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ジャック・リヴェット『狂気の愛』『Mの物語』『嵐が丘』

春分の日、ユーロスペースでのフランス映画祭、頑張ってジャック・リヴェット作品を3本観ました。

『狂気の愛』(69年)。
場内満席。
映画が始まってわずか2,3秒でスクリーンにはフィルムが焼けるような状況が映し出され中断。
昨年、ジャック・ドゥミ『思い出のマルセイユ』上映時もフィルムセンター所蔵のフィルムでユーロスペースは映写事故を起こし長い間待たされたことがあって、またかよと思う。
その時は10分以上待たされたのですが、今回は5分ぐらいで復旧。
『狂気の愛』。4時間15分の長尺。途中休憩時間あり。
演出家の夫(ジャン=ピエール・カルフォン)と女優(ビュル・オジエ)の妻の物語。
映画の冒頭、芝居の舞台裏の風景のあと、ビュル・オジエが列車に乗っているカット、そしてジャン=ピエール・カルフォンが一人アパルトマンで女性の声が入ったテープレコーダーを聞き入っていて電話がなっても無視しそのままテープを聴いているカット(ここの段階で観客にそれが何だかわからない)。
次に劇団が稽古をしている場面。ビュル・オジエの台詞まわしにカルフォンが注文をすると、オジエは怒って役を降りてしまう。ここから実質的に物語がスタート。
カルフォンは代役に黒髪の長身の美人の女優(後にカルフォンの前の妻と判明する)をたて、劇団は変わりなく毎日稽古を続けていく。
途中休憩が入るまでの前半は、劇団によるラシーヌの戯曲の面白くもない稽古風景が大半を占め、単調な芝居の稽古を延々見ている方は段々辛くなってきます。
その苦痛が増してきた頃、稽古の間に時々挟み込まれる妻・オジエの動きがおかしくなってくるところで(家でテープに妄想を吹き込んだり、自分に顔が似ているバセット・ハウンド犬を盗もうとしたり)、映画の前半が終わります。
後半、物語は急激に動き出し俄然面白くなります。
妻の狂気が進行し、欲しくもない買い物をしまくったり(部屋で買ってきたマトリーシュカをどんどん開けていき最後までいったらポイッ!)、昔の男友達に突然電話をして浮気をしたり。
妻の狂気に夫は立ち向かおうとしますが、一時的に冷静を取り戻した妻は夫に別居したいと言い出します。
すると、精神的に幼い妻とは対照的にこれまで常に冷静沈着だった夫が感情を爆発させ、涙を流しながらハサミで自分が着ている服や自分の身体をザバッザバっと切っていきます。妻の制止も聞かず泣きながら傷付けていきます。
ワタクシ、この場面で不覚にも泣いてしまいました。
夫は毎日続けていた稽古を休み、2日間妻と部屋で過ごします。
ごっこ遊びをしながら部屋に落書きをしたり、ハンマーでドアを壊したり、セックスをしたりして過ごします。
が、結局解決にはならず、最後妻は家を出ます。
映画の冒頭のオジエが列車に乗っているカットはこの家を出た姿であり、カルフォンが部屋で呆然としている姿は妻に出て行かれたときのもので、再度最後に同じカットが映し出され、唐突に長い映画が終わります。

途中までは、嫉妬深い妻の話として観ていましたが、最後、そうではなく夫の愛情の束縛から妻が逃れる話だったのかと思いました。
4時間15分という尺、延々繰り返される芝居の稽古風景は必要なものなのかと考えつつ観ることとなりましたが、必要なのかどうかの結論はともかく、その観るものに苦痛をもたらす繰り返しによって、オジエが陥った狂気までの過程に説得力を持たせたることになったことには間違いないなと確信いたしました。

次に『Mの物語』(03年)。
エマニュエル・ベアール主演。
『地に堕ちた愛』同様に次々と謎をが出てきて、最後には全部謎が解き明かされて終わります。
広い家の中、登場人物が部屋をどんどん開けるところなど『地に堕ちた愛』と共通しておりました。

『嵐が丘』(85年)。
エミリ・ブロンテの『嵐が丘』は小学生の頃の愛読書です。中学受験の試験日前夜もほとんど寝ずに再読したぐらい。が、映画はワイラーのもブニュエルのも吉田喜重のも観たことがありません。
だから3世代に渡る壮大な物語を他の映画がどのようにまとめたのか存じ上げません。
リヴェット版は1931年の南仏が舞台になっております。
ヒースクリフがロック(映画の舞台は岩石が露わになっている荒野)、エドガーがオリヴィエなど一部役名も変わっております。
ブルガリアの民族音楽が流れる中、少年少女時代のロックとカトリーヌ(キャサリン)が荒野を駆け抜ける場面の素晴しさに胸が熱くなりました。
この作品を観る上での最大の興味は、長年に渡る愛憎劇をどう映画に要約するかという点なのですが(上映時間2時間10分。リヴェットにしては短い)、重要な場面を次々と丁寧に描写していくので、観ていて途中、最後までちゃんと尺に収まるのか?と心配してしまいました。
で、カトリーヌがオリヴィエ(原作だとエドガーのことね)からの求婚を受け入れたと知り絶望して失踪したロックは3年後、金持ちになり復讐のために村に戻ってきます。
かわいらしい少年だったロックがどんな姿になって帰ってきたのかと期待していたのですが、現れたロックは牧童姿からスーツ姿に着替えてはいるもののピアノの発表会に出る中学生のようで凄みは微塵も無く、野生的な復讐の鬼になって帰ってくることを期待していたワタシは甚だ失望いたしました。
完全なミスキャストです。
もうそこからは何をやってもロックが親に怒られてふて腐れた子供みたいな見た目なんでダメで、復讐にも凄味がなく、ダメだダメだと思っているうちに、イザベルが村を出て、カトリーヌが死んでしまいました。
エ?子供生まずに家出したり、死んじゃったりしたら、次の世代の話にならないじゃん、と思ったら、次の世代になることなく、カトリーヌの死をもって映画は終っちゃいました。
まぁ、少年時代のロックとカトリーヌが野山を走る姿が素晴しかったので良しとします。

リヴェットの長さ、それは必要不可欠なものなのか?(監督にとっては勿論不可欠なのでしょうが、観客にとっても不可欠なのか?)という疑問の結論はもう1作観てから下したいと思います。
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テーマ:フランス映画 - ジャンル:映画

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♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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