか暗い。
山口淑子の死んだ恋人との回想シーンで、本物の雪山や山小屋が出てくるのですが、これまたスイスかというような無国籍ぶり。
で、一年後、山口淑子は死んだ恋人にソックリな三船敏郎にクリスマスの銀座で再会して街中で愛を語り合うのですが、この場面の東京ということになっている街のセットがルネ・クレールの『巴里祭』かというぐらいのパリっぷり。
なんでこんなに全編に渡ってヨーロッパ調なんだろ?
そしていきなり淑子&ミフネは雪山に愛の逃避行。もうここでの二人のやり取りなんてグズグズで、観ていて逃げ出したくなりました(心が狭くでスミマセン)。
この雪山での撮影はスキーが得意な岡本喜八によるものなんだそうです。
三船敏郎の胸板は素晴らしかったです。
『惜春鳥』
2008 / 04 / 24 ( Thu )
就業後、神保町へ。
「さぼうる2」でナポリタンを食べ、腹ごしらえ。
神保町シアターの木下恵介特集で『惜春鳥』を鑑賞。
ワタクシ、常日頃から川津祐介ファンであることを公言しておりますが、映画に詳しい方数名から、『惜春鳥』が川津祐介や津川雅彦が風呂で裸になったりするホモ映画であると教えてくださり、川津祐介のホモ映画観たさに観に行きました。
いやぁ、想像以上に男色映画でした。
特に川津祐介の動作がひと際おかしい。
風呂のシーンに限らず、男同士手を握り合ったり、肩を抱き合ったりで、そんなときの川津祐介の表情は陶酔したような虚ろな感じ。
5人の仲間の中で一人小児麻痺の後遺症らしき足をひきずっている男の子(山本豊三 )がいるんですけど、この子は完全に川津祐介に恋しちゃっている様子で、そんな求愛に対し、川津祐介はひたすら優しく受け止めているのでありました。
そもそも山本豊三が足が悪い設定なのも、介護する名目で川津祐介とベタベタさせるためとしか見えなかったです。
とにかくこの作品、登場する男の子たちの撮り方が完全に男色目線で、とりわけ川津祐介に対して木下監督は特別な感情移入をした上で演出したなと思いましたね。
川津祐介のキャラクター、冒頭汽車に乗っているときの顔はまだ少年といった感じであどけなく、友人たちに対して温和で物静かで優しく、と思っていたら、有馬稲子に対し色仕掛けに出たり、どんどんと予想しなかった違った側面が出てきて、とにかく複雑で屈折しておりました。
最後、津川雅彦、石浜朗 、山本豊三、小坂一也の4人が戸ノ口原でやりあう場面、スクリーンの大部分が白い雲が浮かぶ空に占められ、バックに山が見えるという『カルメン故郷に帰る』みたいな大自然・大パノラマが繰広げられ、ああ、このこれ見よがしな一風変わった書き割りみたいなショットを観るだけでもこの作品を観た価値があったな、と。
木下監督の男色目線と書き割り目線が気になる惜春鳥』でした。
『黒の報告書』『黒の試走車』
2008 / 04 / 23 ( Wed )
新文芸坐の「日本推理サスペンス映画大全」で、増村保造監督作品を2本鑑賞。
『黒の報告書』。
16ミリでの上映。これしか上映用プリントがないとのこと。
レベルの高い法廷ものなのですが、何せ後味が悪い。
主人公の検事・宇津井健が法廷で対決する強盗殺人事件の被告・神山繁が不敵で不気味。
神山繁ファンのワタシにとっては、神山繁がつわものでふてぶてしいのは嬉しいのですが、それにしても後味が悪い…。
次から次と事件の処理に追われる検事の立場を丁寧に描いているなと思いました。
増村の作品で、善良な模範的な人物が主人公の作品って少ないんじゃないかと思います。宇津井健が善良な熱血検事を演じておりました。
もう一本、『黒の試走車』。
5年ぶりぐらいに観たけど、やっぱり面白いなぁ、と。
音楽(池野成)もすごく合っていて感心いたしました。
会社のためにあそこまでするというのは、今となってはとても斬新。
『才女気質』『花弁のしずく』『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』『赤線最後の日 昭和33年3月31日』『ひと夏の秘密』
2008 / 04 / 20 ( Sun )
ラピュタで日活作品を5本鑑賞。
中平康監督の『才女気質』(さいじょかたぎ)を鑑賞。
本日も中原早苗さん、ご子息と鑑賞に来られてました。
傑作。
いかにも黛敏郎な音楽でスタート。
イノダコーヒで大坂志郎が頼んだのはグァテマラ。
京都の路地を歩き続ける轟夕起子。
長門裕之と吉行和子の若夫婦が喧嘩する頭上で電灯が大揺れ。
葉山良二が中原早苗との結婚を伝えるために轟夕起子宅を訪問したときは俯瞰ショット。
若い吉行和子と中原早苗がとてもキュート。
気持ちいいラスト。
観ていて本当に楽しかった。
2本目、田中登監督の『花弁のしずく』を鑑賞。
昨年11月、
グリソム・ギャングでのニュープリント上映会で中川梨絵さんと観たとき以来の再見。
これも『才女気質』と同じく山崎善弘のカメラ。
『花弁のしずく』が一般の劇場でこうやって上映されるは感無量であります。
3本目、曽根中生監督の『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』。
大和屋竺の脚本。
不思議な魅力がある作品でありました。
お国のために高性能ダッチワイフ製作に尽力する男たちの感動のプロジェクトXかと思ったら、全然違った。
ダッチワイフをつくる工場(こうば)など美術・小道具が凝っているんだなぁ。
自宅に戻ってからの益富信孝の怪演に参りました。
ダッチワイフ工場の織田俊彦も怪しかった。
ラストは衝撃的。こんな終らせ方があるんだ!あれは原宿ですよね。
4本目、白鳥信一監督の『赤線最後の日 昭和33年3月31日』。
これ、観たことありました。いつ、どこで観たのかは思い出せないけど。
歌謡映画でありました。
中島葵がいいんだなぁ。
この作品の風間杜夫も素直でよかった。
5本目、最後は武田一成監督の『ひと夏の秘密』。
武田一成監督はいま最も気になっている監督の一人。
脚本は田中陽造。
あまりに濃密。ロマンポルノの域を超えた作品でありました。
呪われた海辺の神話的奇譚。
屠殺場うんぬんの危険なにおいも。
武田一成監督は本当に描写が丹念なんだなぁ。
新宿を舞台にした『盛り場流し唄 新宿の女』のしっとりした演出にも感心しっぱなしだったけど、夏の海を舞台にしてもすごい。
これから武田一成監督作品を追いかけていくつもりです。
劇中出てくる東京の喫茶店「熱帯魚」が、熱帯魚に囲まれて水中でコーヒーを飲むような内装になっていて気になりました。
連続で5本観たので疲れました。
『関東緋桜一家』
2008 / 04 / 14 ( Mon )
シネマヴェーラのマキノ雅広特集で、『関東緋桜一家』を鑑賞。
見せ場のはずの立ち回り、カメラがブレブレで何が映っているのかわからないし、やっとカメラが落ち着いたと思ったら今度は真っ暗で何が行われているかよくわからない。ありゃりゃ。
小沼勝監督トークショー。『紅の翼』『昼下りの情事 古都曼陀羅』『犯す!』
2008 / 04 / 13 ( Sun )
本日はラピュタで3本鑑賞。
まずモーニングで中平康監督の『紅の翼』。
ワタクシ、石原裕次郎には興味がありません。
『紅の翼』、結構痛い映画だなぁ。
特に音楽の付け方が酷い。佐藤勝、馬渡誠一の音楽そのものが酷いのではなく、映像に音楽を合わせるセンスの問題。
例えば、西村晃が中原早苗の父親に捜索が甘い!と責められ、西村晃が「みんなジリジリと夜が明けるのを待っているんです!」と言った後に、捜索の飛行機や船が映る場面。それから、裕次郎の妹役の芦川いづみが「兄さんは正義感が強い人なんです」といったようなことを皆の前で演説する場面。
音楽の付け方があまりに酷いんで耳を覆いたくなりました。
あ、芦川いづみのAラインの衣装はとても良かったですね。
そしてロマンポルノ特集。
今日は小沼勝監督がご来場です。
上映作品は『昼下りの情事 古都曼陀羅』。
この作品久しぶりに観ました。以前観たときよりも面白く感じました。
山科ゆりの透けるような白い肌に血のように真っ赤な口紅とマニュキアというのが、とにかく印象的でありました。
上映後、小沼勝監督のトークショー。聞き手は高崎俊夫さん。
まず監督から観客にご挨拶。
『昼下りの情事 古都曼陀羅』は今日35年ぶりに観たけれども、宮下順子のワキ毛、分量といい柔らかさといい素晴しかった。当時、宮下順子、白川和子といったピンク映画出身の女優はワキ毛を生やしている人が多かった。
が、ワキ毛はDVDでテレビ・モニターで見ても、ちゃんと映らない。
自分は神代辰巳監督の『四畳半襖の裏張り』が好きで、ジェネオンからDVDが出たとき社員価格で買ったのだが、DVDからは、姫田真佐久という大カメラマンが映した素晴しいものが殆ど伝わらない。
今日、ラピュタという劇場に観に来てくださった皆さん、どうもありがとう。本当に嬉しい。
以上のように、小沼監督、観客に挨拶されてました。

『昼下りの情事 古都曼陀羅』について、セットを借りて、松井旅館という旅館を借りて撮影した。
演出料は当時5~6万円。ただただ女性をきれいに撮ればいいと思った。
と、ここで監督、思い出したように、自分はテレビに対するコンプレックスがある。神代監督、加藤彰監督はロマンポルノがなくてもそのまま監督になれただろうが、自分はそうではない、と。
『昼下りの情事 古都曼陀羅』の撮影時に借りた松井旅館はとても広い旅館で、初めて監督として大切にされた気がした。
高崎さんが、石仏など京都の名所での濡れ場の撮影について質問されると、監督、撮影許可は出ないけれど、見学許可は下りた。で、観光客が少ない時間帯に人止めをして、俳優には前張りさせて、いつでも出られるように裸の上にコートを羽織らせて、いつでも出られるようにして、撮影した。
あれはヤリまくって、おさらばする場面で、そんなに凝るところでもないから、と。
前田米造カメラマンは小沼監督と同世代で好きなように撮ってもらった。

この作品での風間杜夫について、とても平凡だ。平凡を演じている、と。平凡を演じることはとても難しい。殺し演技などは簡単だけれども。
石段でケンカをするシーンがあったが、そこに学生時代の大森一樹が出ていた。松井旅館に大森一樹がいたので、何でもいいから出演させた。ああいう曖昧なケンカは難しい。旅館でリハーサルをして撮った。
石仏寺について。もともと台本に石仏寺でと設定されていて、ロケ地を探したがなかなか見つからなく、やっと見つかった。
ロマンポルノの撮影だというと許可が出ないので、ロマンポルノじゃないと偽って住職に一升瓶を持っていてお願いした。が、住職が冥土の土産に撮影を見たいと言い出しやってきたので、あわてて皆でウソの撮影をした。住職が見学しているときは、照明が監督役をした。
山科ゆりについて。
女優には宮下順子や白川和子のように、気持ちが表に出やすいタイプもいるが、山科ゆりは何を考えているのかわからないタイプだ。
ピンポンのシーンは、シナリオにはなかった。山科ゆりだから、ああいうシーンが合った。
中島丈博は藤田敏八がシナリオを変えたとき、食堂に「シナリオを改悪した」と張り紙するほどのファイターだった。それに対して当時小沼監督はペーペーだった。
キスしたことが無く、いびつであった女性・山科ゆりが、平凡な風間に惚れ(ここでまた監督、平凡な演技は難しいと風間杜夫を評価)、逆戻りしていったということだ、と。
山科ゆりがきれいに映ってますね、訊かれると、カメラマンと照明がよければ女性はきれいに撮れるのだ、と。
劇中の雨は本当に降ったものだそう。
責め絵はもともと台本にあった。縛りがヌルいという指摘を受けるかなとも思ったが、そういう映画じゃないから、と。
当時ににっかつについて、台本の監督の名前の部分が切り取られているものがまわってきたけど、それは他の監督が断ったものだと加藤彰監督が教えてくれた。
自分は何でも撮らせてくれれば嬉しいという気持ちだった。
衣装については、裸だからこそ、衣装合わせが大切なのだ、と。

そして質疑応答。
最初の女性の方が、今日初めてロマンポルノを観たとかで、自分の感想をずーっと話していたけど内容は聞こえず。
次に男性の方が、『白い娼婦 花芯のたかまり』について、ロケ地が自分の家の近所のように見えたけれども、どこだったのか具体的に教えてください、○○のシーンのロケ地はどこですか?と質問。
監督、そのシーンのロケ地は覚えてない、と。
微妙な感じになったので、普通の質問をしなきゃという義務感にかられ、ワタクシ、小沼監督の映画のルーツ、お好きな作品について質問いたしました。
高校生のとき、まわりは皆おたくで、500本観ている人とかいた。
二番館、三番館、名画座がたくさんあり、安く映画を観ることができた。
特にどういう作品が好きというのはなかったけれども、映画館にいるのが幸せだった。
あ、中学生のとき観た『巴里のアメリカ人』は好きだったねと。
中学のときは小樽にいて、街に映画館が25~26軒あった。友達のおばあさんがやっていた劇場で『巴里のアメリカ人』を観た、と。
高崎さんが、マックス・オフュルスの『歴史は女で作られる』がお好きだとおっしゃってましたよね、と話を向けられると、『歴史は女で作られる』はお好きだと。
高2の時、親友と『怪僧ラスプーチン』を女性の裸につられて観に行った。
親友は『歴史は女で作られる』よりも『怪僧ラスプーチン』の方が上だと言ったので、絶交するまでの喧嘩になった。『ラスプーチン』の方が好きだというならそれは勝手だが、何故上下を付ける、客は何を楽しみにしているか人それぞれなんだからと大喧嘩し絶交に至った、と。
以前、好きなフランス映画について1番『フランチ・カンカン』、2番『歴史は女で作られる』、3番『血とバラ』(ロジェ・ヴァディム)と言ったら、フランス人には1番と2番は解るが3番は解らないと言われた、と。(青文字部分、imaponさんからの情報です。ありがとうございます。)
ここでトークショー終了。
場内拍手。
ワタクシ、『色情旅行 香港慕情』のDVDジャケットにサインしていただきました。
本日3本目、長谷部安春監督の『犯す!』 を鑑賞。
これは感心したなぁ。
ヒロイン・八城夏子が蟹江敬三にエレベーターで犯されて、呆然とマンションの自室に戻り、風呂場で洗濯をし、シャワーを浴びるまでの丁寧な描写が素晴しくて、観ていて息を呑みました。
全体的に丹念で唸りっぱなし。
素晴しかったです。
『彼女について私が知っている二、三の事柄』『はなればなれに』『左ききの狙撃者 東京湾』『野獣狩り』
2008 / 04 / 12 ( Sat )
朝、駅のプラットホームで電車を待っていたら、外国人男性が英語で「新宿までどのぐらいかかりますか?」と訊いてきたので、親切心から10分ぐらいと答えたところ、その男性(インドからきたばかりと言ってた)、新宿に着くまでずーっと口説いてきて、「外国人と日本人の男性、付き合ってみて、どちらが良かった?」とまで訊いてきた。
外国人男性と付き合ったことないから、わかんないよ!と答えました。
「これからどこに行くの?」と訊いてきたので、「今日は彼氏と映画を観に行きます」と答えましたよ(当然ウソ)。
で、たどり着いたのは早稲田松竹。ゴダール2本立て。
まず『彼女について私が知っている二、三の事柄』。
最近、団地映画が続いております。これはジャン=リュック・ゴダール版『団地妻 昼下りの情事』。
結構面白かった。
売春宿など団地の壁に航空会社のポスターがいっぱい貼ってあって、JALの異国情緒ただようデザインのポスター(上村松園の絵だったり)が印象的でありました。あと、パンナムとTWAのバッグを頭に被ったり。
主人公の主婦の息子が読む作文が最高。フランス人は子供でも大人だ。
次に『はなればなれに』。
ミシェル・ルグランの曲が流れると激しく胸騒ぎしてしまいます。
下北沢に移動。
自然食レストランでカレーを食べ、気流舎でコーヒーを飲み、シネマアートンへ。
まず、野村芳太郎監督の『左ききの狙撃者 東京湾』を鑑賞。
昔の東京がいっぱい映っているということで、ずっと観たかった作品。
タイトルは「東京湾」とだけ出てました。
冒頭の空撮で日比谷、銀座、築地が映り、高島屋近辺、浅草松屋の屋上、立石の下町の飲み屋街などで色々な場所でロケしておりました。
62年の作品ですから、立派でキレイになる前の東京です。
最後、お化け煙突をバックに荒川のボート小屋が映したショットがいいなと思いました。
突っ込みどころもありましたが、「その男の職業、刑事」という特集にふさわしいストーリーでありました。
全体的に『砂の器』を彷彿させらる作品でした。
そして須川栄三監督の『野獣狩り』。
去年東京映画祭で観て、大感動し、その日から藤岡弘の虜になりました。
あまりに傑作だったので再見。
場内満員。すごい熱気の中、セクシー・ダイナマイト藤岡弘を堪能いたしました。
藤岡弘、無意識になのかフサフサしたモミアゲ(右側)を始終触っていて、イヤ~ン、セクシー。
この作品、去年劇場で観た後も、録画物でも見ましたので、今日が3度目の鑑賞で次にどういうシーンがくるのかわかっているにもかかわらず、観ていて血圧が上がりました。
特に、警備員の原口が藤岡弘にバリケードを蹴って、日比谷でタクシーに乗り、藤岡弘から逃げようとする驚異のロング・ショット!奇跡!
俳優もスタッフもとにかく凄い。
以前の日記に作品の感想を書きましたので、今回は割愛いたしますが、再度、藤岡弘によるこの作品についての解説を載せておきます。
http://forest.kinokuniya.co.jp/CngSpe/269東宝の最高のスタッフが結集し、伴淳三郎さんと共演させていただき、一番熱くて一番燃えた、思い出の主演作です。木村大作さんという名キャメラマンのデビュー作でもあります。私が演じているのは型破りな若い熱血刑事。タクシーで逃亡する犯人の追跡場面が圧巻です。日比谷の東宝の映画館のあたりから日比谷警察まで。タクシーに乗り込んだ逃走犯と並走する形で、手持ちキャメラでバイクの後ろに乗り、私の全力疾走をワンカットで撮り続けています。40階建てビルの屋上を飛び移るカット、実弾の散弾銃が打ち込まれるエレベーターに紙一重で飛び降りるカット、全部スタントなしです! ビルから人質を逆さ吊りにする場面をゲリラ的に撮ったら、本物のパトカーや消防車が駆け付けてきて、それをそのまま撮影してさあ(笑)。映画作りに対する真剣さが、今とは全然違うんだよねえ…。事件現場は東宝ツインタワー・ビル(今は亡き三信ビル隣)。
http://www.toho-re.co.jp/project/twin_tower.html現在はツイン部分に富士電機の広告塔が付いたので、ちょっと印象が変わっております。
69年竣工のビルなんですね。検索すると『野獣狩り』以外も東宝作品に登場しているようです。
劇中、ツインタワービルからはす向かいの日劇が何度も映っておりました。
映画が終って、八重子さんと藤岡弘の魅力についてヒーヒー言いながら帰りました。
ワタクシ、藤岡弘を観ただけで妊娠しそうです。
オトコもオンナもシネマアートンへ!
『野獣狩り』、大傑作です!
『接吻』
2008 / 04 / 11 ( Fri )
小池栄子の演技が素晴しいと評判の万田邦敏監督の『接吻』を観に行きました。
ユーロスペースへの道中、タリーズあたりを歩いていたら、ワタクシメと同じ街にお住まいで、数年前ワタシの私生活のゴタゴタに巻き込んでひどく迷惑をかけてしまった大石ご夫妻に遭遇。
大石ご夫妻も『接吻』を観に行かれるということで、数年ぶりに色々お話をさせていただきビックリ。
何と奥様の大石三知子さんが脚本を書かれた『東南角部屋二階の女』が今度公開される、と。
その映画知ってる~。西島秀俊や香川京子が出演していてエキストラ募集していた映画だー。
そういえば数年前、三知子さん、よくシナリオの本を読まれていたなぁ、でも普通にお勤めされていたのにどういう経緯で?と、いきさつを伺うと、東京藝大の大学院映像研究科の第一期生になられ既に修了されたのだと。
ワタクシ、失礼にも数年間ご無沙汰してしまっておりましたので、そんなご活躍をまったく存じ上げませんでした。
『東南角部屋二階の女』、絶対観に行きます。
で、『接吻』です。
冒頭、住宅街を豊川悦司が上手から下手に向かって歩いていくのが映るところから、もうアクセル全開。メータの針は激しく揺れ、切迫感で観ていて心臓が痛くなります。
で、この切迫感、映画の最後までコンスタントに続き、映画が進むにつれ、針は段々とレッドに振り切れる頻度が高くなり、終始緊張感で胸が痛かったです。
ザラザラした質感の映像がこの殺伐とした作品にとてもマッチしておりました。
前半、緑地でトヨエツの足元にきたサッカー・ボールを拾いにきた男の子をトヨエツがハンマーで襲おうとして、母親が抱きかかえ逃げ、そしてカメラがひいたとき、トヨエツの背後に大きなマンションがドーンと映るのですが、そのショットを観て、ワタクシ、もうヤラレターと思いました。
そして、小池栄子です。
彼女の目、虚ろだったり、ひんむいたりで、とにかく凄い。
凄い凄いとは聞いていたけれども、本当に凄い。
彼女はとても頭がいい人なんでしょうね。
あと、とてもいいなと思ったのが、ロケーション選びのセンス。
トヨエツが逮捕される背後にマンションがあるブランコがある緑地も素晴しいですし、小池栄子と仲村トオルが篠田三郎に会った後、車を降りて歩く田んぼも良いなーと思いました。
ロケーションの選択もいいのでしょうが、それを映すカメラがいいんでしょうね。
音楽も冒頭からアクセル全開。映像だけでもすごい緊迫感あるのに、さらにこれでもかと観客に畳み掛けてきます。
途中、挟み込まれるホラー演出に関しては(特に手が出てくるところ)、これは必要なのかな?と観ていて思いました。
そして、問題のラストです。
(以下、青文字部分、ネタバレあり)
もう小池栄子はトヨエツを殺すしかないのだろうなと、観ていてわかったので、拘置所の職員にケーキの箱のチェックをされているとき、ひょっとしてケーキの中に凶器が隠されているのでは?と想像いたしました。
で、小池栄子がハッピー・バースディを唄いながら、仲村トオルのバッグから包みを取り出して、いまや(小池栄子的には)普通の腑抜けに成り下がったトヨエツのそばに行ったとき、当然やるなやるなと思ったのですが、やった直後の展開が想定の範囲外でありました。
あんな風に、小池栄子に目を引ん剥かせ、ウォーッと仲村トオルに襲い掛かり、接吻して、ウォーッと連れていかれ、ジ・エンドで「接吻」と出るっていうのはどうなんだろう、と。
小池栄子に静かに殺させ、フっと終るという演出でも良かったのでは?と。
その疑問を解決したいから、もう一度観たいな。
ともあれ、とても面白かった。
『ヘアピン・サーカス』以降、最近ワタシが観た狂気映画はいい作品ばかりです。
帰り道、大石ご夫妻とお話しながら帰ったのですが、トヨエツの話になり、ワタクシ昔、TBSドラマ『愛していると言ってくれ』の撮影をしていたトヨエツを近くで観て、この世にこんな美しい男がいるのかと息をのんだ、と申し上げたのですが(ホント、これまでの人生で、実物を見た中で、女性も含めて一番美しかった人がトヨエツ)、そういえば、『愛していると言ってくれ』のトヨエツの役も、思い込みの激しい年下女性(常盤貴子)に追われる役だったなぁ、と。
トヨエツは、女をそういう風に狂わせる魅力が確かにあるわなぁ、と。『接吻』の逮捕されるときのあの笑顔も観ていてキターっと思いましたよ。
最優秀演技賞ものの小池栄子の狂気の熱演についての記述がちょっぴりになってしまいましたが、とにかく凄かった。
彼女の演技をもう一度観たいし、あの終らせ方について考えたいので再度観たい『接吻』でした。
絵沢萠子さんトークショー『濡れた唇』、『実録不良少女 姦』『戦国ロック 疾風の女たち』
2008 / 04 / 10 ( Thu )
萌え~!皆さん、お元気ですか?
ラピュタのロマンポルノ特集で、ワタシの女神・絵沢萠子さんがトークショーをされると知り、それが平日の木曜日だと知ったワタシは、迷いなく会社に有給休暇を申請いたしました。
ああ、絵沢さんが大阪からやって来られるなんて!ワタクシ、狂喜乱舞いたしました。
トークショーは神代辰巳監督の『濡れた唇』上映後です。
絵沢さんが入場される前、外から絵沢さんのあの張りのある声が聞こえてきて、ああ、絵沢さんだ!と感動し、中に入ってこられた絵沢萠子さん、入るなり場内端の席に座っていたワタシの顔を見て、「ココ?」と聞かれたので(ワタシの隣の席が空いていたので、ここに座るのか?という意味)、わぁ、目が合った!と興奮してしまいました。
一緒に白鳥あかねさんも来場されてました。
絵沢さんがご覧になる中、パチパチと拍手が鳴り『濡れた唇』スタート。
絵沢さん、『愛欲の罠』と同じような茶色のボブ・ヘアです。
登場人物が歌を口ずさんだり、ひょんなことから出会った男女複数名が放浪するところなど、後の『宵待草』に似ておりました。
同じ神代辰巳監督と姫田真佐久カメラマンの組み合わせの『黒薔薇昇天』を観たときも『宵待草』に似ていると思ったのですが。
製作年の順番は『濡れた唇』→『宵待草』→『黒薔薇昇天』。
この『濡れた唇』は、この後の神代作品のベースとなっているということでしょうか。
映画上映後、トークショーがスタート。
絵沢さん、とても鮮やかな青いお召し物を着られておりました。
最初に関西弁でゴメンなさいね、とおっしゃられてお話になる絵沢さん。聞き手は今回の特集の企画をされた高崎俊夫さん。

まず神代辰巳監督について。
神代監督は、俳優が演技について何も考えずに撮影にくると、怒る監督だったと。
『恋人たちは濡れた』の劇場の奥さん役について、猫を抱いている設定だったけれども、絵沢さんのアイディアで「猫売ります」の張り紙を張ることになったのだとか。
また、『恋人たち~』の撮影に入る前に、「風の音」だったか「雨の音」とかいう本を読んでおくように言われたのだが、『恋人たち~』の脚本は読んだら、読むように云われた本と全然違う内容で、要はその「風の音」(だか「雨の音」)という本に流れているフィーリングを感じ取ってほしい、ということだった、と。
絵沢さんが映画に出るきっかけは、姫田真佐久カメラマンが絵沢さんが出演していた舞台を観に来て、知り合いになり声がかかったのだと。
当時所属していた劇団の製作部に、絵沢さんが『濡れた唇』への出演を受けたことを伝えたところ、そんな作品に出たら、今後松竹や東宝などの作品に出られなくなると言われ出演を反対された、と。
で、製作部が劇団(俳優小劇場)のお偉の小沢昭一に確認したところ、逆に小沢昭一は製作部に「君たちは古いよ」と答えたのだそう。
絵沢さんは『濡れた唇』のホンを読んで、とても面白いと思い、是非とも出演したいと思われたのだそう。
『濡れた唇』の絵沢さんが演じた役は23・24歳の設定で、実際の絵沢さんはそれより歳がいっていたので、若く見えるようにカツラを被ったのだそう。
粟津號は、お寺の息子でお経が読めたのだそう。絵沢さんとは仲が良かったと。残念ながら亡くなってしまった…、と。

そして田中登監督について。
考えるタイプの神代辰巳に対し、田中登は若く役者より早く走るような監督だった。
田中登が東映京都に呼ばれて撮ったとき、東映は伝統あるところで、田中登に冷たく気の毒であったと。
ちょっとでも田中登が遅れて行くと、東映はみながシラーとして、田中登はショボンとしていた、と。
高倉健(『神戸国際ギャング』撮影時のこと)に挨拶したら、濡れ場は新聞を読みながらでいいか?と云われたと(ワタクシ、この作品を未見なのでどういう場面なのかわかりません)。
高倉健は大変優しい人で、いつも他の人の撮影も見ていた。
絵沢さんが撮影中、俳優に殴られるシーンで、殴られたのがまともに当たってしまい、耳が聞こえなくなってしまった。
それでも誰も気付かずそのまま撮影していたのだが、高倉健だけはちゃんと見ていてその状況に気付き、絵沢さんに、耳鼻科に行くように言ってくれた。
耳鼻科で診てもらったら、鼓膜にヒビが入っていたのだと。
健さんは、本当に撮影全体の様子をよく見ている人だった、と。

神代監督についての思い出について、『赤線玉の井 ぬけられます』の撮影時、この作品ではただのおかみさん役だったので、どういう演技をしようと考え、チリカミを揃えたりしたらいいのではと思い、神代監督に伝えたところ、いいねぇと取り入れられた。
神代監督は、俳優の考えを積極的に取り入れてくれる監督で、逆に何も考えずにいくと、とても怒ったと。
また神代監督は演技以外では怒らない人で、お酒は強くなかった。
役柄について、こういう人物だ、という説明をされることはなかった、と。
作品中に、セックス・シーンを定期的に入れなければいけないのに頭を悩ませていたと。
神代監督が警察に呼ばれた際(当時、日活ロマンポルノ裁判があった時期だった)、担当刑事が映画好きで、部屋の中で神代監督と刑事は(取り調べもせず)ずっと何も話さず座っていたことがあったのだ、と。
そして質疑応答。
ワタクシ、神代監督と田中登監督の違いについて伺いたいと思っていたのですが、既にお話になられたので、絵沢さんに印象に残っている作品、特にお好きな作品は何か質問いたしました。
絵沢さん、最初に出演した『濡れた唇』が印象に残っているけれども、特に好きな作品というのはないです、自分は助演が多いから、と。
もともと、映画がとても好きで、でも映画界への入り方がわからなかったの、と。
大阪に帰ったとき、やっていたお店に「ポルノに出て」と電話がかかってきたり、ロマンポルノに出てギャラが上がったか?ときかれたことがあったとお話されてました。

次に、浜野蟹さんが、『濡れた唇』撮影時に足を怪我をされたそうですね、と質問されたところ、絵沢さん、思い出したという感じで、「そうなの!よく知ってらっしゃるわね」と。
撮影時、床に四角い穴が開いていて、そこにはまり足を怪我をしたのだけれども、それを皆に言うと周りに気を遣わせることになるし、撮影が遅れてしまうので、黙っていたのだ、と。
自分がケガしたことを知られるのは恥ずかしかったから、と。
外国人とのセックスシーンは足を怪我した状態だったそうです。
それから『濡れた唇』の劇中で唄われていたのは、有名な春歌なのだそう。

ここで、トークショー終了。場内拍手。
終了後、ワタクシ、ただの観客にもかかわらず、絵沢さん、白鳥さん、高崎さん、劇場スタッフの皆さんと一緒に記念写真に納まってしまいました(あの、名物オジイサンも一緒に!)。ホント、恐縮です。
そして、『愛欲の罠』のDVDジャケットにサインをお願いしたところ、絵沢さん、ジャケットをご覧になると驚いたように「あら、この作品、見られるの?このDVD買えるの?」
写真を指差し「あら、これワタシ~?」と。
『愛欲の罠』のフィルムが発見され、昨年東京では劇場公開されたこと、DVDも発売され簡単に手に入ることを申し上げました。
大和屋竺監督は大きな人で、監督のご夫人(スクリプターだったのだそう)と何度か仕事をされたとおっしゃられてました。
「あなた、この映画観たの?」と訊かれたので、劇場で観て、絵沢さんがとてもキュートだったと申し上げました。『愛欲の罠』のボブ・ヘアもカツラだったのか伺うと、カツラだったとのこと。
すると、絵沢さん、『濡れた唇』は色気がなくて男みたいだったわねぇー、と。
「絵沢萠子」という素敵な芸名の由来について伺ったところ、ロマンポルノに出演する際、姫田真佐久カメラマンと一緒に考えたのだと教えてくださりました。
姫田さんは「絵」という字が好きで娘さんみんなの名前に「絵」の字を付けた、「沢」は絵沢さんが使いたかった字、「萠子」は絵沢さんのお知り合いの方のお名前で、それで「絵沢萠子」になったのだそうです!
憧れの絵沢さんにお会い出来て、本当に感激です。
役柄のイメージから、豪快な方かなと想像していたのですが、実際の絵沢さんは全然違って、とても上品で繊細な感じで、かわいらしい話し方をされる方でした。
絵沢さんにお会いできた感激が冷めやらぬ中、『実録不良少女 姦』を観ました。
この作品、
カナザワ映画祭で観て面白いと思いましたが、やっぱり面白いなぁ。
これ、藤田敏八の作品の中で最も好きかも。
冒頭、主人公のお世辞にも美しいとは言えない野生的なフェイスのアップが映し出されて、ああ、凄いな、と。
ホント、実録っぽい。
この主演の日夏たより(「新人」とクレジットされてる)が、荒削りながら結構演技力があって、すごい迫力。彼女のワイルドなルックスも相まって、ドキュメンタリーや再現ビデオを観ている気分になります。
クリエイションなど、音楽が凄くカッコイイ。岸部一徳とのベッドシーンのブルースが特に最高。
内田裕也、赤いボーダーのシャツ着ていて、なんか楳図かずおみたい。
内田裕也のヒモっぷり、凄まじいキャット・ファイトもやっぱり最高。
ああ、面白かった。
最後に長谷部安春監督の『戦国ロック 疾風の女たち』。
うーん、よくわからなかった。映画に入りきれませんでした。
不覚にも次郎が荒戸源次郎だったとは気付きませんでした。
山科ゆりが白くて手足が長くてきれいだな、と。
尼さん役の花柳幻舟も意外にきれいだったな、と。
いやぁ、絵沢萌子さんとお話できて大感激です。
『愛欲の罠』DVDのサイン(黒地に銀色サインペンで書いていただきました♪)、家宝にいたします。
『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』
2008 / 04 / 09 ( Wed )
新宿テアトルで若松孝二監督の『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』を鑑賞。
ああ、もう前の席の男性の座高が高くて、3時間以上難儀したわぁ。
だから、指定席ってキライ。
『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』、登場人物たちが発する言葉がほとんど理解できない。日本語なのに。特に森恒夫と永田洋子の言葉が(もちろん一つ一つの単語の意味はわかるのですが)。
先日観た『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』に出てくる重信房子の話がまったく理解不能だったように。
そういう意味で、リアルでとてもよく出来ているな、と。
「自らを共産主義化させよ!」 だそうです。
永田洋子を演じた並木愛枝がとても良かった。
後ろの席の大学生らしき男の子二人が、「銭湯に行ったのか!!」と殺されたり、永田洋子が坂口弘に「共産主義化の観点から森さんといっしょになるべきだと思う」と別れを宣言するところとか、異様なセリフの数々にたまらずクックックッと笑っていて、ああ、彼らにとっては失笑の対象なんだなぁと思っていたのですが、、最後ワタシも、クッキーのつまみ食いについて、「あんたの食べたクッキーこそ反革命の象徴だ!」と叫んぶ場面で、不覚にも笑ってしまいました。
組織や活動が矮小化し狂気となっていく様をよく描いた脚本だと思いました。
ジム・オルークの音楽が場面場面にとてもよく合っておりました。音楽良かったです。
劇中に出てくる大学は私の母校でして、ワタクシ学生のとき、自分の大学で図書館の蔵書管理のバイトをしてたのですが、書庫に学生運動で破壊された大学構内の様子を記録した資料が保存されているのを見つけたんですよ。
思わず仕事の手をとめて、「ハハァー、こりゃ凄い。」と見入りましたね。
で、『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』の冒頭に出てくる映像を見て、ああ、これこれ!と思いましたよ。
ただ今、若松孝二の「俺は手を汚す」を読んでおりますが、本当に面白い。
映画より若松監督の話(自伝)の方がよっぽど映画的。
それからワタシが先日観てひどく気に入った『現代好色伝/テロルの季節』について、映画ファンのHさんより、あの団地は滝山団地(東京都東久留米市。西武新宿線沿線)だとの情報をいただきました。てっきり、京王線沿線かと思ってました。
謎が解けてスッキリしました。Hさん、ありがとうございます。
中原早苗さん来場『村八分』、『団地妻 昼下りの情事』『セックス・ハンター 濡れた標的』
2008 / 04 / 06 ( Sun )
今日は待ちに待ったラピュタのロマンポルノ特集初日。
モーニングから3本観ました。
モーニングは、 中原早苗特集。
朝、劇場ロビーで並んでいたら、チケットを持ったお歳を召したご婦人がやってこられて、劇場スタッフが対応しているのを眺めていたのですが、ご婦人はこの劇場に来られたのが今回始めてのようでありました。
で、そのご婦人が場内に入り席につかれて、後からやってきた身内らしき男性と話をされている内容から、一瞬「ひょっとして、あの方は中原早苗さん、ご本人か?」と頭によぎったのですが、深作欣二監督のご葬儀のときの中原早苗さんの姿と相当違って見えたので、いや、中原さんではないな、と打ち消しました。
が、映画上映前に、石井館長が「今日は中原早苗さんが来場されてます。」とアナウンスされ、そのご婦人=中原早苗さんが立ち上がってお辞儀されたので、ああ、中原さんだったのか!と驚きました。
作品は『村八分』。
場内補助席が全部出尽くすほどの満員状態。中原さんが来場されることはまったく告知されてなかったのに、なぜでしょう?レア作品だから?
作品はいかにも、近代映画協会的な作品でありました。
ラピュタの作品解説そのとおりの作品です。
映画が終わった後、場内拍手。中原さんは立ち上がって、観客にお辞儀されてましたが、涙を流されていてました。
中原早苗さんのデビュー作ということもあり、感極まったのでしょう。
中原さんが場内から出るとき、ラピュタによく来るお騒がせオジイサンが前をさえぎって厚かましく色紙を出したので、ハラハラしましたよ(この某爺の言動にはいつもハラハラさせられるのです)。
劇場から帰られる前も、中原さん、ロビーに顔を出されて、深々と「ありがとうございました」とお辞儀されてました。ロビーにいた我々はまた拍手。
まさか、中原早苗さんご本人が来場されるとは思わなかったなぁ。
そしてロマンポルノ特集。
西村昭五郎監督の『団地妻 昼下りの情事』。
ロマンポルノ第1作目の記念すべき作品。
最近、団地映画鑑賞が続いております。
白川和子、感じたときの顔が色っぽいですねぇ。
世の奥様方は、ああいうスケスケのネグリジェを着るものでしょうか?ワタシも結婚したら、あんなスケスケ着ないといけないのかな?
最後、二人が裸で車に乗っているのを観て、そういう結末になるだろうなと思ったとおりの結末でありました。
沢田幸弘監督の『セックス・ハンター 濡れた標的』。
伊佐山ひろ子が活躍する場面がなく残念。
想像していたよりずっと政治的な作品でありました。
これから毎週末、ラピュタでロマンポルノ観る予定。トークショーなど本当に楽しみです。
『彼女だけが知っている』『殺すまで追え 新宿25時』、バターがない
2008 / 04 / 05 ( Sat )
今日はシネマヴェーラのマキノ雅広特集にて鈴木則文監督と山根貞男によるトークショーが行われる日だったのですが、先日フィルムセンターでの『昭和残侠伝 血染の唐獅子』上映時に、一緒に鑑賞した則文監督から映画の前後にマキノ監督に関する話を伺ったので、今日はシネマヴェーラには行かず、シネマアートンに参上。
今日から始まった「その男の職業、刑事」なる特集。
高橋治監督作品『彼女だけが知っている』(60年・松竹)。
警視庁の刑事である笠智衆や渡辺文雄が、連続強姦殺人犯を追っていたが、笠智衆の娘である小山明子が、その強姦殺人犯に襲われ一命はとりとめたものの暴行され、身も心も深く傷を負ってしまう。
自分の娘が被害者になろうとも冷静に捜査に全力をつくす笠智衆の刑事魂、刑事の妻でありかつ被害者の母親である水戸光子の葛藤、小山明子の心境、そして小山明子と恋人・渡辺文雄の関係の行方を描いたお話。
と真面目に筋を書きましたが、脚本は全体的にそりゃないだろ、という突っ込みどころが散見されるものでした。
小山明子がただならぬ美しさです。気高い近寄りがたい美しさというのでしょうか。
笠智衆はいつものあの話し方で、どう見ても刑事には見えません。
純潔が尊ばれた時代だからこそ説得力をもつストーリーです。
次に長谷和夫監督『殺すまで追え 新宿25時』(69年・松竹)。
天知茂ファンが劇場に多数来られてました。
新宿署の型破りな刑事・天知茂が、同僚の自殺を不審に思い、上司の制止も無視し、真相を求めて突き進んでいくお話。
天知茂は激しく眉間にしわを寄せつつ調べていくと、途中次々と関係者が殺されます。
そして天知茂は同僚たちの説得もきかず警察を辞めてしまいます。
で、天知茂は何の法的な力もないのに、強引に暴力もつかいつつ調べを進めていきます(この時点で、「その男の職業、刑事」じゃないです)。
川津祐介演じる殺し屋に命を狙われつつ、真相を追い求める天知さん、さぁどうなる?
えーと、ですねぇ、この作品、小林悟監督の『黒幕』と同じように、天知茂の魅力をアピールするための映画です。
だから、ここがヘン、あそこがヘンと真面目に指摘するのはヤボ。ご都合主義もご愛嬌でしょう。
天知茂ファンには堪らない映画だと思われます。
ワタシは川津祐介ファンなのですが、この作品の川津祐介、劇場チラシには2番目にクレジットされているのになかなか登場しません。
で、スナイパーとしてやっと出てきた川津祐介、『仁義なき戦い 代理戦争』の梅宮辰夫演じる岩井信一ばりに眉毛がまったくなく、かつ目の下は黒くメーキャップされ、すごく気味悪いです。
そんな個性的なルックスで、サングラスかけ、ギャングみたいなスーツ着て、新宿の街中で天知茂を狙ったら、当然目立ちます。が、そんなこと指摘するのもヤボですね。
音楽は、鏑木創。
画はあまり新しくないのに、それにかかる音楽がアヴァンギャルドすぎる感じがいたしました。ドンドンドンと打楽器が強調された曲が多かったです(『組織暴力 流血の抗争』もそうでした)。
青江三奈がクラブ歌手役で出演。劇中1曲唄っていて、演技もしておりました。
下北沢から新宿に移動。
近々同僚のお宅に遊びに行くとき、パウンド・ケーキを焼いて持っていく約束をしたのですが、最近、全国的にバターが品薄で、近所のどこのスーパーに行ってもバターは売ってません。
京王百貨店の中の富沢商店に行っても、バターは1個もありませんでした。
ガーン!バターは手に入らないのか!と危惧しつつ、三越地下のクオカに行ったところ、最後の1個のバターがありました。
いつもカルピス・バターを買っているのですが、そんなこと言っている場合じゃありません。
カルピスも四つ葉も売り切れで、最後の1個の明治のバターを何とか買うことができました。
そのバターも以前に比べて結構値上がりしているようです。
お金を払い、貴重なバター確保し、お店に取り置きしてもらい、モッズヘアへ。
明日からのラピュタのロマンポルノ特集のために(?)髪を整えました。
美容室が終ったあと、伊勢丹で化粧品を買い、三越のクオカに戻り、貴重なバターをピックアップ。製菓用の高級小麦粉も買いました。
バター売り場に(しかしバターは既にない)、バターが品薄な理由について、生乳の生産調整の結果云々との説明の張り紙がありました。
しかしまぁ、バター一つ買うのに苦労する国って、どうよ?
ワタシはバター無くても死なないけど、お菓子屋さんやパン屋さんにとっては死活問題でしょう。小麦の値上げどころのピンチじゃないはず。
しばらくバターをつかうワッフルなどつくれませんね。
農水省、何とかしてください。
あ、それからHMVにDVD4枚注文いたしました。
注文したのは『昼顔』、『でんきくらげ』、『しびれくらげ』、『現代好色伝: テロルの季節』です。
『昼顔』は、あのドヌーヴのファッションを家でも再確認したいと思ったから。
『でんきくらげ』は、最後の方の渥美マリと川津祐介のベッドシーンがエッチっぽかったから。
『しびれくらげ』は、自分の理想の川津祐介がいるから。
『現代好色伝: テロルの季節』はゴロニャンが観たいから。
今日ジュンク堂で「僕たちの大好きな団地―あのころ、団地はピカピカに新しかった! 」という本を立ち読みしたのですが、団地映画の紹介のページがあって、ひょっとしたら若松孝二作品も紹介されてるかな?と期待したのですが、読んでみたら全然若松のことは出ておりませんでした。
『現代好色伝: テロルの季節』なんて、団地映画の傑作なのになぁ。
まぁ、明日も団地映画観に行きますけどね。
若松孝二について追記ですが、海を撮ったショットがどれも素晴しかったなぁ(シネマヴェーラの特集でも海が出てくる作品が多かった)。
団地と海を撮ったら、若松監督、最高です。
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
2008 / 04 / 02 ( Wed )
水曜日、レディースデイということで立川まで遠征し、ウォン・カーウァイ(王家衛)監督の新作『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を鑑賞。
オェーッ!つまんねー。くらだらね~。
こういう小手先の技巧だけ見せて、中身の無い映画、大嫌い。
全編、『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』で観たことあるショットや台詞が出てきて、この作品は過去の作品の焼き直し in USAなのかと。
もう、ウォン・カーウァイのコマ送りカメラワークにも飽きたよ。
顔やモノのアップばかり続くのも、どうかと思う。
才能あるんだから(あったんだから)、もうそろそろ新しいもの見せてよ。
カンヌ映画祭の審査員長している場合じゃないって。
ジュード・ロウの仕草の気持ち悪さったら。こんなカマトトぶった表情させられて、観ていてかわいそーにさえ思ったよ。若い頃の金城武やトニー・レオンやレスリー・チャンにやらせて輝いたことを、35歳の俳優にさせるなって。
ウォン・カーウァイ、次もこの調子ならもう完全に過去の人。もう一作だけ次も観るよ。
『花様年華』で大々的につかっていた「夢二のテーマ」、ハモニカによる大胆なアレンジで流れておりました。