『黒幕』『やわらかい手』
2008 / 01 / 20 ( Sun )
ラピュタのモーニングで小林悟監督作品『黒幕』鑑賞。
(これまで小林悟作品は『鏡の中の野心』しか観たことがありません。)
いやぁ、面白いものを観ました。
暗闇の中で天知茂がライターに火を付けるオープニングのカッコよさ(構図が最高)。
モノクロの絶妙なバランスの光と影の中、突然始まるアクション・シーン。
な、なんだこれはひょっとして傑作か?と期待した瞬間、「オレの過去は~♪」と思わず笑っちゃうような相当ダサい天知茂の歌声でタイトルロールが始まります。
そこから先は異様なまでに凝った構図のショットの連続。
極端なあおりや、ピンボケの多用(スクリーンの中の1点のみピントが合っていてその他のポイントはボケボケのショットが多い)、カメラがどんどん動いたり等々、細かいカット割りで凝ったショットの成果を次々と目まぐるしく見せ付けられます。
カメラが凝りに凝った割りにストーリーはちっとも面白くなく、一応産業スパイものながら増村保造の『黒の試走車』のように手に汗握らせてくれることはなく(そもそも精力剤の競争でここまでやるのか?という疑問はありますがそれは置いておいても)、笑い、お色気、アクション、そして歌謡曲まで無理やり詰め込んだ(製薬会社のサラリーマンである天知茂が何故かクラブのステージでバンドをバックにベタベタな歌を唄って登場するとにかく変な場面あり。)てんこ盛り状態でとっちらかってしまっていて、映画としてはまったくまとまとまりのない作品なのですが、作品全体にみなぎるやる気に何だか圧倒される、そんな感じです。
さすがに小林悟監督だけあって、ベッドシーン(と言っても服着たまま)での野川由美子の唇やあご下のほくろのアップがすごくエロいです。ただ部分をピンボケで大写ししているだけなんだけれども。
『黒幕』、渾身のショットの連続には努力賞をあげたい作品でした。
ル・シネマにて『やわらかい手』を鑑賞。
親子二代のマリアンヌ・フェイスフルのファンなので観に行きましたよ(ウチのママさんが『あの胸にもういちど』当時から彼女のファン)。
ル・シネマにてこのような内容の映画が観られるとはねぇ。
風俗とゲームにおいては日本が世界に冠たる偉大な国であるとわからせてくれる作品(?)。
原題の「Irina Palm」はマリアンヌの風俗店での源氏名です。
スクリーンで見る限り、マリアンヌの手は荒れていてゴツゴツしていて、とても殿方を虜にする「やわらかい手」には見えませんでしたよ。
風俗がらみの話にしては笑えるところが少なく、全体的に貧しさが漂い重苦しいので、デートには向かない作品だと思いました。
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Irina Palm
こんにちは、日本では「やわらかい手」というタイトルなのですね。
フランスでは原題のままでした。ゴツゴツした手が男性を
虜にしたというオチだと思ってたのですが、「やわらかい手」というのはどこから来たのでしょうかね?
イメージでしょうか。デートには向きませんよね。
下の「1900年」、映画の事がまだ良く分からなかった頃、
銀座の映画館で見ましたが、その時は2回に分かれての上映でした。
私ももう一度見たいですねぇ。
今日ちょうどドパルデューの若い頃の作品を考えていたところでした。
Q太郎ママさん
劇中、マリアンヌの手についてsmoothだったかSoftとか形容する台詞があったと思います。
しかし、どう見ても彼女の手はゴツゴツとした「やわらかい手」とは程遠い状態でしたよね。
風俗のお仕事をするにしても花柄のエプロンをしたり花や絵を飾ったり、水筒を持ってくるところは英国人らしく面白いなと思いました。
風俗が題材の映画でも明るい内容ならデートでもありだと思うのですが、「やわらかい手」は全体的に憂鬱な感じだったので、ちょっと。劇場内カップルも結構いましたけれども。
「1900年」、大変上映時間の長い作品ではありますが、観ていて長いとは感じませんでした。本当に素晴らしかったです。
正直ドパルデューの良さはこれまでよくわからなかったのですが、「1900年」を観て肉体美も含めてなるほど魅力的だなと感じました。
若いドパルデューの作品、観ていきたいです。
夜霧に流しちまったぜ~
こんばんはー。今日「黒幕」観てきました。天知さん大活躍で、それだけで天知ファンの私はお腹一杯です(笑)。オープニングはかっこよかったですね。
ちなみにあのオープニングの主題歌、なんと天知さんのファーストアルバムにも収録されてたりします。アレンジが変わってますが。
あー
私も今日観ました。あ~、これは、なぁ~。拙ブログに否定的なこと書くかもしれないすけど、許してください。でも、確かに天知茂ファンは必見ですね。孤高のがんばりとでもいうか。
「1900年」10数年前に観たっきりなんですが、かなり細部まで覚えてます。モリコーネのテーマ曲が泣けます。
「柔らかい手」は、なんつうか、風俗を舐めてんじゃないか、という気がしなくもありません。
なべらさん
『黒幕』観ながら、これはなべらさんご覧になられたら大喜びだろうなぁ、と思いましたよ。
歌にアクションにお色気に天知茂大活躍でした。
オープニングの歌は相当ビミョーだと思ったのですが、ファンにとっては素晴らしい歌ですよね?
クラブのシーンは見ていて、ズルって言いそうになりました。
まぶせさん
『黒幕』、厳しい批評を楽しみにしております。
空回りしっぱなしの作品との印象を受けたのですが、それをいい意味で受け止めました。
『1900年』、ドミニク・サンダも素敵でした。
劇場で観られてほんと良かったです。10年後にまた劇場で観たい作品です。
>「柔らかい手」は、なんつうか、風俗を舐めてんじゃないか、という気がしなくもありません。
確かに言われてみるとそんな気もします。
風俗産業で働く女性達を描いた秀作の宝庫は日本映画にあると思います。
歌うシゲル
リネンさん
はい、大喜びしながら観てました(笑)。ストーリーはありゃりゃ?でしたが。
あの主題歌は、天知さんの持ち歌にしては前向きな歌詞だなあと思っています。
クラブの場面は突然歌いだすのにビックリしましたが、歌う天知さんの映像というのも貴重なものだとはたと気づいたのでした。
なべらさん
ホント、『黒幕』、天知茂ファン悶絶必至の映画でした。
あのストーリーの中に、クラブで歌う場面を無理矢理いれる強引さに口アングリしちゃいましたよ。
淡路島で若妻に迫られてタジタジになっている天知茂、キュートでした。