午前中、フィルムセンターの川島雄三特集へ行き2本鑑賞。
『昨日と明日の間 』。
低気圧のせいでワタシの三半規管の状態が最悪なのに、斜めのアングルで映画が始まり、スタッフロールの間もずっとカメラが斜めなのでどうしようかと思いましたが、本編からは水平になりました。
鶴田浩二が月丘夢路に自殺を思いとどまるように説得するシーンがあまりに唐突に始まる不思議な編集でかつ二人のやりとりがひどくベタななので、鶴田浩二の夢の中の話かと思ったら現実だったり、現実の話だと思って見ていたら、突然それが劇中のスクリーンに映しだされるからくりになったりで不思議なところが多かったです。
歌舞伎座右隣にある鶴田浩二の会社の事務所前で、鶴田浩二と淡島千景が会話をしているシーン、二人の顔を写さず足元だけ映し続けるところが斬新。
その直後、ガラスの床の下から足元を映すシーンがあったのですが、
同じようなショットは『飢える魂』のバーのシーンでもありました。
『シミキンのオオ!市民諸君』。
映画の冒頭の約10秒、ビルから社長が出てくるところまでが、すごく良かった。
京橋から渋谷に移動し、名曲喫茶ライオンで時間をつぶした後、渋谷東急へ向かう。
ぴあフィルムフェスティバルのロバート・アルトマン特集へ行くためです。
旧東邦生命ビルの中にあるこの渋谷東急という劇場、今回初めて来たのですが、前の人の頭が思いっきりスクリーンにかぶるんですけど(別にワタシの前の人の座高が特別高かったわけではない)。
これはひどい。
今日は『ナッシュビル』。
前売り券売り切れで場内満席。右隣で大きな話し声がしたので驚いて見てみると鈴木則文監督と中原昌也でした。
『ナッシュビル』、始まってすぐに風刺の痛烈さに驚きました。
自分の地元ではないとはいえ自国民をここまで突き放して意地悪く皮肉たっぷりに描くのは凄いなと。
日本だったら、東京人が大阪人をここまで皮肉ることはあり得ないし、大阪人が大阪人を自虐的に面白くおかしく描くことはよくあっても、それは愛情が根底にあることが前提であり、一方アルトマンが描く南部は愛情のかけらもない。あるのは冷たく俯瞰する目だけ。
カントリー音楽と選挙を軸に多数の登場人物を一気に俯瞰的に描くところが見事。
個性的な登場人物の中でもBBCの女性記者のキャラクターがとても面白い。イギリス人にも冷たいアルトマン。
最高に面白かったのが、キース・キャラダイン演じるハンサムな歌手がクラブでラブ・ソングを歌う時、客席にいる女性4名が自分に対して歌っていると信じ込んでウットリするところ。
そのウットリする顔を一人一人映してくのだけれども、それが物凄く意地悪い。
作品の最初から最後までとことん意地悪いのに、観終わって後味が悪くないのは何故でしょう?
この映画、全編カントリー音楽が流れるのですが、(ワタシ、子供の頃からカントリーが嫌いで、幼稚園の時見ていた「セサミ・ストリート」にジョン・デンバーが出てくるのには弱ったのものでした)、もう一生これだけカントリーを聞くことはないでしょう。
ぴあの方の説明によると、アルトマンのフィルムで日本にあったのは『ロング・グッドバイ』のみで、他は世界中により良い(よりましな)フィルムがないか問い合わせたそうです。
上映前に『ナッシュビル』はフィルム状態が悪いと聞いたのですが、歌のシーンに飛びが多かった以外はそれほど問題無かったです。色もよく残っていたし。
『ナッシュビル』以外はまだチケットが残っているそうですので、諦めていた方、ぜひどうぞ。
スポンサーサイト