ビデオで中島貞夫監督作品「現代やくざ 血桜三兄弟」を見る。
この作品のプリントが現存してないとのことで、
ビデオでみるしかない状況。
山下毅雄の音楽が最高にかっこいい。
中島監督は本当に音楽の使い方がうまい。
野坂昭如が唄う「マリリン・モンロー・ノー・リターン」が流れる中、
荒木一郎演じるモグラ登場。
ヘタレ・キャラを熱演。
「白い指の戯れ」の拓が器用なクールな男の最たるものなら、
「現代やくざ 血桜三兄弟」のモグラは徹底的なダメ人間。
同じ俳優とは思えない役柄の幅の広さ。
鹿島茂先生も「甦る昭和脇役名画館」で
「一般に、俳優として荒木一郎というと、『白い指の戯れ』の拓のような、
内面をほとんどのぞかせないハードボイルドな役柄を評価する向きが多いが、
それは、このモグラの荒木一郎と合わせて表裏一体としないと、
上っ面をかいなでた理解にとどまる」
と書かれています。
作品は東映ヤクザ映画の舞台装置がそろっていながら、
長兄の菅原文太が胃ガンで半年の命だったり、
モグラが意外に活躍したりと、かなり風変わり。
この作品を劇場でも観たいものだ。
昨日買った荒木一郎のCD『singles1966-1971』に入っている
「めぐり逢い」(武満徹作曲・荒木一郎作詞)がとにかく素晴らしく、
何度も繰り返し聞いてしまう。
荒木一郎の歌詞が、ふつうのようで何とも味わい深い。
また、彼のささやくような歌唱がこのメロディ、歌詞にぴったりなのだ。
「愛」という言葉を発するときの声が何ともよい。
傑作。必聴の一曲。
めぐり逢えるその日までは
つらい夢も見るでしょう
そしてわずか影にのぞく
虹のようなその日
めぐり逢えるその日の空
雨にぬれたくちびる
そして青い木陰に似る
虹のような二人
愛する二人になぜ苦しみがあるの
愛する二人は涙にぬれてる
めぐり逢えるその日からは
生きる悲しみさえも
ともに抱いて ともに歩き
ともに歌う 虹よ
(くり返し)「ロック画報」でのインタビュー記事に、
唄を歌うことが苦手だったが、チェット・ベイカーのささやき唄法に出会い、
歌うことに喜びを見つけた、と書いてあった。
昔、チェットのあの声に魅了された私が荒木一郎の「めぐり逢い」に
まいるのは当然なのだ。
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