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『タクシードライバー』の12年前に『ど根性物語 銭の踊り』があった。

今日は、新文芸坐の勝新太郎特集、『ど根性物語 銭の踊り』を鑑賞。
先日この作品のあまりにカッコいい予告編を観て、観たくてたまらなくなり、観に行った次第です。
市川崑の作品を観るのは4年ぶりぐらい。

徹底した不親切さがもの凄く斬新な作品。
最後の一番盛り上がるところであるはずのナイト・シーンなんて、露出アンダー過ぎで、役者の顔の表情がまったく見えず、ずっと黒い影が動いているだけ。
それに、観客が観たい部分を全然カメラが映してなくて、最後の方で勝新がロイ・ジェームスを撃つシーンなんて、撃っている勝新も、撃たれるロイ・ジェームスの身体も映さず、ただロイ・ジェームスの顔のアップだけを撮っていて、表情の変化と音から、「あ、撃たれたんだな」と観客は推測するのみ。
編集も不親切で、観客が理解しやすいように全然つないでないんだけれども、勢いと説得力でグイグイひきつけられるのです。
銀座の雑踏の中、勝新が追っ手から逃げるシーンでも、カメラも編集も凄くわかりにくい。
けどスゴい。
雑踏を撮る時もカメラは人込みの頭の部分のみばかり撮っていて、カメラもブレブレ。
そのブレ感も『仁義なき戦い』のとも違う、とても見づらいブレで、かつスタイリッシュ。
ところで、勝新がヘルメットをかぶってカモフラージュするシーン、銀座8丁目のコーヒーの名店「ランブル」の真横で撮っているので、「珈琲だけの店 カフェ・ド・ランブル」の看板と今も変わらない店構えをスクリーンで観ることができ、おお、ランブル今と同じだーと、コーヒー好きなら反応すること請け合い。

映画のタイトルで、動きが何度もポーズになるところもカッコいいし、
始まってすぐの街角での広角でのショットと、迫力あるカーチェイスもすごいし、
全編流れる松本英彦クワルテットの演奏もとてもイイのです。
ワタシ、音楽がクールなジャズだと、どんな作品でもよく見えてしまうクセがあり、石井輝男の『セクシー地帯』とか中島貞夫の『893愚連隊』とかは最初の音楽が流れただけでやられてしまうクチなのですが、この『銭の踊り』でもそんな感じになりました。
そして、何といっても途中の、勝新が部屋の中で銃をガンベルトから出して撃つ練習をするシーンに驚きました。
『タクシードライバー』の「You talking to me?」と同じです。
デニーロのの12年前に勝新がこれを演じていたとは。
スコセッシは『銭の踊り』を観て、正義感が強い、暴走するタクシー運転手の映画という構想を抱いたのか?と思うぐらい。

まとめると『銭の踊り』、予告編に違わぬ面白さの、スタイリッシュな不親切映画でした。
英語にするとstylish unkind filmですか?
ここまで徹底的に不親切さを全うしたことに感服いたしました。
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テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

23 : 59 : 59 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(6) pagetop
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コメント
結局わたしも見に行ってしまいました。船越英二が拳銃を分解するところの音楽がかっこよかった。

市川崑の映画を「不親切」と形容するのは目からウロコですが、そういう意味では、もう1本の「迷走地図」と対照的かもしれません。

「迷走地図」もおもしろいけど、まったくおもしろさの種類が違っていました。あの映画は客が見たがるものを全部見せてしまう。サーヴィスが良すぎて、物足りないのです。
by: 鈴木並木 * 2007/06/29 01:15 * URL [ 編集] pagetop
昨日観た川島雄三の『還って来た男』も、不親切で大胆で斬新な作品でした。
こういう作品を観ていると、わかりにくいな、と思いつつ、どうにも惹かれてしまいます。
そういえば『殺しの烙印』も同じタイプの作品だと思います。

不親切であるにもかかわらず観客を惹き付けてしまう力こそ、映画の力とか、映画が映画たる所以のような気がします。
じゃあ、それは具体的に何ですか?と聞かれると、まだよくわからないのですが・・・。
by: リネン * 2007/06/29 01:28 * URL [ 編集] pagetop
いつも思うことですが映画はwhatではなくhow、つまり、何を見せるかはさして重要ではなくて、どう見せるかが重要なのではないかと。

もちろんどんな監督でもどちらか一方だけということはありえないですが、清順にしても市川崑にしても、whatよりはあきらかにhowの監督ですよね(石井輝男もか?)。そしてジャズも、whatよりhowの音楽だ、と思っています。
by: 鈴木並木 * 2007/06/29 11:54 * URL [ 編集] pagetop
おお、鈴木並木さん!

> 映画はwhatではなくhow、つまり、何を見せるかはさして重要ではなくて、どう見せるかが重要なのではないかと。
それが「映画が映画たる所以」だと思います。
長年のモヤモヤが解決しました。
それが見たくて、ワタシはこれまでバカのように映画を観てきたんだな、と。

おっしゃるとおりジャズはhowの音楽そのものですね。
映画にしろジャズにしろ、how toの才能に恵まれた人が羨ましいです。
by: リネン * 2007/06/29 12:50 * URL [ 編集] pagetop
さも自分の考えのように書いてしまいましたが、これは、ロシア・フォルマリズムのひとたちが言っていたことを自分なりに言い換えたものです。

こういうことはある程度いろいろ見ていると誰でも自然に気になってくるものだと思っていたのですが、何十年も見ていても、気にならないひとはまったくならないみたいですね。
by: 鈴木並木 * 2007/06/29 19:18 * URL [ 編集] pagetop
ふむふむ、ロシア・フォルマリズムですか。
勉強になります。

映画における作家性は、whatだけでなくhowも重要だということですね。
点と点が線になりました。
by: リネン * 2007/06/30 09:40 * URL [ 編集] pagetop

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♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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