フランス映画祭、今年はジャック・リヴェット特集。
リヴェットは過去に1本も観たことないのですが、昨年のフランス映画祭でもジャック・ドゥミ特集に通ったので今年も行かねばならない気分になり何枚か前売りを買いました。
ユーロスペースで『地に堕ちた愛』(84年)。
ジェーン・バーキン(正直なところ苦手な女優)とジェラルディン・チャップリンという二人の女優を競演が楽しめる作品。
といっても一筋縄にはいかない作品で、まず、ある日曜日の午後、曇り空のパリを男女の集団がどこかへ向かってまとまって歩いているのが写しだ出され、彼らはアパルトマンの一室にたどり着き、その部屋ではジェーン・バーキン、ジェラルディン・チャップリン、ファクンド・ボーの男一人女二人が日常のやりとりをしているのだけれども、彼ら3人は何故か入ってきた男女の集団にまったく気付いている様子がない。
観ているワタシの頭にハテナが浮かんだ直後に、男女の集団が笑い声をあげ、にもかかわらずジェーン・バーキンらのやりとりがそのまま変わらず続くので、ああ、これはアパルトマンをつかった室内劇なのかと、とわかるといった感じ。
こういった謎が次から次とどんどん出てきてるのです。
3人は劇作家クレマン(ジャン・ピエール・カルフォン)から依頼を受け、クレマンのお屋敷で次の土曜日に新作を演じることになります。
数日後の芝居のためにお屋敷に泊り込みで稽古をするのですが、このお屋敷が外は白亜の古風なつくりなのに、中はポストモダン風の悪趣味な内装で(当時はいけていたのだと思われます)、部屋がいっぱいあってジェーン・バーキンとジェラルディン・チャップリンは好奇心で勝手に屋敷の中を見て歩きます。
屋敷にはポールというマジシャンが住んでいて、ポールは屋敷の主人のクレマンに対し同等もしくはそれ以上の立場で話しかける男で、その関係は封建時代の貴族と召抱えられた道化師のよう。
ポールは不思議な男で、ジェーン・バーキンもジェラルディン・チャップリンも彼と面と向かっているとデジャヴのような未来のような幻覚を見ます。
屋敷も不思議で、古びたある部屋から海の音や森の音が聞こえたりします。
映画の最後で次々に出てきた謎は上手く解決し納得するのですが、ポールの幻覚と部屋の幻聴に関しては解決せず謎のままでありました。
観客を終始謎で引っ張るタイプの作品でありましたが、不思議な後味というか、何か気になるものが残る映画でありました。
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