いま、昨晩AMAZONから届いたCDを聴いています。
「サラ・ヴォーン・ウィズ・ミシェル・ルグラン」です。
タイトルの通り、ミシェル・ルグランが率いる総勢100名の大編成オーケストラに合わせて、サラ・ヴォーンが唄うアルバム。
1972年の録音。
以前、iTunesでジャズのラジオを聴いていたら、
このアルバムの中の曲が流れて、ガツンときたワタシは即CDを買おうとしたのですが、CDは廃盤になっていて入手できなかったのでした。
それが今回リイシューされたのです。
祝。
このCDの素晴しさときたら、もう言葉になりません。
円熟期のサラの声に鳥肌がたち、ルグランのピアノにゾクゾクし、
巧みなオーケストレーションに感嘆し、と。
収録曲の12曲のほとんどが1970年前後に製作された映画音楽からの楽曲。
いずれも優雅なオーケストラを従え歌うサラの声を聴いていると、涙が出そうになります。
何よりもツボにはまったのが、このアルバムに漂う
70年代初めの独特の雰囲気。
ベトナム戦争で疲弊し社会の衰退と混乱の影響で、文化にも倦怠感がただよった退廃的な時代。
子供の頃は、親が所蔵していた映画雑誌「スクリーン」とかを読んで、自分が生まれる前のこの時代の映画に対し漠然と怖さを感じたのですが、今ではそんな70年代の空気に惹かれます。
このアルバムにもそういう空気があり、かつジャズが完全に曲がり角にありながら、かつてあったショウ・ビズの栄光の残り火も垣間見える。素晴しい。
このアルバムを聴いていると、この時代につくられた映画が目に浮かびます。
ルグランのオーケストレーションが、優雅でかつ安っぽい、いかにも70年代ハリウッド風でイイ(矛盾しているようですが両立する。バート・バカラック風??)。
特に1曲目「おもいでの夏」、4曲目「ハンズ・オブ・タイム」が見事な70年代ハリウッド調。
いやいや、どれもいかにも70年代ですが。
ワタシは聴きながら、中学生の時深夜テレビで見た『ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実』(1972年製作。ダイアナ・ロス主演)という映画を思い出したのですが、これも音楽はミシェル・ルグランでした。
10年前にこのアルバムを聴いたなら、サラの素晴しい歌声はともかく、
ルグランの編曲には恥ずかしさを感じたと思うけど、録音から30年以上経った今聴くと、素晴しく聴ける。
CDの包装のビニールに
「ミシェル・ルグラン来日公演決定!2007年10月29日~11月3日」と書かれたシールが貼ってありました。
ルグランも今年75歳。これは行かねば。
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