本日は4本鑑賞。
フィルムセンターの川島雄三特集。今日の上映は松竹大船時代の3本。
『とんかつ大将』。
これは松竹時代を代表する佳作と言えましょう。
笑いあり人情あり涙ありのお話なのですが、
驚くべきショットが散見。
本編が始まっていきなり、まるでエリオット・アーウィットの有名な、車のサイドミラーにキスしているカップルが写っている写真のようなショットが映し出され、直後に車が事故を起こすスリリングなカットに切り替わるところ、
横丁で夫婦喧嘩が始まり、あたかも『仁義なき戦い』みたいにカメラ(手持ちカメラ?)がその夫婦が横丁を走るのをブレながら追うところ、
横丁で、津島恵子と角梨枝子が喧嘩していると、カメラがどんどんひいてズームバックするところ、等々。
凝ったショットが冴えた1作。
『適齢三人娘』。
これまた本当に楽しい良品。
ユーモアのセンスが良いし、何と言っても津島恵子の魅力が全面にでておりました。
『天使も夢を見る』や『東京マダムと大阪夫人』もそうなのですが、
こういう松竹時代のウェルメイドな作品って本当に観ていて心地よいです。
銀座ロケ多数。(数寄屋橋のシーンで泰明小学校が見えた)
『学生社長』。
これもなかなかよかった。
スリの映画ってこの当時からあったのですね。
まだ川が流れていた時代の新橋周辺などロケが多用されていて、うら寂しかった東京の姿をみることができます。
鶴田浩二は『天使も夢を見る』の時のような豪快なキャラクター。
楽しい映画ではあるのですが、貧しさや戦争の影を感じさせる作品でもあります。
シネマヴェーラに移動してトリュフォー特集の『ピアニストを撃て』を最後に鑑賞。
中学の時毎月買っていた雑誌「ミュージック・ライフ」にエルトン・ジョンの「ピアニストを撃つな」は、トリュフォーの映画の題名からとったと書いてありました。
これ、ウッディ・アレンみたいですね。
人質として拉致しているのに、車の中でギャングと人質がくだらん話で盛り上がったりしてるんで可笑しく観ていたらいきなりシリアス。そして悲劇。
ウムム。
さてフィルムセンターの川島特集、後半戦が進んでおりますが、
ワタシの書棚には入所困難な1989年発行ユリイカ臨時増刊「総特集 監督川島雄三」があります。
コレ自慢。
近々この本について書こうと思います。
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戦後腹ぺこ時代のシャッター音―岩波写真文庫再発見・巨神兵現る?・しらすと夜の横浜・アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶・古本まつりに行ったのだった・現場の肌感覚と言葉の力・ライカ・BooksDatabase521・エリオット・アーウィット写真展・ある日の展覧会。 ちひろのblog【2007/12/31 09:52】