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『惜春鳥』

就業後、神保町へ。
「さぼうる2」でナポリタンを食べ、腹ごしらえ。

神保町シアターの木下恵介特集で『惜春鳥』を鑑賞。
ワタクシ、常日頃から川津祐介ファンであることを公言しておりますが、映画に詳しい方数名から、『惜春鳥』が川津祐介や津川雅彦が風呂で裸になったりするホモ映画であると教えてくださり、川津祐介のホモ映画観たさに観に行きました。
いやぁ、想像以上に男色映画でした。
特に川津祐介の動作がひと際おかしい。
風呂のシーンに限らず、男同士手を握り合ったり、肩を抱き合ったりで、そんなときの川津祐介の表情は陶酔したような虚ろな感じ。
5人の仲間の中で一人小児麻痺の後遺症らしき足をひきずっている男の子(山本豊三 )がいるんですけど、この子は完全に川津祐介に恋しちゃっている様子で、そんな求愛に対し、川津祐介はひたすら優しく受け止めているのでありました。
そもそも山本豊三が足が悪い設定なのも、介護する名目で川津祐介とベタベタさせるためとしか見えなかったです。
とにかくこの作品、登場する男の子たちの撮り方が完全に男色目線で、とりわけ川津祐介に対して木下監督は特別な感情移入をした上で演出したなと思いましたね。
川津祐介のキャラクター、冒頭汽車に乗っているときの顔はまだ少年といった感じであどけなく、友人たちに対して温和で物静かで優しく、と思っていたら、有馬稲子に対し色仕掛けに出たり、どんどんと予想しなかった違った側面が出てきて、とにかく複雑で屈折しておりました。

最後、津川雅彦、石浜朗 、山本豊三、小坂一也の4人が戸ノ口原でやりあう場面、スクリーンの大部分が白い雲が浮かぶ空に占められ、バックに山が見えるという『カルメン故郷に帰る』みたいな大自然・大パノラマが繰広げられ、ああ、このこれ見よがしな一風変わった書き割りみたいなショットを観るだけでもこの作品を観た価値があったな、と。

木下監督の男色目線と書き割り目線が気になる惜春鳥』でした。

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『黒の報告書』『黒の試走車』

新文芸坐の「日本推理サスペンス映画大全」で、増村保造監督作品を2本鑑賞。

『黒の報告書』。
16ミリでの上映。これしか上映用プリントがないとのこと。
レベルの高い法廷ものなのですが、何せ後味が悪い。
主人公の検事・宇津井健が法廷で対決する強盗殺人事件の被告・神山繁が不敵で不気味。
神山繁ファンのワタシにとっては、神山繁がつわものでふてぶてしいのは嬉しいのですが、それにしても後味が悪い…。
次から次と事件の処理に追われる検事の立場を丁寧に描いているなと思いました。
増村の作品で、善良な模範的な人物が主人公の作品って少ないんじゃないかと思います。宇津井健が善良な熱血検事を演じておりました。

もう一本、『黒の試走車』。
5年ぶりぐらいに観たけど、やっぱり面白いなぁ、と。
音楽(池野成)もすごく合っていて感心いたしました。
会社のためにあそこまでするというのは、今となってはとても斬新。

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『才女気質』『花弁のしずく』『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』『赤線最後の日 昭和33年3月31日』『ひと夏の秘密』

ラピュタで日活作品を5本鑑賞。

中平康監督の『才女気質』(さいじょかたぎ)を鑑賞。
本日も中原早苗さん、ご子息と鑑賞に来られてました。
傑作。
いかにも黛敏郎な音楽でスタート。
イノダコーヒで大坂志郎が頼んだのはグァテマラ。
京都の路地を歩き続ける轟夕起子。
長門裕之と吉行和子の若夫婦が喧嘩する頭上で電灯が大揺れ。
葉山良二が中原早苗との結婚を伝えるために轟夕起子宅を訪問したときは俯瞰ショット。
若い吉行和子と中原早苗がとてもキュート。
気持ちいいラスト。
観ていて本当に楽しかった。

2本目、田中登監督の『花弁のしずく』を鑑賞。
昨年11月、グリソム・ギャングでのニュープリント上映会で中川梨絵さんと観たとき以来の再見。
これも『才女気質』と同じく山崎善弘のカメラ。
『花弁のしずく』が一般の劇場でこうやって上映されるは感無量であります。

3本目、曽根中生監督の『大人のオモチャ ダッチワイフ・レポート』。
大和屋竺の脚本。
不思議な魅力がある作品でありました。
お国のために高性能ダッチワイフ製作に尽力する男たちの感動のプロジェクトXかと思ったら、全然違った。
ダッチワイフをつくる工場(こうば)など美術・小道具が凝っているんだなぁ。
自宅に戻ってからの益富信孝の怪演に参りました。
ダッチワイフ工場の織田俊彦も怪しかった。
ラストは衝撃的。こんな終らせ方があるんだ!あれは原宿ですよね。

4本目、白鳥信一監督の『赤線最後の日 昭和33年3月31日』。
これ、観たことありました。いつ、どこで観たのかは思い出せないけど。
歌謡映画でありました。
中島葵がいいんだなぁ。
この作品の風間杜夫も素直でよかった。

5本目、最後は武田一成監督の『ひと夏の秘密』。
武田一成監督はいま最も気になっている監督の一人。
脚本は田中陽造。
あまりに濃密。ロマンポルノの域を超えた作品でありました。
呪われた海辺の神話的奇譚。
屠殺場うんぬんの危険なにおいも。
武田一成監督は本当に描写が丹念なんだなぁ。
新宿を舞台にした『盛り場流し唄 新宿の女』のしっとりした演出にも感心しっぱなしだったけど、夏の海を舞台にしてもすごい。
これから武田一成監督作品を追いかけていくつもりです。
劇中出てくる東京の喫茶店「熱帯魚」が、熱帯魚に囲まれて水中でコーヒーを飲むような内装になっていて気になりました。

連続で5本観たので疲れました。

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『関東緋桜一家』

シネマヴェーラのマキノ雅広特集で、『関東緋桜一家』を鑑賞。
見せ場のはずの立ち回り、カメラがブレブレで何が映っているのかわからないし、やっとカメラが落ち着いたと思ったら今度は真っ暗で何が行われているかよくわからない。ありゃりゃ。

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小沼勝監督トークショー。『紅の翼』『昼下りの情事 古都曼陀羅』『犯す!』

本日はラピュタで3本鑑賞。

まずモーニングで中平康監督の『紅の翼』。
ワタクシ、石原裕次郎には興味がありません。
『紅の翼』、結構痛い映画だなぁ。
特に音楽の付け方が酷い。佐藤勝、馬渡誠一の音楽そのものが酷いのではなく、映像に音楽を合わせるセンスの問題。
例えば、西村晃が中原早苗の父親に捜索が甘い!と責められ、西村晃が「みんなジリジリと夜が明けるのを待っているんです!」と言った後に、捜索の飛行機や船が映る場面。それから、裕次郎の妹役の芦川いづみが「兄さんは正義感が強い人なんです」といったようなことを皆の前で演説する場面。
音楽の付け方があまりに酷いんで耳を覆いたくなりました。
あ、芦川いづみのAラインの衣装はとても良かったですね。

そしてロマンポルノ特集。
今日は小沼勝監督がご来場です。
上映作品は『昼下りの情事 古都曼陀羅』。
この作品久しぶりに観ました。以前観たときよりも面白く感じました。
山科ゆりの透けるような白い肌に血のように真っ赤な口紅とマニュキアというのが、とにかく印象的でありました。

上映後、小沼勝監督のトークショー。聞き手は高崎俊夫さん。
まず監督から観客にご挨拶。
『昼下りの情事 古都曼陀羅』は今日35年ぶりに観たけれども、宮下順子のワキ毛、分量といい柔らかさといい素晴しかった。当時、宮下順子、白川和子といったピンク映画出身の女優はワキ毛を生やしている人が多かった。
が、ワキ毛はDVDでテレビ・モニターで見ても、ちゃんと映らない。
自分は神代辰巳監督の『四畳半襖の裏張り』が好きで、ジェネオンからDVDが出たとき社員価格で買ったのだが、DVDからは、姫田真佐久という大カメラマンが映した素晴しいものが殆ど伝わらない。
今日、ラピュタという劇場に観に来てくださった皆さん、どうもありがとう。本当に嬉しい。
以上のように、小沼監督、観客に挨拶されてました。
小沼勝監督

『昼下りの情事 古都曼陀羅』について、セットを借りて、松井旅館という旅館を借りて撮影した。
演出料は当時5~6万円。ただただ女性をきれいに撮ればいいと思った。
と、ここで監督、思い出したように、自分はテレビに対するコンプレックスがある。神代監督、加藤彰監督はロマンポルノがなくてもそのまま監督になれただろうが、自分はそうではない、と。
『昼下りの情事 古都曼陀羅』の撮影時に借りた松井旅館はとても広い旅館で、初めて監督として大切にされた気がした。
高崎さんが、石仏など京都の名所での濡れ場の撮影について質問されると、監督、撮影許可は出ないけれど、見学許可は下りた。で、観光客が少ない時間帯に人止めをして、俳優には前張りさせて、いつでも出られるように裸の上にコートを羽織らせて、いつでも出られるようにして、撮影した。
あれはヤリまくって、おさらばする場面で、そんなに凝るところでもないから、と。
前田米造カメラマンは小沼監督と同世代で好きなように撮ってもらった。
小沼勝監督

この作品での風間杜夫について、とても平凡だ。平凡を演じている、と。平凡を演じることはとても難しい。殺し演技などは簡単だけれども。

石段でケンカをするシーンがあったが、そこに学生時代の大森一樹が出ていた。松井旅館に大森一樹がいたので、何でもいいから出演させた。ああいう曖昧なケンカは難しい。旅館でリハーサルをして撮った。

石仏寺について。もともと台本に石仏寺でと設定されていて、ロケ地を探したがなかなか見つからなく、やっと見つかった。
ロマンポルノの撮影だというと許可が出ないので、ロマンポルノじゃないと偽って住職に一升瓶を持っていてお願いした。が、住職が冥土の土産に撮影を見たいと言い出しやってきたので、あわてて皆でウソの撮影をした。住職が見学しているときは、照明が監督役をした。

山科ゆりについて。
女優には宮下順子や白川和子のように、気持ちが表に出やすいタイプもいるが、山科ゆりは何を考えているのかわからないタイプだ。
ピンポンのシーンは、シナリオにはなかった。山科ゆりだから、ああいうシーンが合った。
中島丈博は藤田敏八がシナリオを変えたとき、食堂に「シナリオを改悪した」と張り紙するほどのファイターだった。それに対して当時小沼監督はペーペーだった。
キスしたことが無く、いびつであった女性・山科ゆりが、平凡な風間に惚れ(ここでまた監督、平凡な演技は難しいと風間杜夫を評価)、逆戻りしていったということだ、と。
山科ゆりがきれいに映ってますね、訊かれると、カメラマンと照明がよければ女性はきれいに撮れるのだ、と。

劇中の雨は本当に降ったものだそう。
責め絵はもともと台本にあった。縛りがヌルいという指摘を受けるかなとも思ったが、そういう映画じゃないから、と。

当時ににっかつについて、台本の監督の名前の部分が切り取られているものがまわってきたけど、それは他の監督が断ったものだと加藤彰監督が教えてくれた。
自分は何でも撮らせてくれれば嬉しいという気持ちだった。

衣装については、裸だからこそ、衣装合わせが大切なのだ、と。
小沼勝監督

そして質疑応答。
最初の女性の方が、今日初めてロマンポルノを観たとかで、自分の感想をずーっと話していたけど内容は聞こえず。

次に男性の方が、『白い娼婦 花芯のたかまり』について、ロケ地が自分の家の近所のように見えたけれども、どこだったのか具体的に教えてください、○○のシーンのロケ地はどこですか?と質問。
監督、そのシーンのロケ地は覚えてない、と。

微妙な感じになったので、普通の質問をしなきゃという義務感にかられ、ワタクシ、小沼監督の映画のルーツ、お好きな作品について質問いたしました。
高校生のとき、まわりは皆おたくで、500本観ている人とかいた。
二番館、三番館、名画座がたくさんあり、安く映画を観ることができた。
特にどういう作品が好きというのはなかったけれども、映画館にいるのが幸せだった。
あ、中学生のとき観た『巴里のアメリカ人』は好きだったねと。
中学のときは小樽にいて、街に映画館が25~26軒あった。友達のおばあさんがやっていた劇場で『巴里のアメリカ人』を観た、と。

高崎さんが、マックス・オフュルスの『歴史は女で作られる』がお好きだとおっしゃってましたよね、と話を向けられると、『歴史は女で作られる』はお好きだと。
高2の時、親友と『怪僧ラスプーチン』を女性の裸につられて観に行った。親友は『歴史は女で作られる』よりも『怪僧ラスプーチン』の方が上だと言ったので、絶交するまでの喧嘩になった。『ラスプーチン』の方が好きだというならそれは勝手だが、何故上下を付ける、客は何を楽しみにしているか人それぞれなんだからと大喧嘩し絶交に至った、と。

以前、好きなフランス映画について1番『フランチ・カンカン』、2番『歴史は女で作られる』、3番『血とバラ』(ロジェ・ヴァディム)と言ったら、フランス人には1番と2番は解るが3番は解らないと言われた、と。
(青文字部分、imaponさんからの情報です。ありがとうございます。)

ここでトークショー終了。
場内拍手。

ワタクシ、『色情旅行 香港慕情』のDVDジャケットにサインしていただきました。

本日3本目、長谷部安春監督の『犯す!』 を鑑賞。
これは感心したなぁ。
ヒロイン・八城夏子が蟹江敬三にエレベーターで犯されて、呆然とマンションの自室に戻り、風呂場で洗濯をし、シャワーを浴びるまでの丁寧な描写が素晴しくて、観ていて息を呑みました。
全体的に丹念で唸りっぱなし。
素晴しかったです。

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『彼女について私が知っている二、三の事柄』『はなればなれに』『左ききの狙撃者 東京湾』『野獣狩り』

朝、駅のプラットホームで電車を待っていたら、外国人男性が英語で「新宿までどのぐらいかかりますか?」と訊いてきたので、親切心から10分ぐらいと答えたところ、その男性(インドからきたばかりと言ってた)、新宿に着くまでずーっと口説いてきて、「外国人と日本人の男性、付き合ってみて、どちらが良かった?」とまで訊いてきた。
外国人男性と付き合ったことないから、わかんないよ!と答えました。
「これからどこに行くの?」と訊いてきたので、「今日は彼氏と映画を観に行きます」と答えましたよ(当然ウソ)。

で、たどり着いたのは早稲田松竹。ゴダール2本立て。
まず『彼女について私が知っている二、三の事柄』。
最近、団地映画が続いております。これはジャン=リュック・ゴダール版『団地妻 昼下りの情事』。
結構面白かった。
売春宿など団地の壁に航空会社のポスターがいっぱい貼ってあって、JALの異国情緒ただようデザインのポスター(上村松園の絵だったり)が印象的でありました。あと、パンナムとTWAのバッグを頭に被ったり。
主人公の主婦の息子が読む作文が最高。フランス人は子供でも大人だ。

次に『はなればなれに』。
ミシェル・ルグランの曲が流れると激しく胸騒ぎしてしまいます。

下北沢に移動。
自然食レストランでカレーを食べ、気流舎でコーヒーを飲み、シネマアートンへ。

まず、野村芳太郎監督の『左ききの狙撃者 東京湾』を鑑賞。
昔の東京がいっぱい映っているということで、ずっと観たかった作品。
タイトルは「東京湾」とだけ出てました。
冒頭の空撮で日比谷、銀座、築地が映り、高島屋近辺、浅草松屋の屋上、立石の下町の飲み屋街などで色々な場所でロケしておりました。
62年の作品ですから、立派でキレイになる前の東京です。
最後、お化け煙突をバックに荒川のボート小屋が映したショットがいいなと思いました。
突っ込みどころもありましたが、「その男の職業、刑事」という特集にふさわしいストーリーでありました。
全体的に『砂の器』を彷彿させらる作品でした。

そして須川栄三監督の『野獣狩り』。
去年東京映画祭で観て、大感動し、その日から藤岡弘の虜になりました。
あまりに傑作だったので再見。
場内満員。すごい熱気の中、セクシー・ダイナマイト藤岡弘を堪能いたしました。
藤岡弘、無意識になのかフサフサしたモミアゲ(右側)を始終触っていて、イヤ~ン、セクシー。
この作品、去年劇場で観た後も、録画物でも見ましたので、今日が3度目の鑑賞で次にどういうシーンがくるのかわかっているにもかかわらず、観ていて血圧が上がりました。
特に、警備員の原口が藤岡弘にバリケードを蹴って、日比谷でタクシーに乗り、藤岡弘から逃げようとする驚異のロング・ショット!奇跡!
俳優もスタッフもとにかく凄い。

以前の日記に作品の感想を書きましたので、今回は割愛いたしますが、再度、藤岡弘によるこの作品についての解説を載せておきます。
http://forest.kinokuniya.co.jp/CngSpe/269
東宝の最高のスタッフが結集し、伴淳三郎さんと共演させていただき、一番熱くて一番燃えた、思い出の主演作です。木村大作さんという名キャメラマンのデビュー作でもあります。私が演じているのは型破りな若い熱血刑事。タクシーで逃亡する犯人の追跡場面が圧巻です。日比谷の東宝の映画館のあたりから日比谷警察まで。タクシーに乗り込んだ逃走犯と並走する形で、手持ちキャメラでバイクの後ろに乗り、私の全力疾走をワンカットで撮り続けています。40階建てビルの屋上を飛び移るカット、実弾の散弾銃が打ち込まれるエレベーターに紙一重で飛び降りるカット、全部スタントなしです! ビルから人質を逆さ吊りにする場面をゲリラ的に撮ったら、本物のパトカーや消防車が駆け付けてきて、それをそのまま撮影してさあ(笑)。映画作りに対する真剣さが、今とは全然違うんだよねえ…。

事件現場は東宝ツインタワー・ビル(今は亡き三信ビル隣)。
http://www.toho-re.co.jp/project/twin_tower.html
現在はツイン部分に富士電機の広告塔が付いたので、ちょっと印象が変わっております。
69年竣工のビルなんですね。検索すると『野獣狩り』以外も東宝作品に登場しているようです。
劇中、ツインタワービルからはす向かいの日劇が何度も映っておりました。

映画が終って、八重子さんと藤岡弘の魅力についてヒーヒー言いながら帰りました。
ワタクシ、藤岡弘を観ただけで妊娠しそうです。
オトコもオンナもシネマアートンへ!
『野獣狩り』、大傑作です!
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(2007/08/25)
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『接吻』

小池栄子の演技が素晴しいと評判の万田邦敏監督の『接吻』を観に行きました。
ユーロスペースへの道中、タリーズあたりを歩いていたら、ワタクシメと同じ街にお住まいで、数年前ワタシの私生活のゴタゴタに巻き込んでひどく迷惑をかけてしまった大石ご夫妻に遭遇。
大石ご夫妻も『接吻』を観に行かれるということで、数年ぶりに色々お話をさせていただきビックリ。
何と奥様の大石三知子さんが脚本を書かれた『東南角部屋二階の女』が今度公開される、と。
その映画知ってる~。西島秀俊や香川京子が出演していてエキストラ募集していた映画だー。
そういえば数年前、三知子さん、よくシナリオの本を読まれていたなぁ、でも普通にお勤めされていたのにどういう経緯で?と、いきさつを伺うと、東京藝大の大学院映像研究科の第一期生になられ既に修了されたのだと。
ワタクシ、失礼にも数年間ご無沙汰してしまっておりましたので、そんなご活躍をまったく存じ上げませんでした。
『東南角部屋二階の女』、絶対観に行きます。

で、『接吻』です。
冒頭、住宅街を豊川悦司が上手から下手に向かって歩いていくのが映るところから、もうアクセル全開。メータの針は激しく揺れ、切迫感で観ていて心臓が痛くなります。
で、この切迫感、映画の最後までコンスタントに続き、映画が進むにつれ、針は段々とレッドに振り切れる頻度が高くなり、終始緊張感で胸が痛かったです。
ザラザラした質感の映像がこの殺伐とした作品にとてもマッチしておりました。
前半、緑地でトヨエツの足元にきたサッカー・ボールを拾いにきた男の子をトヨエツがハンマーで襲おうとして、母親が抱きかかえ逃げ、そしてカメラがひいたとき、トヨエツの背後に大きなマンションがドーンと映るのですが、そのショットを観て、ワタクシ、もうヤラレターと思いました。
そして、小池栄子です。
彼女の目、虚ろだったり、ひんむいたりで、とにかく凄い。
凄い凄いとは聞いていたけれども、本当に凄い。
彼女はとても頭がいい人なんでしょうね。
あと、とてもいいなと思ったのが、ロケーション選びのセンス。
トヨエツが逮捕される背後にマンションがあるブランコがある緑地も素晴しいですし、小池栄子と仲村トオルが篠田三郎に会った後、車を降りて歩く田んぼも良いなーと思いました。
ロケーションの選択もいいのでしょうが、それを映すカメラがいいんでしょうね。
音楽も冒頭からアクセル全開。映像だけでもすごい緊迫感あるのに、さらにこれでもかと観客に畳み掛けてきます。
途中、挟み込まれるホラー演出に関しては(特に手が出てくるところ)、これは必要なのかな?と観ていて思いました。
そして、問題のラストです。
(以下、青文字部分、ネタバレあり)

もう小池栄子はトヨエツを殺すしかないのだろうなと、観ていてわかったので、拘置所の職員にケーキの箱のチェックをされているとき、ひょっとしてケーキの中に凶器が隠されているのでは?と想像いたしました。
で、小池栄子がハッピー・バースディを唄いながら、仲村トオルのバッグから包みを取り出して、いまや(小池栄子的には)普通の腑抜けに成り下がったトヨエツのそばに行ったとき、当然やるなやるなと思ったのですが、やった直後の展開が想定の範囲外でありました。
あんな風に、小池栄子に目を引ん剥かせ、ウォーッと仲村トオルに襲い掛かり、接吻して、ウォーッと連れていかれ、ジ・エンドで「接吻」と出るっていうのはどうなんだろう、と。
小池栄子に静かに殺させ、フっと終るという演出でも良かったのでは?と。
その疑問を解決したいから、もう一度観たいな。


ともあれ、とても面白かった。
『ヘアピン・サーカス』以降、最近ワタシが観た狂気映画はいい作品ばかりです。

帰り道、大石ご夫妻とお話しながら帰ったのですが、トヨエツの話になり、ワタクシ昔、TBSドラマ『愛していると言ってくれ』の撮影をしていたトヨエツを近くで観て、この世にこんな美しい男がいるのかと息をのんだ、と申し上げたのですが(ホント、これまでの人生で、実物を見た中で、女性も含めて一番美しかった人がトヨエツ)、そういえば、『愛していると言ってくれ』のトヨエツの役も、思い込みの激しい年下女性(常盤貴子)に追われる役だったなぁ、と。
トヨエツは、女をそういう風に狂わせる魅力が確かにあるわなぁ、と。『接吻』の逮捕されるときのあの笑顔も観ていてキターっと思いましたよ。

最優秀演技賞ものの小池栄子の狂気の熱演についての記述がちょっぴりになってしまいましたが、とにかく凄かった。
彼女の演技をもう一度観たいし、あの終らせ方について考えたいので再度観たい『接吻』でした。

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プロフィール

 リネン

Author: リネン
♀。会社員。独身。
東京23区在住。
深煎りコーヒーが好き。
成瀬巳喜男監督作品56本を
劇場で観たのが自慢。

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