足繁くシネマヴェーラのイタリア映画特集に通っております。
劇場に行く前に吉祥寺にある北欧カフェmoiに行き、アイスキャラメルミルクティをいただく。
店主の岩間さんと映画の話。
井の頭線で渋谷へ移動。
今日観たのはヴィスコンティの『イノセント』。
この世にある映画の中で最も好きな映画のうちの1本です。
10代の頃から何度も劇場で観た作品ですが、見る度に泣いてしまいます。
この作品を観た時の自分の状況は様々でしたが、何時観ても感極まってしまいます。
ずい分前、自分がまさにジャンニーニと同じ立場に置かれていたときなど(!)、ジャンニーニがアントネッリの浮気を知り真昼の別荘で情熱的に抱くシーンを観ながら、涙を流したものでした。
今日も、冒頭赤い布地を背景に本をめくるタイトルバックに半音階的旋律の音楽が流れただけで、条件反射でジワーっときてしまいました。
ラウラ・アントネッリの豊かな胸の素晴しさにウットリし、ジャンニーニの感情をわずかに表情に出す演技(基本無表示ながら目の周りをピクピクさせたり、妻が不義の子を身籠ったことを知った瞬間これまた無表情ながら片目からサーっと涙を流す)に改めて感嘆いたしました。
ジャンニーニが軽んじ妹のように扱っていた妻がいつの間にか、皆から尊敬され人気がある知的で容姿端麗な若い作家と関係を結んでいることを知り、嫉妬し、妻への情熱を燃え上がらせる過程をジャンニーニの表情のアップの連続を中心に描いていくところなど凄いな、と。
あと、マルク・ポレルがウチの会社の人に似ているので観ていてニヤついてしまいました。この人、若くして麻薬で亡くなってしまったんですよね。
『イノセント』、ダヌンツィオの小説が原作ですが、1906年生まれのヴィスコンティはこの物語の舞台である20世紀初頭の貴族社会を肌で知っているわけで、スクリーンに映し出される爛熟した貴族の暮らしぶりを観ながら、その情景が実際の当時の貴族の生活と違わないだろうことに、100年前のヨーロッパに思いを馳せてしまいました。
ジャンニーニの旅行カバンがルイ・ヴィトンなのですが(エンド・ロールにもルイ・ヴィトンの名が出てくる)、20世紀初頭のヨーロッパが舞台の映画を観ると小道具にルイ・ヴィトンが出てくることがありますね。例えば『モンパルナスの灯』。
『イノセント』にもルイ・ヴィトンが使われているとは、今日まで気付きませんでした(ワタシは別にルイ・ヴイトンが好きなわけではありません)。
シネマヴェーラのイタリア映画特集、明日が最終日です。
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