有楽町朝日ホールにて『没後50年 溝口健二 国際シンポジウム』に行く。
あこがれの若尾文子様が登場されるので、有給休暇をとって行きましたよ。
司会は蓮實重彦、山根貞男。
まず、作家の阿部和重、映画監督の井口奈己、柳町光男、山崎貴によるセッション。
阿部和重の溝口健二論が新鮮で面白い。
井口奈己は口下手だが持って生まれた感覚が鋭く、柳町光男は言語明瞭で話が非常にわかりやすい。
山崎貴は、作品を観る視点がやはり特撮の人だ、と思わせる話しぶり。
次に香川京子さま登場。
着物を着て登場。
美しい!何という気品!本当に驚いてしまう。
ベネチア映画祭に行ったときの話や、『近松物語』『山椒大夫』の撮影時のエピソードを話される。
『近松物語』では浪花千栄子に京都弁と身のこなし方の指導を受けたとのこと。
溝口監督は「反射してください」とだけ言い、どう演技してよいか困ったとのこと(が、スクリーンでの香川京子の素晴らしさ!)などなど。
そして、ビクトル・エリセ監督(カラダ大きい)から花束贈呈。
そして、あこがれの若尾文子さま登場。
文子さまも素晴らしい着物を着られてます。
小柄で、気の強そうな感じ。やはり女優というオーラを出されてます。
おぼこい『祇園囃子』から男を手玉にとる『赤線地帯』まで実際にはわずか1年ちょっとしかたっておらず、
『赤線地帯』で一番ちゃっかりした娼婦の役を演じるのに大変苦労をしたとのこと。
『赤線地帯』で、文子さまの演技を溝口監督が気に入らず、
1週間撮影が中断して、死のうかとまで思ったという話をされる。
見かねた宮川一夫が文子さまにメーキャップを変えるようアドバイスし、
気分も変わり、何とか役をつかむ糸口をつかんだと(以前のインタビューでも話してました)。
文子さまにはジャ・ジャンクーから花束贈呈。
次に、『雨月物語』『山椒大夫』『近松物語』で助監督をした田中徳三氏が登場。
はじめに、「さきほどから難しい話ばかりしてますが、映画はもっと楽しいものです」とおっしゃられた。溝口監督のエピソードを紹介。
カメラをのぞかない、演技指導をしないという話は本当だとのこと。
『近松物語』では、溝口監督は主人公『茂兵衛』についていつもの二枚目然とした長谷川一夫の演技を要求しておらず、しかし長谷川一夫も自分のスタイルを崩そうとはせず、
溝口健二と長谷川一夫というモンスター対モンスターのせめぎ合いだったと話されていたのが面白かった。
最後に、映画監督は「ひどい人」でなければいい作品を撮れないとおっしゃってた。
それから再度、映画は難しく論じるものではなく楽しいものです、と繰り返されていた。
蓮實重彦は苦笑い。
この後もシンポジウムは続くが、新文芸坐に行くために会場を出る。
新文芸坐にて黒木和雄監督作品『夕暮まで』『泪橋』を観る。
『夕暮まで』は、森茉莉が『ドッキリ・チャンネル』で書いていて、
また荒木一郎が音楽を担当していたので、気になっていた作品。
微妙…。時代の空気は良く出てました。
「夕暮れ族」という言葉もありましたね。
『泪橋』。脚本が唐十郎、美術が木村威夫。
助演も豪華メンバー。
が、苦痛。はやく終われー、と念じてしまう。
疲れた。
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はじめまして。「近松物語」のエピソード、おもしろいですね。「反射してください」ですか・・・香川さん本当に美しく反射していましたからね。長谷川一夫の話もなるほどです。
第2回おおさかシネマフェスティバルというイベントが3月16~18日の3日間、大阪・そごう劇場で開かれます。(詳細はlog-osaka web magazine、そごう心斎橋本店 そごう劇場を参照)3月16日 「織田作之助没後60年 くまぞう雑記帳【2007/03/10 23:11】