お年寄りに対して優しくありたいワタシですが、どうにも我慢できないのが、フィルムセンターで並んでいるとき聞こえてくる老人達によるバカでかい声でのくだらないお喋り。
本当にご老人達は声がでかくて待っている間気が散って本が読めないし、中身のない耳にしたくない内容の話をするので、フィルムセンターに行く時は耳栓代わりにiPodを持っていくようにしております。
今日はご老人の大声に対抗できるよう音の多いジョン・コルトレーンの「Expression」をiPodに入れて聞いていたのですが、老人達は並ぶ順番を巡って喧嘩を始めたのでコルトレーンの音さえも合間をぬって聞きたくない怒号が聞こえてくる。
ワタシと彼ら(彼女ら)との共通点は映画好きであることで、違いは彼らはお年寄りでワタシはまだお年寄りでないこと。
ワタシもお年寄りになったら、ああなってしまうのでしょうか。
川島雄三の『人も歩けば』。
奥行きを感じさせる映画。
例えば、フランキー堺と藤木悠が木賃宿近くのだだっ広い野っ原の中の道ですれ違うシーン、何度となく出てくる人がやりとりしているバックに海やガスタンクや煙突(お化け煙突?)やら気になる遠景が見えるシーン、繁華街の狭い横丁で人が行き来するシーン(これはセットの模様)。
フランキー堺の運動神経の良さに瞠目させられる映画でもありました。
次に一角座にて大和屋竺の『裏切りの季節』。
あまりにも60年代そのものといった感じの作品。
上映後、河内紀氏、上野昂志氏、荒戸源次郎氏によるトークショー。
荒戸源次郎いわく『裏切りに季節』は他のどの作品よりも生の大和屋竺を感じさせる映画だと。
河内紀によると、劇中の歌は大和屋竺によるもので、マンションに飾ってあった絵は河内紀が描いたもので、また河内紀はバーのシーンで客役で出演していて田中陽造夫人もバーのママ役で出ていたと。
音楽は佐藤允彦だが、印象的なドラムは富樫雅彦によるものだと(富樫が事故にあう前でまだドラムを叩いていた時代)。
今日もトークショーを聞いていて、荒戸源次郎は威圧的なオーラを出しまくっているけど、いい声だなぁ、『愛欲の罠』再見したいなぁと思いました。

最後にユーロスペース(この劇場では大声で話す老人はいないので、待っている間バッハなんかを聞いていられる)にてアルトマン特集『わが心のジミー・ディーン』。
きっつい内容の映画。非常にシリアスなんです。
登場人物は「女性」のみ。古びた雑貨店兼コーヒーショップ(アメリカによくあるタイプの)の店内でのみ繰広げられる室内劇。
役者の衣装もメイクも場所の同じまま現在と20年前の回想を頻繁に行き来する演劇映画です。
20年ぶりに再会した女性達は皆それぞれ人生の中で傷を負っていて、再会を喜んだのも束の間、互いに罵り合ったり傷つけ合ったりする。
観ていてアルトマン、女性に厳しいなと思いました。ホント意地悪いです。
やはりこの作品でもアルトマンの突き放し感、冷徹に俯瞰する眼を感じました。
ワタシは夢見がちな女性なので、このアルトマンの厳しさが心にこたえました。
男性はどのような感想をもたれたのでしょうか?
シェール、キャシー・ベイツなど出演しておりました。
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