フィルムセンターに上映1時間前に行ったのですが、ロビーの椅子に座れたのはワタシが最後でした。特にめずらしい作品の上映でもないのに、いったいみんな(といっても平均年齢75歳)、どれだけ早く来るのよ?
フィルムセンターの行列ができる時間はどんどん早くなっている気がいたします。
今日観たのは『網走番外地 望郷篇』。
数年前、中野武蔵野ホールかどこかで、状態の悪いフィルムで観たのが最後で、長崎旅行を検討しているので観光の参考になればと再見したのですが、改めて観て素晴しいな、と。
石井輝男の膨大な作品の中でワタシが一番好きなのは、『ならず者』でして、この作品が好きな理由は色々あるのですが、マカオでの高倉健と杉浦直樹の対決の場面は見る度に痺れます。
で、この『網走番外地 望郷篇』での高倉健vs.杉浦直樹もカックイー!
二人が一緒に出てくる場面は2回。
最初は港湾で仕事をめぐって組が争っているところに、「七つの子」を口笛で吹きながら杉浦直樹登場。
杉浦直樹の役どころは高倉健の敵の組に雇われた「人斬り譲次」で、真っ白いスーツを着ていて、胸を病んでおります。
ここでのカメラがとんでもない状態で、高倉健と杉浦直樹ががっぷりよつに対峙しているというのに、下から思いっきり煽った状態で二人を映し続け、顔の後ろには南国の真っ青な空が広がっている何とも奇妙なショット。
二人が互いに認めてその場を離れるまで、異常とも思える煽りのショットがずっと続きます。
俳優達は皆ちゃんとロケ地にいるのに何故にそんな映し方を選んだのか謎ですが、これがまた格好良いのでよし。
2回目は、高倉健が堪忍袋の緒が切れ、敵の組に殴り込み、最後に残った杉浦直樹が高倉健と対決。
この二人、背格好が似ていて、健さんは和風な顔立ちで日焼けしていて昔ながらのヤクザスタイルの白いシャツを着ているのに対し(「石井輝男映画魂」の表紙写真に近い)、杉浦直樹は肌は青白く彫りの深い顔立ちにサングラスをかけ白いスーツをパリっと着こなしていて、喀血した血がスーツに付いている。そして、シネスコ画面の左右両端に二人が立ち一対一で真剣勝負するロング・ショットの素晴しさったら。
そして杉浦直樹の立ち去るところの格好良さったら!
(子供の頃は育毛剤「紫電改」のCMのオジサンという印象だったのですが)
こういうのを観ると映画っていいなぁと思います。
波止場で手負いの健さんが船を見送るラストも、『ならず者』に並ぶ哀愁に満ちた美しい感動的なショット。
ああ、モウレツに長崎に行きたくなりました。
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