まず香港映画『アイ・イン・ザ・スカイ』を観るために東京フィルメックスの会場である有楽町朝日ホールへ。
ジョニー・トー作品の脚本を書いているヤウ・ナイホイの初監督作品です。
出演者はジョニー・トー作品の常連と結構かぶっておりました。
とてもよく出来た娯楽作品で面白かった。
見た目大学を出たばかりという感じの若い刑事の女性(ケイト・ツイ)が監視班という部署に所属し成長してく姿をレオン・カーファイ率いる宝石の強盗グループとの捜査を通して描いた作品です。
この監視班なるチームを舞台にしたところがこの作品のミソで、監視班は「見る」ことと、見るために尾行することのみが任務で、監視班が見て確認した後、逮捕や攻撃は別の班が行います。
監視班を「見る」プロフェッショナル集団で、一瞬すれ違っただけの人やものを頭に焼付けるよう訓練されていて、また任務の途中で人が暴行されているところに遭遇しても、警邏中の警官が襲われ瀕死の状態でも、自ら救護に向かわずそのまま任務を続行しなければいけません。
新人の主人公はレオン・カーファイを追っている途中、レオン・カーファイに襲われ大量出血している警官の救護に向かってしまい任務から離れてしまします。
そんな彼女を優しくフォローするのがベテラン捜査官のサイモン・ヤム。
監視班は「見る」ことのプロフェッショナルでありながら、逆に「見られる」立場になると途端に窮地に陥ります。
ケイト・ツイもサイモン・ヤムもレオン・カーファイに見られた(気付かれた)ことで絶体絶命のピンチに。さて二人の運命は…。
この作品、ジョニー・トー作品に似た雰囲気を持っていて、基本的に静が続き、その中に爆発的な動が起きるところとか、登場人物が食べてばかりいるところとか。
香港の市街地でのロケのシーンが大部分で、特にレオン・カーファイが坂道の多い香港島サイドを歩き回り監視班が追うののですが、ロケーションがとても効果的でありました。
日本公開が決まっているそうで、公開されてたら観に行こうと思います。
『アイ・イン・ザ・スカイ』上映終了後、大急ぎで青山1丁目に移動し草月ホールで開催している中国映画祭の『四大天王』の上映へ。
香港映画スター・ダニエル・ウーが監督した作品です。
ワタシはダニエル・ウーは好きでも嫌いでもないのですが、香港の映画が観たいわぁぐらいの理由で前売りを買ったところ、昨日映画祭のホームページを見たら、ダニエル・ウーが来場すると書いてあるじゃありませんか。
会場は妙齢の女性でいっぱいでした。
『四大天王』、意外にもと言ったら失礼ですが面白くて大笑いしながら鑑賞いたしました。
あえてドキュメンタリーの体裁をとったフィクションといった感じの作品で、映画スターの仲良し4名がボーイズ・グループを結成して曲を発表してライブに出て、という流れを追った作品。
慣れない歌や踊りに仲良く挑戦したり、仲間割れしたりする光景が繰広げられるのですが、登場人物たちの素(に見える)表情が傑作なのであります。
チワワを抱いたゲイのスタイリストや、本物のジェッキー・チュンやカレン・モクも出てきます。
上映後、監督のダニエル・ウーが登場。
広東語ではなく英語で話しておりました。
この作品はボーイズ・バンドの映画を撮りたいという目的が最初にあり、それをドキュメンタリー方式で撮ろうということになり、ドキュメンタリーを撮るために、ダニエル・ウー、テレンス・イン、アンドリュー・リェン、コンロイ・チャンで「Alive」というバンドを結成し、周りには映画を撮ることが目的であることを隠しバンド活動をしていたのだそう。
撮影していると、どこまでが真実でどこまでがフィクションなのかわからなくなったのだそう。
ダニエル・ウー監督、映画の中の何が真実で何が演技だったのかは内緒にしておきます、その方が面白いから、とのことでした。
ワタシは正直、最初の方は殆ど真実だと思って観ておりました。途中であれ、と気付いたのですが。
劇中、生真面目なダニエル・ウーがルーズなメンバーたちに振り回されて胃薬を飲むシーンが何度もあるのですが、これはフィクションとのこと。
ダニエル・ウー監督、とても真面目で丁寧な話しぶりで落ち着いた印象を受けました。
映画も楽しかったし(この作品でテレンス・インのことを初めてカッコイイと思った)、トークショーも良かった。
何となく前売り券を買ってラッキーでした。
下北沢に移動し、古本屋さん「気流舎」で定期的に開催されている映画の見方について鈴木並木さんとゲストがお話するイベント「映画のポケット」へ。
今回のゲストは日本映画に大変お詳しい拙井須磨子さん。
このイベント、人それぞれの映画の見方を伺うことができるのも楽しいですし、今まで知らなかった魅力的な映画を知ることができるのでお気に入りです。
今回は鈴木並木さんが紹介された『ゴーストワールド』(スカーレット・ヨハンスンが出演している)と、拙井須磨子さんが紹介された『月とチェリー』がツボにはまり早速DVDをレンタルしたくなりました。
気流舎さんのコーヒーも美味しいですし、ホント、おすすめのイベントです。
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