ラピュタの佐久間良子特集、
『孤独の賭け』がニュープリントだと知り、
最終日に観に行く。場内満員。
必見!
フィルム・ノワール的な空気が漂う素晴らしい作品だった。
スクリーンに映し出される全てのショットに少しの隙も無く、
最初から最後まで緊張感に満ちた完璧な画が続く。
佐久間良子がクリスマスの夜の銀座をさまようシーンから始まるのだが、
光を反射させるフィルターを付けて撮影されており、
街がこの上なく美しく撮れている。
と言っても、ただ美しい夜景というのではなく、
これから何か起こりそうな孤独な不穏なムードを漂わせていて、
例えると、『死刑台のエレベーター』だ。
そう、この作品での佐久間良子はジャンヌ・モローだ。
ジャズも非常に旨く使われていた。
ストーリーに犯罪が出てくるわけではなく、正確な意味ではフィルム・ノワール作品ではないのだが、
作品の持つ空気がフィルム・ノワール的なのだ。
物語が始まって間もないころ、天知茂が車で佐久間良子を家まで送り、
カメラは彼女が女友達と住む下宿の建物を写しだすのだが、
そのシーンで、ワタシはもうヤラれたぁーと思った。
大人の男の苦渋を表現した天知茂の演技も素晴らしかった。
最後のホテルのエントランスのシーンの見事さったら。
『孤独の賭け』は女性が主人公の、大人の男女の愛情と女の野心を描いたハードボイルド傑作、
白黒映画の極致と言えましょう。
この作品、個人的には、昔の西武ピサが見られて興味深かったのと、
兜町でのロケのシーンが結構あったのだが、
ワタシは3年ほど前、兜町に残っていた大正から昭和に建てられた証券会社の古い建物を撮影して歩いたことがあったので、見ていて面白かった。
『孤独の賭け』の中で「丸岡証券」だかそんな名前で出てきた証券会社の古い建物は、
大正末期に建てられた山二証券に見えた。
(もっとこの映画が撮影された1965年当時はこのような証券会社の建物が
たくさん残って使われていたのだろうから、違う建物なのかもしれない)
佐久間良子が日証館という1928年に建設された素晴らしい建物のエントランスにいるシーンもあり、そんなところも嬉しかった。
3年前当時、日証館以外の金万証券、成瀬証券、山二証券の建物は
現存はしていたのだが、そこでまだ営業しているのかどうかは確認できなかった。
その頃それらの証券会社自体に合併、本社移転があり、
今でもそれらの建物がまだ残っているのかどうかが気になるところだ。
ちなみにワタシがデジカメで撮影した写真は、PCに保存していたのだが、
そのPCが完全に壊れててしまったので、無くなってしまった…。
ハルクのBICカメラに移動し、今日発売のドコモの携帯電話SO903iを買う。
いちねん割引を付けて、本体32,500円也。
ジュンク堂で、『和モノ事典―Hotwax presents (1970’s人名編) 』を買う。
カラー満載のパラっと見るだけでも楽しい本。
これで70年代の勉強をしよう。
夜、銀座シネスイッチにて
『百年恋歌』を観る。
これまで、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』では古い立派な絨毯の模様を見ているような気分になり、
『ミレニアム・マンボ』では、途中で苦痛のあまりに叫びだしそうになり、
『珈琲時光』では苦笑いしてしまった(大好きな神保町や御茶ノ水界隈が出てくるのは嬉しかったけど)ワタシ。
これはもう、侯孝賢の波長がワタシに合わないんだとずっと思っていたが、
(エドワード・ヤンはしっくりくるんだけどね)
映画評を読み、気になったので、勇気を奮って、観に行ってみた。
これは良かった!
今まさに頭髪の危機に直面している張震(チャン・チェン)とますますビッチ感が増したスー・チー主演。
第1話、ビリヤード場での仕事を終えた後に、
二人が屋台みたいな所で食事をするシーンと、
第3話、チャン・チェンの部屋の写真がたくさん貼ってある廊下で、
蛍光灯の光が足元を妖しく照らす中での、二人のラブシーンの美しさに鳥肌が立つ。
いやぁ、観に行って良かった。
もう1作、侯孝賢に付き合いたくなった。
嬉しくなり、帰りに久しぶりにパンフレットを買って帰った。
600円也。
原題『最好的時光』。何ていいタイトル。
素晴らしい画にゾクゾクする作品2本を観た一日。
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