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吉田喜重版『嵐が丘』

就業後、シネマヴェーラへ。
今の自分の波長が吉田喜重に合わないので、吉田喜重特集には行かないようにしていたのですが、原作の「嵐が丘」に興味があるので、吉田喜重版『嵐が丘』も観たくなり鑑賞。
3月にジャック・リヴェット版『嵐が丘』を観ました
とはいえ、事前にこの作品を観た人から、「観て憂鬱になった」と感想を聞いたので、観に行くのをちょっとためらったのですが、そんなことは、タイトルが出て音楽が流れ始めた途端杞憂となりました。
地響きのような、風の音のような、低音が強調された音楽は、『ブレードランナー』の冒頭タイレル社の遠景が映し出されるシーンに流れる音楽や、『地獄の黙示録』のシンセサイザー音楽を思い起こさせる重厚な響きで、かつ紛れも無く日本風で、「ああ、この音楽を聴けるだけでも、この映画を観にきて良かった」と思った直後に、音楽・武満徹とスタッフ・ロールが出たので、成る程と思ったのでした。
スタッフ・ロールが終わり、本編が始まると、そこには霧につつまれた幻想的な世界が広がっており、その映像美に引き込まれました。
131分間、ワンカットたりとも気を抜いたところはありませんでした。
全編耽美的な幽玄の世界を、荒野でも室内でも完璧な構図で撮り続けたことに感嘆いたしました。
田中裕子が息を引き取ったシーン、帷子越しに田中裕子の顔のアップが映るのですが、帷子の布と布とのわずかな裂け目から、田中裕子の目元だけが直に映し出されるカットなどは、思わずウーンと唸ってしまいました。
田中裕子と名高達郎が扇子越しに話をするカットも、荒野(阿蘇らしい)で女が歩くくカットも、松田優作と古尾谷雅人が決闘するカットも、何もかも異様に凝っていて、そこからゲージツ映画をつくるんだという意気込みが強く伝わってきて、観ていて多少気恥ずかしい感じがしないわけでもないのですが、それでも観ていて目が嬉しいショットの連続で心地良かったです。

田中裕子は鼻筋が通った日本的な地味な顔立ちが生きた能面のようで美しく、能舞台のようなこの作品にはピッタリと思いました。彼女の立ち振る舞いも能みたいでありました。
一方、松田優作は結構イタかった。大声を出すことしか出来ないのでしょうか。
最後、松田優作と古尾谷雅人が一つのショットの中で決闘しているシーンを観て、ちょっと驚きました。この二人が共演しているとは知りませんでした。二人とも大柄で、決闘の構図のバランスがとれておりました。
高部知子は顔が美しくなく、観ていてガッカリしてしまいました。別の女優さんだったらなぁ。田中裕子の二役でも良かったかもしれません。

正直この作品に関して、エミリ・ブロンテの原作を鎌倉時代に移し変えたことの是非とか、脚本がどうのとかは、ワタシにとって興味の範囲外です。
見事な映像と音楽があれば、それで満足。
それにしても武満徹の音楽、素晴しかったなぁ。この音楽のサントラは発売されてないみたいなので、CDが欲しければ、武満徹全集を買うしかないのかしら?まぁ、DVDを買えば音楽も聞けるわけですけど。

ところで、右隣の席の男が頻繁にクククッと笑うのに頭にきたから、上映後いったいどういう人物なのかとジックリ顔を観察してやりましたよ。
いったいこの映画のどこが笑えるんだよ?
深刻な場面でも笑い続ける輩、吉田喜重の映画にも来るんだぁ、と(松田優作出演作だから特別なのかもしれませんけど)。

『嵐が丘』を観て、吉田喜重恐怖症がいくぶん和らいだ気がいたしました。
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テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

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Author: リネン
♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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